ハイリスク妊娠管理加算とは、母体や胎児に健康上の問題や合併症を悪化させる危険性があるハイリスク妊娠の妊産婦に対して算定される診療報酬です。
A236-2 ハイリスク妊娠管理加算(1日につき) 1200点
ハイリスク妊娠管理加算の算定要件
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が、別に厚生労働大臣が定める患者(入院基本料(特別入院基本料等を除く。)又は特定入院料のうち、ハイリスク妊娠管理加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)について、入院中にハイリスク妊娠管理を行った場合に、1入院に限り20日を限度として所定点数に加算する。
ハイリスク妊娠管理加算の留意事項
(1) ハイリスク妊娠管理加算の算定対象となる患者は、次に掲げる疾患等の妊婦であって、医師がハイリスク妊娠管理が必要と認めた者であること。
ア 分娩時の妊娠週数が 22 週から 32 週未満の早産である患者(早産するまでの患者に限る。)
イ 妊娠高血圧症候群重症の患者
ウ 前置胎盤(妊娠28週以降で出血等の症状を伴う場合に限る。)の患者
エ 妊娠30週未満の切迫早産の患者であって、子宮収縮、子宮出血、頸管の開大、短縮又は軟化のいずれかの兆候を示しかつ以下のいずれかを満たすものに限る。
(イ) 前期破水を合併したもの
(ロ) 羊水過多症又は羊水過少症のもの
(ハ) 経腟超音波検査で子宮頸管長が20mm未満のもの
(ニ) 切迫早産の診断で他の医療機関より搬送されたもの
(ホ) 早産指数(tocolysis index)が3点以上のもの
オ多胎妊娠の患者
カ 子宮内胎児発育遅延の患者
キ 心疾患(治療中のものに限る。)の患者
ク 糖尿病(治療中のものに限る。)の患者
ケ 甲状腺疾患(治療中のものに限る。)の患者
コ腎疾患(治療中のものに限る。)の患者
サ 膠原病(治療中のものに限る。)の患者
シ特発性血小板減少性紫斑病(治療中のものに限る。)の患者
ス 白血病(治療中のものに限る。)の患者
セ 血友病(治療中のものに限る。)の患者
ソ 出血傾向のある状態(治療中のものに限る。)の患者
タ HIV陽性の患者
チRh不適合の患者
ツ 当該妊娠中に帝王切開術以外の開腹手術(腹腔鏡による手術を含む。)を行った患者又は行う予定のある患者
テ精神疾患の患者(当該保険医療機関において精神療法を実施している者又は他の保険医療機関において精神療法を実施している者であって当該保険医療機関に対して診療情報が文書により提供されているものに限る。)ただし、治療中のものとは、対象疾患について専門的治療が行われているものを指し、単なる経過観察のために年に数回程度通院しているのみの患者は算定できない。
- Q「分娩時の妊娠週数が22週から32週未満の早産である患者」とありますが、ハイリスク妊娠管理を行った時点での妊娠週数は問われないのでしょうか。
- A
そのとおりです。医師がハイリスク妊娠管理を必要と認め、ハイリスク妊娠管理を行った場合に算定できます。
(2) 当該加算は、1入院に20日を限度として所定点数に加算する。ただし、第2部通則5に規定する入院期間が通算される入院については、1入院として取り扱うものであること。
(3) 1入院の期間中に、ハイリスク分娩等管理加算を算定するハイリスク分娩管理又は地域連携分娩管理とハイリスク妊娠管理を併せて行うことは可能であり、ハイリスク妊娠管理加算とハイリスク分娩管理加算又は地域連携分娩管理加算を併せ、1入院当たり28日を限度として算定できるが、ハイリスク分娩管理加算又は地域連携分娩管理加算を算定する日と同一日に行うハイリスク妊娠管理に係る費用は、ハイリスク分娩管理加算又は地域連携分娩管理加算に含まれ、別に算定できない。
(4) 妊婦とは産褥婦を含まない。
[早産指数(tocolysis index)]
スコア | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|
子宮収縮 | 無 | 不規則 | 規則的 | ― | ― |
破水 | 無 | ― | 高位破水 | ― | 低位破水 |
出血 | 無 | 有 | ― | ― | ― |
子宮口の開大度 | 無 | 1㎝ | 2㎝ | 3㎝ | 4㎝以上 |
加算が算定できる入院料について
ハイリスク妊娠管理加算については、以下の入院料に対して加算を算定することが可能です。
- A100 一般病棟入院基本料
- A102 結核病棟入院基本料
- A103 精神病棟入院基本料
- A104 特定機能病院入院基本料
- A105 専門病院入院基本料
- A108 有床診療所入院基本料
- A317 特定一般病棟入院料
令和6年 ハイリスク妊娠管理加算の施設基準
(1) 産婦人科又は産科を標榜する保険医療機関であることが必要です。
(2) 専ら産婦人科又は産科に従事する医師が、1名以上配置されていることが必要です。
(3) 緊急の分娩に対応できる十分な体制及び設備があることが必要です。
(4) 公益財団法人日本医療機能評価機構が定める産科医療補償制度標準補償約款と同一の産科医療補償約款に基づく補償を実施していることが必要です。