急性期看護補助体制加算とは、病棟において看護補助者を配置する体制を評価する入院診療の加算です。定められた施設基準と算定要件を満たすことで、入院から14日間算定することができます。
A207-3 急性期看護補助体制加算(1日につき)
25対1急性期看護補助体制加算(看護補助者5割以上)240点
25対1急性期看護補助体制加算(看護補助者5割未満)220点
50対1急性期看護補助体制加算 200点
75対1急性期看護補助体制加算 160点
急性期看護補助体制加算の算定要件と加算
注1 看護職員の負担の軽減及び処遇の改善を図るための看護業務の補助の体制その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者のうち、急性期看護補助体制加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)について、入院した日から起算して14日を限度として所定点数に加算する。
注2 夜間における看護業務の補助の体制につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者については、当該基準に係る区分に従い、1日につき次に掲げる点数をそれぞれ更に所定点数に加算する。
イ 夜間30対1急性期看護補助体制加算 125点
ロ 夜間50対1急性期看護補助体制加算 120点
ハ 夜間100対1急性期看護補助体制加算 105点
注3 夜間における看護業務の体制につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者については、夜間看護体制加算として、71点を更に所定点数に加算する。
注4 看護職員の負担の軽減及び処遇の改善を図るための看護業務の補助に係る十分な体制につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者について、当該基準に係る区分に従い、1日につき次に掲げる点数をそれぞれ更に所定点数に加算する。ただし、当該患者について、身体的拘束を実施した日は、看護補助体制充実加算2の例により算定する。
イ 看護補助体制充実加算1 20点
ロ 看護補助体制充実加算2 5点
急性期看護補助体制加算の留意事項
(1) 急性期看護補助体制加算は、地域の急性期医療を担う保険医療機関において、看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制を確保することを目的として、看護業務を補助する看護補助者を配置している体制を評価するものである。
(2) 急性期看護補助体制加算は、当該加算を算定できる病棟において、看護補助者の配置基準に応じて算定する。なお、当該病棟において入院基本料等の施設基準に定める必要な数を超えて配置している看護職員については、看護補助者とみなして計算することができるが、25 対1急性期看護補助体制加算は、当該加算の配置基準に必要な看護補助者の数に対するみなし看護補助者を除いた看護補助者の比率に応じた点数を算定すること。
(3) 急性期看護補助体制加算を算定する病棟は、身体的拘束を最小化する取組を実施した上で算定する。取組内容については療養病棟入院基本料の(20)の例による。
(4) 夜間急性期看護補助体制加算は、みなし看護補助者ではなく、看護補助者の配置を夜勤時間帯に行っている場合にのみ算定できる。
(5) 急性期看護補助体制加算及び夜間急性期看護補助体制加算は、当該患者が入院した日から起算して14日を限度として算定できる。
(6) 「注3」に規定する夜間看護体制加算は、「注2」に規定する夜間30対1急性期看護補助体制加算、夜間50対1急性期看護補助体制加算又は夜間100対1急性期看護補助体制加算を算定している病棟において算定する。
(7) 「注4」に規定する看護補助体制充実加算は、看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に資する十分な体制を評価するものである。
(8) 「注4」については、当該患者について、身体的拘束を実施した日は、看護補助体制充実加算1の届出を行っている場合であっても、看護補助体制充実加算2を算定すること。この場合において、看護補助体制充実加算2の届出は不要である。なお、この身体的拘束を実施した日の取扱いについては、令和7年6月1日より適用すること。
算定できる入院料について
以下の入院料に対して急性期看護補助体制加算を算定することが可能です
- A100 一般病棟入院基本料(急性期のみ)
- A104 特定機能病院入院基本料(一般病棟)
- A105 専門病院入院基本料
専門病院入院基本料の算定については、7対1または10対1入院基本料を算定するもののみに限ります。
令和6年 急性期看護補助体制加算施設基準
通則
(1) 年間の緊急入院患者数が 200 名以上の実績を有する病院又は「周産期医療の体制構築に係る指針」に規定する総合周産期母子医療センターを設置している保険医療機関であること。緊急入院患者数については、医師事務作業補助体制加算1の施設基準の(4)と同様に取り扱うものであること。
(2) 年間の救急自動車及び救急医療用ヘリコプターによる搬送人数を把握していること。
