A108 有床診療所入院基本料

有床診療所入院基本料とは、有床診療所で入院した際に支払う1日あたりの基本料金です。有床診療所は、地域に身近な診療所と専門的治療や慢性疾患治療を行う入院機能を併せ持った医療機関で、19床以下の入院ベッドを有しています。

A108 有床診療所入院基本料(1日につき)

1 有床診療所入院基本料1
イ 14日以内の期間 932点
ロ 15日以上30日以内の期間 724点
ハ 31日以上の期間 615点
2 有床診療所入院基本料2
イ 14日以内の期間 835点
ロ 15日以上30日以内の期間 627点
ハ 31日以上の期間 566点
3 有床診療所入院基本料3
イ 14日以内の期間 616点
ロ 15日以上30日以内の期間 578点
ハ 31日以上の期間 544点
4 有床診療所入院基本料4
イ 14日以内の期間 838点
ロ 15日以上30日以内の期間 652点
ハ 31日以上の期間 552点
5 有床診療所入院基本料5
イ 14日以内の期間 750点
ロ 15日以上30日以内の期間 564点
ハ 31日以上の期間 509点
6 有床診療所入院基本料6
イ 14日以内の期間 553点
ロ 15日以上30日以内の期間 519点
ハ 31日以上の期間 490点

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有床診療所入院基本料の算定要件と加算

注1 有床診療所(療養病床に係るものを除く。)であって、看護配置その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関に入院している患者について、当該基準に係る区分に従い、それぞれ所定点数を算定する。

注2 当該患者が他の保険医療機関から転院してきた者であって、当該他の保険医療機関において区分番号A246に掲げる入退院支援加算3を算定したものである場合には、重症児(者)受入連携加算として、入院初日に限り2,000点を所定点数に加算する。

注3 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関に入院している患者のうち、急性期医療を担う他の保険医療機関の一般病棟から転院した患者については、転院した日から起算して21日を限度として、有床診療所急性期患者支援病床初期加算として、1日につき150点を所定点数に加算し、介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム等又は自宅から入院した患者については、治療方針に関する当該患者又はその家族等の意思決定に対する支援を行った場合に、入院した日から起算して21日を限度として、有床診療所在宅患者支援病床初期加算として、1日につき300点を所定点数に加算する。

注4 夜間の緊急体制確保につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関に入院している患者については、夜間緊急体制確保加算として、1日につき15点を所定点数に加算する。

注5 医師配置等につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関に入院している患者については、当該基準に係る区分に従い、次に掲げる点数をそれぞれ1日につき所定点数に加算する。

イ 医師配置加算1 120点

ロ 医師配置加算2 90点

注6 看護配置等につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関に入院している患者については、当該基準に係る区分に従い、次に掲げる点数をそれぞれ1日につき所定点数に加算する。

イ 看護配置加算1 60点

ロ 看護配置加算2 35点
ハ 夜間看護配置加算1 105点
ニ 夜間看護配置加算2 55点
ホ 看護補助配置加算1 25点
ヘ 看護補助配置加算2 15点

注7 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関において、入院している患者を、当該入院の日から30日以内に看取った場合には、看取り加算として、1,000点(在宅療養支援診療所(退院時共同指導料1に規定する在宅療養支援診療所をいう。)にあっては、2,000点)を所定点数に加算する。

注8 当該診療所においては、入院基本料等加算のうち、次に掲げる加算について、同節に規定する算定要件を満たす場合に算定できる。

注9 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関については、注1から注8までの規定にかかわらず、当該保険医療機関に入院している患者について、有床診療所療養病床入院基本料の例により算定できる。

注10 栄養管理体制その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関に入院している患者について、栄養管理実施加算として、1日につき12点を所定点数に加算する。この場合において、入院栄養食事指導料は、算定できない。

注11 1から3までを算定する診療所である保険医療機関であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出たものに入院している患者については、有床診療所在宅復帰機能強化加算として、入院日から起算して15日以降に1日につき20点を所定点数に加算する。

注12 1から3までを算定する診療所である保険医療機関であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たすものに入院している患者のうち、介護保険法施行令(平成10年政令第412号)第2条各号に規定する疾病を有する40歳以上65歳未満のもの又は65歳以上のもの又は重度の肢体不自由児(者)については、当該基準に係る区分に従い、入院日から起算して15日以降30日までの期間に限り、次に掲げる点数をそれぞれ1日につき所定点数に加算する。

