2024年|強度行動障害入院医療管理加算の算定要件と施設基準

強度行動障害入院医療管理加算とは、医学的管理を要する行為があるが意思の伝達が困難な強度行動障害児(者)に対して、経験を有する医師、看護師等による臨床的観察を伴う専門的入院医療が提供されることを評価したものであり、別に厚生労働大臣が定めるものに対して必要な治療を行った場合に以下の点数を算定します。

A231-2 強度行動障害入院医療管理加算(1日につき) 300点

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加算が算定できる入院料について

以下の入院料に対して加算を算定することが可能です。

  • 一般病棟入院基本料
  • 精神病棟入院基本料
  • 特定機能病院入院基本料(一般病棟、精神病棟のみ)
  • 専門病院入院基本料
  • 障害者施設等入院基本料
  • 小児入院医療管理料(小児入院医療管理料5のみ)
  • 児童・思春期精神科入院医療管理料
  • 特定一般病棟入院料

強度行動障害入院医療管理加算の施設基準

施設基準を満たすためには。次の各号のいずれかに該当する病棟であることが必要です。

(1) 児童福祉法第42条第2号に規定する医療型障害児入所施設(主として重症心身障害児を入所させるものに限る。)又は同法第6条の2の2第3項に規定する独立行政法人国立病院機構の設置する医療機関であって厚生労働大臣の指定するものに係る障害者施設等入院基本料を算定する病棟であること。

(2) 児童・思春期精神科入院医療管理料を算定する病棟であること。

強度行動障害入院医療管理加算の対象患者

「基本診療料の施設基準等」における強度行動障害スコア、医療度判定スコアについては、別添6の別紙14の2を参照のこと。

強度行動障害スコア、医療度判定スコア

強度行動障害児(者)の医療度判定基準評価の手引き

強度行動障害スコア

1.行動障害は、過去半年以上その行動が続いている場合を評価する。周期性のある行動障害につい ても半年を基準に、その行動の出現有無でチェックする。例えば、情緒不安定でパニックを起こ しても評価時から6ヵ月以前の行動であれば該当しない。

2.定期薬服用者は服用している状態で評価する(向精神薬・抗てんかん薬など)。

3.頓服の不穏時薬・不眠時薬・注射等は使用しない状態で評価する。

4.現在身体疾患で一時的にベッド安静などの場合は、半年以内であれば治癒・回復を想定して評価 する。半年以上継続していれば現在の状態で評価する。

5.評価は年1回以上定期的に行い、複数職種(医師、児童指導員、看護師など)でチェックを行う

6.項目別留意点

  1. 「1 ひどい自傷」は、自傷行為を防ぐための装具(ヘッドギアなど)は着用していない状態 を想定して評価する。
  2. 「4 はげしい物壊し」は、器材や玩具などを自由に使用できる環境を想定して評価する。
  3. 「5 睡眠の大きな乱れ」は、問題行動があって個室使用している場合は大部屋を想定して 評価する。
  4. 「6 食事関係の強い障害」は、離席や盗食防止のための身体拘束があれば、開放状態を想 定して評価する。問題行動のために食事場所を変える・時間をずらすなどの状態であれば本来 の場所・時間を想定して評価する。
  5. 「7 排泄関係の著しい障害」は、オムツ使用であればその状態で評価する。つなぎなどの 予防衣使用者は着用していない状態を想定して評価する。
  6. 「8 著しい多動」の項目は、開放病棟・行動制限なしの状況で評価する。

医療度判定スコア

1. 患者特性に応じた個別的治療をチームとして統一性と一貫性のある計画的な診療を行うため、次
を実施することを前提として配点

  1. 多面的な治療を計画的に提供するため、医師、看護師、児童指導員、保育士、臨床心理士、
    作業療法士等から構成されるチームにより、カンファレンスを実施し、患者の治療・観察必要
    性の評価、治療目標の共有化を図り、各職種の専門性を生かした診療計画を立案。
  2. 当該診療計画の実施について、当該チームによる定期的なカンファレンスを実施し、評価を
    行い、診療録に記載。
  3. 患者の状態に応じ、当該診療計画に見直しも行いつつ、評価、計画、実施、再評価のサイク
    ルを重ねる。

2.行動障害に対する専門医療の実施有無

  1. ①の「向精神薬等」とは、抗精神病薬、抗うつ薬、抗躁薬、抗てんかん薬、気分安定薬(mood
    stabilizers)、抗不安薬、睡眠導入剤のほか、漢方薬なども含む。
  2. ②は行動療法・動作法・TEACCH などの技法を取り入れた薬物療法以外の治療的アプローチに
    よる行動修正を行う専門医療。

3.神経・精神疾患の合併状態

  1. ③の「自閉症等」とは広汎性発達障害全般(自閉症スペクトラム障害全般)を指す。
  2. ④の「その他の精神疾患」とは、統合失調症、気分障害などを指す。「向精神薬等」は2-
    (1)と同様。

4. 身体疾患の合併状態

  1. ①は抗生剤等の内服・点滴、創部処置、縫合を含む。
  2. ④は胸部レントゲン検査や抗生剤内服または点滴治療などを含む
  3. ⑤の「その他の身体疾患」とは、低体温、GER・反すうを繰り返すことによる嘔吐・誤嚥、
    眼科・耳鼻科疾患、婦人科的疾患、循環器疾患、骨折やその他の整形外科的疾患、機能悪化・
    維持・改善のためのリハビリなども含む。

5.自傷・他害・事故による外傷等のリスクを有する行動障害への対応

  1. ①、②、③はいずれか一つをチェックする。
  2. ②の「個室対応等」とは、個別の環境設定やスケジュール調整などにより、本来は個室使用
    が必要な患者を個室以外で保護・重点観察している場合も含める。

6.患者自身の死亡に繋がるリスクを有する行動障害への対応

  1. 現在患者が生活している環境で評価するが、各項目に関連する理由で個室対応や個別の時間での
    対応を行っている場合は5点とみなす。

施設基準の届出に関する事項

強度行動障害入院医療管理加算の施設基準に係る取扱いについては、当該基準を満たしていればよく、特に地方厚生局に対して、届出を行う必要はありません。

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