(3) 次のいずれかを算定する病棟であること。
ア 急性期一般入院基本料
イ 特定機能病院入院基本料(一般病棟)の7対1入院基本料又は10対1入院基本料
ウ 専門病院入院基本料の7対1入院基本料又は10対1入院基本料
(4) 急性期看護補助体制加算を算定するものとして届け出た病床に、直近3月において入院している全ての患者の状態を、別添6の別紙7の一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰ又はⅡに係る評価票を用いて継続的に測定し、その結果、当該加算を算定するものとして届け出た病床に入院している患者全体(延べ患者数)に占める基準を満たす患者(別添6の別紙7による評価の結果、下記別表のいずれかに該当する患者をいう。以下「基準を満たす患者」という。)の割合が急性期一般入院料6又は10対1入院基本料を算定する病棟においては一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰで 0.6 割以上、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱで0.5割以上であること。ただし、産科患者及び15歳未満の小児患者は対象から除外する。また、重症度、医療・看護必要度Ⅱの評価に当たっては、歯科の入院患者(同一入院中に医科の診療も行う期間については除く。)は、対象から除外する。評価にあたっては、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度のⅠ又はⅡのいずれかを選択し届け出た上で評価すること。一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰ又はⅡのいずれを用いた評価を行うかは、入院料等の届出時に併せて届け出る他、評価方法の変更のみを届け出る場合、変更の届出は、新たな評価方法を適用する月の10日までに届け出ること。なお、評価方法の変更のみを行う場合について、新たな評価方法の適用を開始するのは毎年4月及び10月とする。
別表
A得点が2点以上かつB得点が3点以上の患者 |
A得点が3点以上の患者 |
C得点が1点以上の患者 |
(5) 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度に係る評価票の記入については、第1の1の(14)と同様であること。
(6) 急性期看護補助体制加算に係る看護補助業務に従事する看護補助者は、基礎知識を習得できる内容を含む院内研修を年1回以上受講した者であること。なお、研修内容については、別添2の第2の11の(4)の例による。
(7) 当該病棟において、看護職員と看護補助者との業務内容及び業務範囲について、年1回以上見直しを行うこと。
(8) 当該病棟の看護師長等が所定の研修(修了証が交付されるものに限る。)を修了していることが望ましいこと。また、当該病棟の全ての看護職員(所定の研修を修了した看護師長等を除く。)が院内研修を年1回以上受講していることが望ましいこと。ただし、内容に変更がない場合は、2回目以降の受講は省略して差し支えない。なお、看護師長等の所定の研修及び看護職員の院内研修の内容については、別添2の第2の11の(6)の例による。
(9) 看護補助者の配置については、各病棟の入院患者の状態等保険医療機関の実情に応じ、同一の入院基本料を届け出ている病棟間を含め、曜日や時間帯によって一定の範囲で傾斜配置できる。
(10) 看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制を整備していること。当該体制については、別添2の第2の11の(3)の例による。
25対1急性期看護補助体制加算(看護補助者5割以上)の施設基準
(1) 当該病棟において、1日に看護補助業務を行う看護補助者の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が25又はその端数を増すごとに1に相当する数以上であること。
(2) 当該加算の届出に必要な看護補助者の最小必要数の5割以上が看護補助者(みなし看護補助者を除く。)であること。
25対1急性期看護補助体制加算(看護補助者5割未満)の施設基準
(1) 当該病棟において、1日に看護補助業務を行う看護補助者の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が25又はその端数を増すごとに1に相当する数以上であること。
(2) 当該病棟において、届出の対象となる看護補助者の最小必要数の5割未満が看護補助者(みなし看護補助者を除く。)であること。
50対1急性期看護補助体制加算の施設基準
当該病棟において、1日に看護補助業務を行う看護補助者の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が50又はその端数を増すごとに1に相当する数以上であること。
75対1急性期看護補助体制加算の施設基準
当該病棟において、1日に看護補助業務を行う看護補助者の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が75又はその端数を増すごとに1に相当する数以上であること。
