日本には現在、約18万施設の医療機関があります。医療機関は主に「病院」「一般診療所」「歯科診療所」に区分され、 病床が20床以上ある医療機関を「病院」と呼び、19床以下、もしくは入院施設のない医療機関を「診療所」といいます。
入院の診療報酬は、医療機関を入院した際に必ずかかる「基本診療料」と、治療内容にあわせて算定される「特掲診療料」を合わせた金額になります。
POINT基本的に外来と同じとような考え方になりますが、入院の基本診療料にはいくつかの種類があり、療養病棟と呼ばれる病棟に入院した場合は「療養病棟入院基本料」、結核病棟に入院した場合は「結核病棟入院基本料」、精神病棟に入院した場合は「精神病棟入院基本料」が算定されます。
今回は一般病棟に入院した際の基本料について説明していきたいと思います。
一般病棟入院基本料
療養病棟入院基本料、結核病棟入院基本料又は精神病棟入院基本料を算定する病棟以外の病院の病棟「一般病棟」であって、 看護配置、看護師比率、平均在院日数、その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者について、当該基準に係る区分に従い、それぞれ以下の点数を算定します。
POINT一般病棟は主に急性期の患者様が入院する病棟で、一般病棟入院基本料が算定されますが、 看護師の人数などに応じて「急性期一般入院基本料」と「地域一般入院基本料」の2種類あります。
A100 一般病棟入院基本料(1日につき)
1 急性期一般入院基本料
イ 急性期一般入院料1 1,650点
ロ 急性期一般入院料2 1,619点
ハ 急性期一般入院料3 1,545点
ニ 急性期一般入院料4 1,440点
ホ 急性期一般入院料5 1,429点
ヘ 急性期一般入院料6 1,382点
2 地域一般入院基本料
イ 地域一般入院料1 1,159点
ロ 地域一般入院料2 1,153点
ハ 地域一般入院料3 988点
入院期間に応じ、次に掲げる点数をそれぞれ 1日につき所定点数に加算することができます。
- 14日以内の期間 450点(特別入院基本料等については、300点)
- 15日以上30日以内の期間 192点(特別入院基本料等については、155点)
入院料の加算について
当該病棟においては、入院基本料等加算のうち、次に掲げる加算について、同節に規定する算定要件を満たす場合に算定できます。
イ 総合入院体制加算
ロ 急性期充実体制加算(急性期一般入院料1を算定するものに限る。)
ハ 地域医療支援病院入院診療加算
ニ 臨床研修病院入院診療加算
ホ 紹介受診重点医療機関入院診療加算
ヘ 救急医療管理加算
ト 超急性期脳卒中加算
チ 妊産婦緊急搬送入院加算
リ 在宅患者緊急入院診療加算
ヌ 診療録管理体制加算
ル 医師事務作業補助体制加算
ヲ 急性期看護補助体制加算
ワ 看護職員夜間配置加算
カ 乳幼児加算・幼児加算
ヨ 難病等特別入院診療加算
タ 超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算
レ 看護配置加算
ソ 看護補助加算
ツ 地域加算
ネ 離島加算
ナ 療養環境加算
ラ HIV感染者療養環境特別加算
ム 二類感染症患者療養環境特別加算
ウ 重症者等療養環境特別加算
ヰ 小児療養環境特別加算
ノ 無菌治療室管理加算
オ 放射線治療病室管理加算
ク 緩和ケア診療加算
ヤ 精神科リエゾンチーム加算
マ 強度行動障害入院医療管理加算
ケ 依存症入院医療管理加算
フ 摂食障害入院医療管理加算
コ がん拠点病院加算
エ 栄養サポートチーム加算
テ 医療安全対策加算
ア 感染対策向上加算
サ 患者サポート体制充実加算
キ 報告書管理体制加算
ユ 褥瘡ハイリスク患者ケア加算
メ ハイリスク妊娠管理加算
ミ ハイリスク分娩等管理加算(ハイリスク分娩管理加算に限る。)
シ 呼吸ケアチーム加算
ヱ 術後疼痛管理チーム加算(急性期一般入院基本料に限る。)
ヒ 後発医薬品使用体制加算
モ 病棟薬剤業務実施加算1
セ データ提出加算
ス 入退院支援加算(1のイ、2のイ又は3に限る。)
ン 認知症ケア加算
イイ せん妄ハイリスク患者ケア加算(急性期一般入院基本料に限る。)
イロ 精神疾患診療体制加算
イハ 薬剤総合評価調整加算
イニ 排尿自立支援加算
イホ 地域医療体制確保加算(急性期一般入院基本料に限る。)
重症児(者)受入連携加算
地域一般入院基本料を算定する病棟で、他の保険医療機関から転院してきた患者さんであって、他の保険医療機関において入退院支援加算3(A246)を算定した患者さんの場合には、重症児(者)受入連携加算として、 入院初日に限り2,000点を所定点数に加算することができます。
救急・在宅等支援病床初期加算
地域一般入院基本料を算定する病棟に入院している患者さんのうち、急性期医療を担う他の保険医療機関の一般病棟から転院した患者さん又は介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、若しくは自宅から入院した患者さんについては、 転院又は入院した日から起算して14日を限度として、1日につき150点を所定点数に加算することができます。
夜間看護体制特定日減算
別に厚生労働大臣が定める保険医療機関においては、別に厚生労働大臣が定める日の入院基本料(特別入院基本料等を含む。)は、夜間看護体制特定日減算として、次のいずれにも該当する場合に限り、所定点数の100分の5に相当する点数を減算します。
