看護補助加算とは、看護師の負担を軽減し、処遇を改善するために、看護補助者を配置している体制を評価する入院基本料です。看護補助者は、患者さんの身の回りのお世話や介助、備品や器具のチェックなど看護師の補助を行う業種です。
A214 看護補助加算(1日につき)
1 看護補助加算1 141点
2 看護補助加算2 116点
3 看護補助加算3 88点
看護補助加算の算定要件と加算
注1 別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出て当該基準による看護を行う病棟に入院している患者について、当該基準に係る区分に従い、所定点数に加算する。
注2 別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者については、夜間75対1看護補助加算として、入院した日から起算して20日を限度として55点を更に所定点数に加算する。
注3 夜間における看護業務の体制につき別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者については、夜間看護体制加算として、入院初日に限り176点を更に所定点数に加算する。
注4 看護職員の負担の軽減及び処遇の改善を図るための看護業務の補助に係る十分な体制につき別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者について、当該基準に係る区分に従い、1日につき次に掲げる点数をそれぞれ更に所定点数に加算する。ただし、当該患者について、身体的拘束を実施した日は、看護補助体制充実加算2の例により算定する。
イ 看護補助体制充実加算1 20点
ロ 看護補助体制充実加算2 5点
- Q精神病棟入院基本料や特定機能病院入院基 本料(精神病棟)を算定する患者さんに対して身体的拘束を行った場合でも、看護補助体制充実加算を算定できますか?
- A
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定に基づいて身体的拘束を実施した場合は算定できません。
看護補助加算の留意事項
(1) 看護補助加算は、当該加算を算定できる病棟において、看護補助者の配置基準に応じて算定する。なお、当該病棟において必要最小数を超えて配置している看護職員について、看護補助者とみなして計算することができる。
(2) 看護補助加算を算定する病棟は、次に掲げる身体的拘束を最小化する取組を実施した上で算定する。
ア 入院患者さんに対し、日頃より身体的拘束を必要としない状態となるよう環境を整えること。
イ 身体的拘束を実施するかどうかは、職員個々の判断でなく、当該患者さんに関わる「医師」「看護師」等、患者さんに関わる複数の職員で検討すること。(精神病棟を除く)
ウ やむを得ず身体的拘束を実施する場合であっても、「生命及び身体」の保護に重点を置いた行動の制限であり、代替の方法が見いだされるまでの間のやむを得ない対応として行われるものであることから、可及的速やかに解除するよう努めること。
エ 身体的拘束を実施するに当たっては、次の対応を行うこと。
・実施の必要性等のアセスメント
・患者家族への説明と同意
・身体的拘束の具体的行為や実施時間等の記録
・二次的な身体障害の予防
・身体的拘束の解除に向けた検討
オ 身体的拘束を実施した場合は、解除に向けた検討を少なくとも1日に1度は行うこと。なお、身体的な拘束を実施することを避けるために、ウ及びエの対応をとらずに家族等に対し付き添いを強要することがあってはならない。
(3) 夜間 75対1看護補助加算は、看護補助加算を算定している病棟において、当該患者が入院した日から起算して 20日を限度として所定点数に加算する。なお、みなし看護補助者ではなく、看護補助者の配置を夜勤時間帯に行っている場合にのみ算定できる。
(4) 「注4」に規定する看護補助体制充実加算は、看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に資する十分な体制を評価するものである。
(5) 「注4」については、当該患者について、身体的拘束を実施した日は、看護補助体制充実加算1の届出を行っている場合であっても、看護補助体制充実加算2を算定すること。この場合において、看護補助体制充実加算2の届出は不要である。なお、この身体的拘束を実施した日の取扱いについては、令和7年6月1日以降より適用すること。
加算が算定できる入院料について
看護補助加算については、以下の入院料に対して加算を算定することが可能です。
- A100 一般病棟入院基本料(地域一般入院料のみ)
- A102 結核病棟入院基本料
- A103 精神病棟入院基本料
- A104 特定機能病院入院基本料(結核病棟、精神病棟のみ)
- A105 専門病院入院基本料
- A106 障害者施設等入院基本料
- A317 特定一般病棟入院料
令和6年 看護補助加算の施設基準
(1) 看護補助加算1を算定するものとして届け出た病床に、直近3月において入院している全ての患者の状態を、別添6の別紙7の重症度、医療・看護必要度Ⅰ又は Ⅱに係る評価票を用いて継続的に測定し、その結果、当該入院基本料を算定するものとして届け出た病床に入院している患者全体(延べ患者数)に占める基準を満たす患者(別添6の別紙7による評価の結果、下記別表のいずれかに該当する患者をいう。以下「基準を満たす患者」という。)の割合が重症度、医療・看護必要度Ⅰで 0.4 割以上、重症度、医療・看護必要度Ⅱで0.3割以上であること。ただし、産科患者及び15歳未満の小児患者は対象から除外する。また、重症度、医療・看護必要度Ⅱの評価に当たっては、歯科の入院患者(同一入院中に医科の診療も行う期間については除く。)は、対象から除外する。評価にあたっては、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度のⅠ又はⅡのいずれかを選択し届け出た上で評価すること。一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰ又はⅡのいずれを用いた評価を行うかは、入院料等の届出時に併せて届け出る他、評価方法の変更のみを届け出る場合、変更の届出は、新たな評価方法を適用する月の10日までに届け出ること。なお、評価方法の変更のみを行う場合について、新たな評価方法の適用を開始するのは毎年4月及び10月とする。
