小児特定集中治療室管理料は、15歳未満の患者さんが、特定集中治療室で治療を受ける場合に算定される特定入院料です。
A301-4 小児特定集中治療室管理料(1日につき)
1 7日以内の期間 16362点
2 8日以上の期間 14256点
小児特定集中治療室管理料の算定要件
注1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、15歳未満の小児(児童福祉法第6条の2第3項に規定する小児慢性特定疾病医療支援の対象である場合は、20歳未満の者)に対し、必要があって小児特定集中治療室管理が行われた場合に、14日(急性血液浄化(腹膜透析を除く。)を必要とする状態、心臓手術ハイリスク群、左心低形成症候群、急性呼吸窮迫症候群又は心筋炎・心筋症のいずれかに該当する小児にあっては21日、臓器移植を行った小児にあっては30日、体外式心肺補助(ECMO)を必要とする状態の小児にあっては35日、手術を必要とする先天性心疾患の新生児にあっては55日)を限度として算定する。
注2 第1章基本診療料並びに第2章第3部検査、第6部注射、第9部処置及び第13部病理診断のうち次に掲げるものは、小児特定集中治療室管理料に含まれるものとする。
イ 入院基本料
ロ 入院基本料等加算(臨床研修病院入院診療加算、超急性期脳卒中加算、医師事務作業補助体制加算、特定感染症入院医療管理加算、難病等特別入院診療加算(二類感染症患者入院診療加算に限る。)、地域加算、離島加算、医療安全対策加算、感染対策向上加算、患者サポート体制充実加算、重症患者初期支援充実加算、報告書管理体制加算、褥瘡ハイリスク患者ケア加算、術後疼痛管理チーム加算、病棟薬剤業務実施加算2、データ提出加算、入退院支援加算(1のイ及び3に限る。)、精神疾患診療体制加算、排尿自立支援加算及び地域医療体制確保加算を除く。)
ハ 第2章第3部の各区分の検査(同部第1節第2款の検体検査判断料を除く。)
ニ 点滴注射
ホ 中心静脈注射
ヘ 酸素吸入(使用した酸素及び窒素の費用を除く。)
ト 留置カテーテル設置
チ 第13部第1節の病理標本作製料
注3 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病室に入院している患者に対して、入室後早期から離床等に必要な治療を行った場合に、早期離床・リハビリテーション加算として、入室した日から起算して14日を限度として500点を所定点数に加算する。この場合において、同一日に心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料、障害児(者)リハビリテーション料及びがん患者リハビリテーション料は、算定できない。
注4 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た病室に入院している患者に対して、入室後早期から必要な栄養管理を行った場合に、早期栄養介入管理加算として、入室した日から起算して7日を限度として250点(入室後早期から経腸栄養を開始した場合は、当該開始日以降は400点)を所定点数に加算する。ただし、入院栄養食事指導料は別に算定できない。
小児特定集中治療室管理料の留意事項
(1) 小児特定集中治療室管理料の算定対象となる患者は、15 歳未満(児童福祉法第6条の2第2項に規定する小児慢性特定疾病医療支援の対象である場合は、20 歳未満)であって、次に掲げる状態にあり、医師が特定集中治療室管理が必要であると認めた者であること。
ア 意識障害又は昏睡
イ 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪
ウ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)
エ 急性薬物中毒
オ ショック
カ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)
キ 広範囲熱傷
ク 大手術後
ケ 救急蘇生後
コ その他外傷、破傷風等で重篤な状態なお、小児慢性特定疾病医療支援の対象患者については、当該病棟の対象となる年齢以降を見据えた診療体制の構築や診療計画の策定等に留意すること。
(2) 「注1」に掲げる手術を必要とする先天性心疾患の新生児とは、当該入院期間中に新生児であったものを含むものとする。
(3) 「注1」に掲げる臓器移植を行った小児とは、当該入院期間中に心臓、肺又は肝臓の移植を行った小児のことをいう。