イ 年6日以内であること。
ロ 当該日が属する月が連続する2月以内であること。
イ 看護職員の数が一時的に2未満となった時間帯において、患者の看護に支障がないと認められること。
ロ 看護職員の数が一時的に2未満となった時間帯において、看護職員及び看護補助者の数が、看護職員一を含む2以上であること。ただし、入院患者数が30人以下の場合にあっては、看護職員の数が1以上であること。
夜勤時間特別入院基本料
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出ていた病棟であって、当該基準のうち別に厚生労働大臣が定めるもののみに適合しなくなったものとして地方厚生局長等に届け出た病棟については、当該病棟に入院している患者さんについて、当分の間、夜勤時間特別入院基本料として、それぞれの所定点数の100分の70に相当する点数を算定できます。
ADL維持向上等体制加算
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者様(急性期一般入院基本料を現に算定している患者に限る)について、ADL維持向上等体制加算として、入院した日から起算して14日を限度とし1日につき80点を所定点数に加算します。
施設基準について
イ 入院中の患者に対して、ADLの維持、向上等に資する十分な体制が整備されていること。
ロ 当該病棟に専従の常勤の理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士が二名以上配置されていること、又は当該病棟に専従の常勤の理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士が一名以上配置されており、かつ、当該病棟に専任の常勤の理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士が一名以上配置されていること。
急性期一般入院基本料の施設基準
通則
1 1日に看護を行う看護職員の数は、常時、入院患者の数が10(急性期一般入院料1にあっては七)又はその端数を増すごとに1以上であること。ただし、当該病棟において、1日に看護を行う看護職員の数が本文に規定する数に相当する数以上である場合には、各病棟における夜勤を行う看護職員の数は、本文の規定にかかわらず、2以上であること(一般病棟入院基本料の注6の場合を除く。)とする。
2 看護職員の最小必要数の七割以上が看護師であること。
3 入院患者の平均在院日数が21日(急性期一般入院料1にあっては18日)以内であること。
4 データ提出加算に係る届出を行っている保険医療機関であること。ただし、新規に保険医療機関を開設する場合であって、急性期一般入院料6に係る届出を行う場合その他やむを得ない事情があるときを除く。
5 許可病床数が200床以上の保険医療機関であって、急性期一般入院料1に係る届出を行っている病棟及び許可病床数が四百床以上の保険医療機関であって、急性期一般入院料2から5までに係る届出を行っている病棟については、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱを用いて評価を行うこと。
急性期一般入院料1の施設基準
1 許可病床数が200以上の保険医療機関にあっては、診療内容に関するデータを適切に提出できる体制が整備された保険医療機関であって、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱの基準を満たす患者を2割8分以上入院させる病棟であること。
2 許可病床数が200床未満の保険医療機関にあっては、次のいずれかに該当すること。
(一) 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰの基準を満たす患者を二割八分以上入院させる病棟であること。
(二) 診療内容に関するデータを適切に提出できる体制が整備された保険医療機関であって、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱの基準を満たす患者を2割5分以上入院させる病棟であること。
3 退院する患者に占める、自宅等に退院するものの割合が8割以上であること。
4 常勤の医師の員数が、当該病棟の入院患者数に100分の10を乗じて得た数以上であること。
急性期一般入院料2の施設基準
1 許可病床数が200床以上の保険医療機関にあっては、次のいずれかに該当すること。
(一) 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰの基準を満たす患者を2割7分以上入院させる病棟であること。
(二) 診療内容に関するデータを適切に提出できる体制が整備された保険医療機関であって、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱの基準を満たす患者を2割4分以上入院させる病棟であること。
2 許可病床数が200床未満の保険医療機関にあっては、次のいずれかに該当すること。
(一) 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰの基準を満たす患者を2割5分以上入院させる病棟であること。