別表
A得点が2点以上かつB得点が3点以上の患者 |
A得点が3点以上の患者 |
C得点が1点以上の患者 |
(2) 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度に係る評価票の記入については、第1の1の(14) と同様であること。
(3) 看護補助者の配置については、各病棟の入院患者の状態等保険医療機関の実情に応じ、同一の入院基本料を届け出ている病棟間を含め、曜日や時間帯によって一定の範囲で傾斜配置できること。
(4) 看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制を整備していること。当該体制については、別添2の第2の11の(3)の例による。
(5) 看護補助加算に係る看護補助業務に従事する看護補助者は、基礎知識を習得できる内容を含む院内研修を年1回以上受講した者であること。なお、院内研修の内容については、別添2の第2の11の1の(4)の例による。
(6) 当該病棟において、看護職員と看護補助者との業務内容及び業務範囲について、年1回以上見直しを行うこと。
(7) 当該病棟の看護師長等が所定の研修(修了証が交付されるものに限る。)を修了していることが望ましいこと。また、当該病棟の全ての看護職員(所定の研修を修了した看護師長等を除く。)が院内研修を年1回以上受講していることが望ましいこと。ただし、内容に変更がない場合は、2回目以降の受講は省略して差し支えない。なお、看護師長等の所定の研修及び看護職員の院内研修の内容については、別添2の第2の11の(6)の例による。
(8) 看護補助加算1について、令和6年3月 31 日において現に当該加算に係る届出を行っている保険医療機関にあっては、令和6年9月30日までの間、令和6年度改定後の看護補助加算1の重症度、医療・看護必要度の基準を満たすものとみなすものであること。
夜間75対1看護補助加算の施設基準
次のいずれかを算定する病棟であること。
(1) 地域一般入院料1又は地域一般入院料2
(2) 専門病院入院基本料、障害者施設等入院基本料、結核病棟入院基本料、精神病棟入院基本料又は特定機能病院入院基本料(結核病棟及び精神病棟に限る。)の13対1入院基本料
夜間看護体制加算の施設基準
(1) 看護補助者を夜勤時間帯に配置していること。
(2) 次に掲げる夜間における看護業務の負担軽減に資する業務管理等に関する項目のうち、ア又はウを含む4項目以上を満たしていること。また、当該4項目以上にコが含まれることが望ましいこと。ただし、当該加算を算定する病棟が2交代制勤務又は変則2交代制勤務を行う病棟のみで構成される保険医療機関である場合は、ア及びウからコまでのうち、ア又はウを含む4項目以上を満たしていること。なお、各項目の留意点については、別添3の第4の3の9の(3)と同様であること。
ア 当該病棟において、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護要員の勤務終了時刻と直後の勤務の開始時刻の間が11時間以上であること。
イ 3交代制勤務又は変則3交代制勤務の病棟において、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護要員の勤務開始時刻が、直近の勤務の開始時刻の概ね24時間後以降となる勤務編成であること。
ウ 当該病棟において、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護要員の連続して行う夜勤の数が2回以下であること。
エ 当該病棟において、夜勤を含む交代制勤務に従事する看護要員の夜勤後の暦日の休日が確保されていること。
オ 当該病棟において、夜勤時間帯の患者のニーズに対応できるよう、早出や遅出等の柔軟な勤務体制の工夫がなされていること。
カ 当該保険医療機関において、所属部署以外の部署を一時的に支援するために、夜勤時間帯を含めた各部署の業務量を把握・調整するシステムが構築されており、かつ、部署間での業務標準化に取り組み、過去一年間に当該システムを夜勤時間帯に運用した実績があること。
キ 当該加算に係る看護補助業務に従事する看護補助者の業務のうち5割以上が療養生活上の世話であること。
ク 当該病棟において、みなし看護補助者を除いた看護補助者の比率が5割以上であること。
ケ 当該保険医療機関において、夜勤時間帯を含めて開所している院内保育所を設置しており、夜勤を含む交代制勤務に従事する医療従事者の利用実績があること。
コ 当該病棟において、ICT、AI、IoT等の活用によって、看護要員の業務負担軽減を行っていること。
看護補助体制充実加算1の施設基準
ア 当該保険医療機関において3年以上の看護補助者としての勤務経験を有する看護補助者が5割以上配置されていること。
イ 看護補助体制充実加算に係る看護補助業務に従事する看護補助者は、基礎知識を習得できる内容を含む院内研修を年1回以上受講したものであること。なお、研修の内容については、別添2の第2の11の(4)の例による。ただし、エについては、看護補助者が行う業務内容ごとに業務範囲、実施手順、留意事項等について示した業務マニュアルを作成し、当該マニュアルを用いた院内研修を実施していること。
ウ 当該病棟の看護師長等は所定の研修を修了していること及び当該病棟の全ての看護職員(所定の研修を修了した看護師長等を除く。)が院内研修を年1回以上受講していること。ただし、内容に変更が無い場合は、2回目以降の受講は省略して差し支えない。なお、当該研修のそれぞれの内容については、別添2の第2の11の(6)の例による。
エ 当該保険医療機関における看護補助者の業務に必要な能力を段階的に示し、看護補助者の育成や評価に活用していること。
- Q「3年以上の看護補助者としての勤務経験を有する看護補助者が、5割以上配置されていること」とされていますが、「3年以上」は連続ではなく、 通算でもよいのでしょうか?
- A
通算3年以上で大丈夫です。
看護補助体制充実加算2の施設基準
看護補助体制充実加算1のイ及びウを満たすものであること。