(4) 「注3」に規定する早期離床・リハビリテーション加算は、小児特定集中治療室管理料を算定する病室に入室した患者に対する早期離床・リハビリテーションチームによる総合的な離床の取組を評価したものであり、当該加算を算定する場合の取扱いは、特定集中治療室管理料の(5)と同様であること。
(5) 「注4」に規定する早期栄養介入管理加算は、重症患者の小児特定集中治療室管理料を算定する病室への入室後、早期に管理栄養士が当該集中治療室の医師、看護師、薬剤師等と連携し、早期の経口移行・維持及び低栄養の改善等につながる栄養管理を評価したものであり、当該加算を算定する場合の取扱いは、特定集中治療室管理料の(6)から(8)までと同様であること。
(6) 小児特定集中治療室管理料に係る算定要件に該当しない患者が、当該治療室に入院した場合には、入院基本料等を算定する。この際、入院基本料等を算定する場合の費用の請求については、特定集中治療室管理料の(17)と同様であること。
小児特定集中治療室管理料に関する施設基準
(1) 小児入院医療管理料1の届出を行っている医療機関であること。
(2) 専任の医師が常時、小児特定集中治療室内に勤務していること。当該専任の医師に、小児の特定集中治療の経験を5年以上有する医師を2名以上含むこと。なお、当該専任の医師は、宿日直を行う医師ではないこと。ただし、患者の当該治療室への入退室などに際して、看護師と連携をとって当該治療室内の患者の治療に支障がない体制を確保している場合は、一時的に当該治療室から離れても差し支えない。
(3) 小児特定集中治療室管理を行うにふさわしい専用の小児特定集中治療室を有しており、当該治療室の病床数は、8床以上であること。また、当該小児特定集中治療室の広さは、内法による測定で、1床当たり15平方メートル以上であること。
(4) 当該管理を行うために必要な次に掲げる装置及び器具を特定集中治療室内に常時備えていること。ただし、ウからカについては、当該保険医療機関内に備え、必要な際に迅速に使用でき、緊急の事態に十分対応できる場合においては、この限りではない。
ア 救急蘇生装置(気管内挿管セット、人工呼吸装置等)
イ 除細動器
ウ ペースメーカー
エ 心電計
オ ポータブルエックス線撮影装置
カ 呼吸循環監視装置
キ 体外補助循環装置
ク 急性血液浄化療法に必要な装置
(5) 自家発電装置を有している病院であって、当該病院において電解質定量検査及び血液ガス分析を含む必要な検査が常時実施できること。
(6) 当該治療室内に、手術室と同程度の空気清浄度を有する個室及び陰圧個室を設置することが望ましい。
(7) 当該治療室勤務の医師は、当該治療室に勤務している時間帯は、当該治療室以外での勤務及び宿日直を併せて行わないものとし、当該治療室勤務の看護師は、当該治療室に勤務している時間帯は、当該治療室以外での夜勤を併せて行わないものとすること。
(8) 次のいずれかの基準を満たしていること。
ア 当該治療室において、他の保険医療機関から転院してきた急性期治療中の患者(転院時に他の保険医療機関で「A300」救命救急入院料、「A301」特定集中治療室管理料を算定するものに限る。)が直近1年間に20名以上であること。
イ 当該治療室において、他の保険医療機関から転院してきた患者(転院時に他の保険医療機関又は当該保険医療機関で「C004」救急搬送診療料を算定したものに限る。)が直近1年間に50名以上(そのうち、当該治療室に入室後24時間以内に人工呼吸(5時間以上(手術時の麻酔や検査のために実施した時間を除く。)のものに限る。)を実施した患者(当該治療室に入室後又は当該他の保険医療機関で開始されたものに限られ、日常的に人工呼吸を実施している患者は含まない。)が30名以上)であること。
ウ 当該治療室において、人工心肺を用いた先天性心疾患手術の周術期に必要な管理を実施した患者が直近1年間に80名以上であること。
(9) 掲げる医療安全対策加算1の届出を行っていること。
(3)に掲げる内法の規定の適用について、平成26年3月31日において、現に当該管理料の届出を行っている保険医療機関については、当該治療室の増築又は全面的な改築を行うまでの間は、当該規定を満たしているものとする。
早期離床・リハビリテーション加算の施設基準
(1) 当該治療室内に、以下から構成される早期離床・リハビリテーションに係るチームが設置されていること。
ア 小児の集中治療に関する5年以上の経験を有する専任の医師
イ 集中治療を必要とする患者の看護に従事した経験を5年以上有し、集中治療を必要とする患者の看護に係る適切な研修を修了した専任の常勤看護師
ウ 急性期医療を提供する保険医療機関において5年以上従事した経験を有する専任の常勤理学療法士、専任の常勤作業療法士又は専任の常勤言語聴覚士