イ 介護障害連携加算1 192点

ロ 介護障害連携加算2 38点

有床診療所入院基本料の留意事項

(1) 有床診療所入院基本料は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た診療所(療養病床に係るものを除く。)に入院している患者について、有床診療所入院基本料1等の各区分の所定点数を算定する。

(2) 有床診療所入院基本料に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に規定する起算日とする。

(3) 「注2」に規定する重症児(者)受入連携加算は、集中治療を経た新生児等を急性期の医療機関から受け入れ、病態の安定化のために密度の高い医療を提供することを評価したものであり、入院前の医療機関において入退院支援加算3が算定された患者を、有床診療所で受け入れた場合に入院初日に算定する。

(4) 「注3」に規定する有床診療所急性期患者支援病床初期加算は、急性期医療の後方病床を確保し、有床診療所在宅患者支援病床初期加算は在宅患者や介護保険施設入所者等の状態が軽度悪化した際に入院医療を提供できる病床を確保することにより、急性期医療及び在宅での療養を支えることを目的として、有床診療所が有する以下のような機能を評価したものであり、転院、入院又は転棟した日から起算して21日を限度に算定できる。

有床診療所急性期患者支援病床初期加算については、急性期医療を担う病院の一般病棟に入院し、急性期治療を終えて一定程度状態が安定した患者を、速やかに有床診療所の一般病床が受け入れることにより、急性期医療を担う病院の後方支援を評価するものである。急性期医療を担う病院の一般病棟とは、具体的には、急性期一般入院基本料、7対1入院基本料若しくは10対1入院基本料(特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)又は専門病院入院基本料に限る。)、地域一般入院基本料又は13対1入院基本料(専門病院入院基本料に限る。)を算定する病棟であること。ただし、地域一般入院基本料又は13対1入院基本料を算定する保険医療機関にあっては、救急医療管理加算の届出を行っている場合に限るものとする。

有床診療所在宅患者支援病床初期加算については、介護保険施設、居住系施設等又は自宅で療養を継続している患者が、軽微な発熱や下痢等の症状をきたしたために入院医療を要する状態になった際に、有床診療所の一般病床が速やかに当該患者を受け入れる体制を有していること及び厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、入院時に治療方針に関する患者又はその家族等の意思決定に対する支援を行うことにより、自宅や介護保険施設等における療養の継続に係る後方支援を評価するものである。なお、当該加算を算定する一般病床を有する有床診療所に介護保険施設等が併設されている場合は、当該併設介護保険施設等から受け入れた患者については算定できないものとする。

Q
「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえ、入院時に治療方針に関する患者又はその家族等の意思決定に対する支援を行うことにより、 自宅や介護保険施設等における療養の継続に係る後方支援を評価するものである。』とありますが、どのような患者さんが算定の対象となりますか?
A

算定の対象は、例えば「予後が数日から長くとも2~3ヶ月と予測が出来る場合」「慢性疾患の急性増悪を繰り返し予後不良に陥る場合」「脳血管疾患の後遺症や老衰など数ヶ月から数年にかけ死を迎える場合」など、患者のさん年齢や疾患に関わらず、意思決定に対する支援が必要な患者であって、医師の医学的判断によるものとなります。

Q
「意思決定に対する支援が必要な患者であって、医師の医学的判断によるもの」とされているが、ここでいう「意思決定に対する支援」とは、人生の最終段階における医療・ケアの決定に関する意思決定の支援に限られますか。
A

ここでいう「意思決定に対する支援」は、患者の年齢や疾患に応じて行われるものであり、必ずしも人生の最終段階における医療・ケアの決定に関する意思決定の支援に限られるものではありません。患者さんの年齢や疾患に関わらず、 医師の医学的判断により、入院時に治療方針に関する患者又はその家族等の意思決定に対する支援が必要な患者に対して支援を行うことで算定できます。

(5) 有床診療所入院基本料を算定する診療所であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た診療所において、夜間に医師を配置している、又は近隣の保険医療機関が連携して入院患者の急変に備えて夜間の緊急診療体制を確保した場合について、その体制を入院患者に対して文書で説明し、夜間に緊急対応できる医師名を院内に掲示している場合に、「注4」に掲げる加算を算定することができる。

(6) 有床診療所入院基本料1から6までを算定する診療所であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た診療所において、療養病床の有無に関わらず、当該診療所に勤務する医師が2人以上の場合に、各区分に応じて「注5」に掲げる加算を算定することができる。

(7) 有床診療所入院基本料1から6までを算定する診療所であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た診療所において、各区分に応じて「注6」のイからヘまでに掲げる加算を算定することができる。イとロ、ハとニ、ホとヘは併算定出来ないものであること。