夜間30対1急性期看護補助体制加算の施設基準
当該病棟において、夜間の看護補助者の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が30又はその端数を増すごとに1に相当する数以上であること。
夜間50対1急性期看護補助体制加算の施設基準
当該病棟において、夜間の看護補助者の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が50又はその端数を増すごとに1に相当する数以上であること。
夜間100対1急性期看護補助体制加算の施設基準
当該病棟において、夜間の看護補助者の数は、常時、当該病棟の入院患者の数が 100 又はその端数を増すごとに1に相当する数以上であること。
夜間看護体制加算の施設基準
(1) 夜間 30 対1急性期看護補助体制加算、夜間 50 対1急性期看護補助体制加算又は夜間 100 対1急性期看護補助体制加算のいずれかを算定している病棟であること。
(2) 次に掲げる夜間における看護業務の負担軽減に資する業務管理等に関する項目のうち、ア又はウを含む3項目以上を満たしていること。また、当該3項目以上にケが含まれることが望ましいこと。ただし、当該加算を算定する病棟が2交代制勤務又は変則2交代制勤務を行う病棟のみで構成される保険医療機関である場合は、ア及びウからケまでのうち、ア又はウを含む3項目以上を満たしていること。
ア 当該病棟において、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護要員の勤務終了時刻と直後の勤務の開始時刻の間が11時間以上であること。
イ 3交代制勤務又は変則3交代制勤務の病棟において、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護要員の勤務開始時刻が、直近の勤務の開始時刻の概ね24時間後以降となる勤務編成であること。
ウ 当該病棟において、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護要員の連続して行う夜勤の数が2回以下であること。
エ 当該病棟において、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護要員の夜勤後の暦日の休日が確保されていること。
オ 当該病棟において、夜勤時間帯の患者のニーズに対応できるよう、早出や遅出等の柔軟な勤務体制の工夫がなされていること。
カ 当該保険医療機関において、所属部署以外の部署を一時的に支援するために、夜勤時間帯を含めた各部署の業務量を把握・調整するシステムが構築されており、かつ、部署間での業務標準化に取り組み、過去一年間に当該システムを夜勤時間帯に運用した実績があること。
キ 当該病棟において、みなし看護補助者を除いた看護補助者の比率が5割以上であること。
ク 当該保険医療機関において、夜勤時間帯を含めて開所している院内保育所を設置しており、夜勤を含む交代制勤務に従事する医療従事者の利用実績があること。
ケ 当該病棟において、ICT、AI、IoT等の活用によって、看護要員の業務負担軽減を行っていること。
(3) (2)のアからエまでについては、届出前1か月に当該病棟において、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護要員の各勤務のうち、やむを得ない理由により各項目を満たさない勤務が 0.5 割以内の場合は、各項目の要件を満たしているとみなす。(2)のキについては、暦月で1か月を超えない期間の1割以内の一時的な変動は要件を満たしているとみなす。(2)のクについては、院内保育所の保育時間に当該保険医療機関が定める夜勤時間帯のうち4時間以上が含まれること。ただし、当該院内保育所の利用者がいない日についてはこの限りではない。(2)のケについては、使用機器等が看護要員の業務負担軽減に資するかどうかについて、1年に1回以上、当該病棟に勤務する看護要員による評価を実施し、評価結果をもとに必要に応じて活用方法の見直しを行うこと。
看護補助体制充実加算1の施設基準
ア 当該保険医療機関において3年以上の看護補助者としての勤務経験を有する看護補助者が5割以上配置されていること。
イ 看護補助体制充実加算に係る看護補助者に対する院内研修の内容については、別添2の第2の11の(4)の例による。ただし、エについては、看護補助者が行う業務内容ごとに業務範囲、実施手順、留意事項等について示した業務マニュアルを作成し、当該マニュアルを用いた院内研修を実施していること。
ウ 当該病棟の看護師長等は所定の研修を修了していること。また当該病棟の全ての看護職員(所定の研修を修了した看護師長等を除く。)が院内研修を年1回以上受講していること。ただし、内容に変更がない場合は、2回目以降の受講は省略して差し支えない。なお、当該研修のそれぞれの内容については、別添2の第2の11の(6)の例による。
エ 当該保険医療機関における看護補助者の業務に必要な能力を段階的に示し、看護補助者の育成や評価に活用していること。
看護補助体制充実加算2の施設基準
看護補助体制充実加算1のイ及びウを満たすものであること。