(二) 診療内容に関するデータを適切に提出できる体制が整備された保険医療機関であって、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱの基準を満たす患者を2割2分以上入院させる病棟であること。
3 届出時点で、継続して3月以上、急性期一般入院料1を算定していること。
4 厚生労働省が行う診療内容に係る調査に適切に参加すること。
急性期一般入院料3の施設基準
1 許可病床数が200百床以上の保険医療機関にあっては、次のいずれかに該当すること。
(一) 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰの基準を満たす患者を2割4分以上入院させる病棟であること。
(二) 診療内容に関するデータを適切に提出できる体制が整備された保険医療機関であって、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱの基準を満たす患者を2割1分以上入院させる病棟であること。
2 許可病床数が200未満の保険医療機関にあっては、次のいずれかに該当すること。
(一) 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰの基準を満たす患者を2割2分以上入院させる病棟であること。
(二) 診療内容に関するデータを適切に提出できる体制が整備された保険医療機関であって、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱの基準を満たす患者を1割9分以上入院させる病棟であること。
3 届出時点で、継続して3月以上、急性期一般入院料1又は2を算定していること。
4 厚生労働省が行う診療内容に係る調査に適切に参加すること。
急性期一般入院料4の施設基準
1 許可病床数が200床以上の保険医療機関にあっては、次のいずれかに該当すること。
(一) 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰの基準を満たす患者を2割以上入院させる病棟であること。
(二) 診療内容に関するデータを適切に提出できる体制が整備された保険医療機関であって、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱの基準を満たす患者を1割7分以上入院させる病棟であること。
2 許可病床数が200床未満の保険医療機関にあっては、次のいずれかに該当すること。
(一) 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰの基準を満たす患者を1割8分以上入院させる病棟であること。
(二) 診療内容に関するデータを適切に提出できる体制が整備された保険医療機関であって、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱの基準を満たす患者を1割5分以上入院させる病棟であること。
急性期一般入院料5の施設基準
次のいずれかに該当すること。
1 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰの基準を満たす患者を1割7分以上入院させる病棟であること。
2 診療内容に関するデータを適切に提出できる体制が整備された保険医療機関であって、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱの基準を満たす患者を1割4分以上入院させる病棟であること。
急性期一般入院料6の施設基準
患者さんの一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰ又はⅡについて継続的に測定を行い、その結果に基づき評価を行っていること。
地域一般入院基本料の施設基準
通則
1 1日に看護を行う看護職員の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が15(地域一般入院料1及び2にあっては13)又はその端数を増すごとに1以上であること。ただし、当該病棟において、1日に看護を行う看護職員の数が本文に規定する数に相当する数以上である場合には、各病棟における夜勤を行う看護職員の数は、本文の規定にかかわらず、2以上であることとする。
2 看護職員の最小必要数の4割(地域一般入院料1及び2にあっては7割)以上が看護師であること。
3 入院患者の平均在院日数が60日(地域一般入院料1及び2にあっては24日)以内であること。
4 データ提出加算に係る届出を行っている保険医療機関であること。
地域一般入院料1の施設基準
「通則」に定めるもののほか、入院している患者さんの一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰ又はⅡについて継続的に測定を行い、その結果に基づき評価を行っていること。
届出を行う地方厚生局HPについて
一般病棟入院基本料を算定する場合は、地方厚生局へ施設基準の届出を行う必要があります。届出を行う際は、保険医療機関が所在する都道府県を管轄する地方厚生局に必要書類を1部提出して申請を行いましょう。