(8) 「注7」に規定する看取り加算は、夜間に1名以上の看護職員が配置されている有床診療所において、入院の日から30日以内に看取った場合に算定する。この場合、看取りに係る診療内容の要点等を診療録に記載する。

(9) 有床診療所入院基本料を算定する診療所については、「注8」に掲げる入院基本料等加算について、それぞれの算定要件を満たす場合に算定できる。

(10) 有床診療所入院基本料を算定する診療所のうち、有床診療所療養病床入院基本料を算定する病床を有する診療所においては、有床診療所入院基本料を算定する病床に入院している患者であっても、患者の状態に応じて、有床診療所療養病床入院基本料を算定することができる。なお、この取扱いについては、患者の状態に応じて算定する入院基本料を変更できるが、変更は月単位とし、同一月内は同じ入院基本料を算定することとする。

(11) 有床診療所療養病床入院基本料の例により算定する場合の費用の請求については、下記のとおりとする。

有床診療所療養病床入院基本料の「注3」に定める費用は基本料に含まれるため、算定できない。

有床診療所療養病床入院基本料の「注4」から「注7」までの加算並びに「注8」及び「注 11」に掲げる各加算については、当該診療所に入院した日を入院初日として、それぞれの算定要件を満たす場合に算定することができる。この場合において、入退院支援加算については、入退院支援加算1又は2のロの療養病棟入院基本料等の場合の例により算定する。

(12) 「注10」に規定する栄養管理実施加算については、以下のとおりとする。

栄養管理実施加算は、入院患者ごとに作成された栄養管理計画に基づき、関係職種が共同して患者の栄養状態等の栄養管理を行うことを評価したものである。
当該加算は、入院患者であって、栄養管理計画を策定し、当該計画に基づき、関係職種が共同して栄養管理を行っている患者について算定できる。なお、当該加算は、食事を供与しておらず、食事療養に係る費用の算定を行っていない中心静脈注射等の治療を行っている患者であっても、栄養管理計画に基づき適切な栄養管理が行われている者であれば算定対象となること。
救急患者や休日に入院した患者など、入院日に策定できない場合の栄養管理計画は、入院後7日以内に策定したものについては、入院初日に遡って当該加算を算定することができる。
管理栄養士をはじめとして、医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者が共同して栄養管理を行う体制を整備し、あらかじめ栄養管理手順(標準的な栄養スクリーニングを含む栄養状態の評価、栄養管理計画、退院時を含む定期的な評価等)を作成すること。
栄養管理は、次に掲げる内容を実施するものとする。

(イ) 入院患者ごとの栄養状態に関するリスクを入院時に把握すること。
(ロ) 栄養スクリーニングを踏まえて栄養状態の評価を行い、入院患者ごとに栄養管理計画を作成すること。
(ハ) 栄養管理計画には、栄養補給に関する事項(栄養補給量、補給方法、特別食の有無等)、栄養食事相談に関する事項(入院時栄養食事指導、退院時の指導の計画等)、その他栄養管理上の課題に関する事項、栄養状態の評価の間隔等を記載すること。また、当該計画書又はその写しを診療録等に添付すること。
(ニ) 医師又は医師の指導の下に管理栄養士、薬剤師、看護師その他の医療従事者が栄養管理計画を入院患者に説明し、当該栄養管理計画に基づき栄養管理を実施すること。
(ホ) 栄養管理計画に基づき患者の栄養状態を定期的に評価し、必要に応じて当該計画を見直していること。

当該栄養管理の実施体制に関する成果を含めて評価し、改善すべき課題を設定し、継続的な品質改善に努めること。
当該診療所以外の管理栄養士等により栄養管理を行っている場合は、算定できない。
当該加算を算定する場合は、特定疾患治療管理料の「10」入院栄養食事指導料は別に算定できない。

(13) 「注 11」に規定する有床診療所在宅復帰機能強化加算は、在宅復帰機能の高い有床診療所を評価したものであること。

(14) 「注12」に規定する介護障害連携加算1及び2は、介護保険法施行令(平成10年政令第412号)第2条各号に規定する疾病を有する40歳以上65歳未満の者又は65歳以上若しくは重度の肢体不自由児(者)(脳卒中の後遺症の患者及び認知症の患者を除く。以下単に「重度の肢体不自由児(者)」という。)の者の受入について、十分な体制を有している有床診療所を評価したものである。なお、当該加算に係る入院期間の起算日は、第2部通則5に規定する起算日とする。

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