(2) 当該保険医療機関内に複数の小児特定集中治療室管理料を届け出た病棟が設置されている場合、(1)に規定するチームが複数の小児特定集中治療室の早期離床・リハビリテーションに係るチームを兼ねることは差し支えない。
(3) (1)のアに掲げる専任の医師は、小児特定集中治療室に配置される医師が兼ねることは差し支えない。また、小児特定集中治療室を複数設置している保険医療機関にあっては、当該医師が配置される小児特定集中治療室の患者の治療に支障がない体制を確保している場合は、別の小児特定集中治療室の患者に対する早期離床・リハビリテーションに係るチームの業務を実施することができる。
(4) (1)のイに掲げる集中治療を必要とする患者の看護に係る適切な研修とは、国又は医療関係団体等が主催する 600 時間以上の研修(修了証が交付されるもの)であり、講義及び演習により集中治療を必要とする患者の看護に必要な専門的な知識及び技術を有する看護師の養成を目的とした研修又は保健師助産師看護師法第37条の2第2項第5号の規定による指定研修機関において行われる集中治療を必要とする患者の看護に係る研修であること。
(5) (1)のイに掲げる専任の常勤看護師は、特定集中治療室管理料1及び2を届け出る治療室に配置される1の(2)の看護師が兼ねることは差し支えない。また、救命救急入院料、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料又は小児特定集中治療室管理料(以下「小児特定集中治療室等」という。)を複数設置している保険医療機関にあっては、当該看護師が配置される小児特定集中治療室等の患者の看護に支障がない体制を確保している場合は、別の小児特定集中治療室等の患者に対する早期離床・リハビリテーションに係るチームの業務を実施することができる。
(6) (1)のウに掲げる専任の常勤理学療法士、専任の常勤作業療法士又は専任の常勤言語聴覚士は小児特定集中治療室等を有する保険医療機関で5年以上の経験を有すること。ただし、小児特定集中治療室等を有する保険医療機関での経験が5年に満たない場合は、回復期リハビリテーション病棟に専従で勤務した経験とあわせて5年以上であっても差し支えない。
(7) 小児特定集中治療室における早期離床・リハビリテーションに関するプロトコルを整備していること。なお、早期離床・リハビリテーションの実施状況等を踏まえ、定期的に当該プロトコルの見直しを行うこと。
(8) 「H000」心大血管疾患リハビリテーション料、「H001」脳血管疾患等リハビリテーション料又は「H003」呼吸器リハビリテーション料に係る届出を行っている保険医療機関であること。
早期栄養介入管理加算の施設基準
(1) 当該治療室に次の要件を満たす管理栄養士が専任で配置されていること。
ア 別添3の第19の1の(3)に規定する研修を修了し、栄養サポートチームにおいて栄養管理に係る3年以上の経験を有すること
イ 集中治療を必要とする患者の栄養管理に係る3年以上の経験を有すること
(2) (1)に掲げる管理栄養士は、以下の知識及び技能を有していることが望ましい。
ア 当該治療室への入室翌日までに入室患者全員の栄養スクリーニングを実施し、重点的な栄養管理を必要とする患者を特定することができること
イ 腸管機能として腸蠕動音、鼓音及び腹部膨満等を確認するとともに、Refeeding Syndro me、Over feedingについてのアセスメント及びモニタリングをすることができること
ウ 栄養管理に係る計画及び治療目的を多職種と共有し、アセスメントによって把握された徴候及び症状を勘案し、可能な限り入院前の日常生活機能等に近づけるよう栄養補給について立案することができること
エ 経腸栄養投与継続が困難と評価した場合は、担当医に報告し、栄養管理に係る計画を再考することができること
オ 経口摂取移行時においては、摂食嚥下機能について確認し、必要に応じて言語聴覚士等との連携を図ることができること
(3) 小児特定集中治療室管理料を算定する一般病床の治療室における専任の管理栄養士の数は、当該治療室の入院患者の数が10又はその端数を増すごとに1以上であること。複数の治療室を有する保険医療機関において、専任の管理栄養士は、複数の治療室を担当することは可能であるが、その場合であっても、専任の管理栄養士の数は、当該加算を届け出る治療室の入院患者の数の合計数が10又はその端数を増すごとに1以上であること。
(4) 当該治療室において、早期から栄養管理を実施するため日本集中治療医学会の「日本版重症患者の栄養療法ガイドライン」を参考にして院内において栄養管理に係る手順書を作成し、それに従って必要な措置が実施されていること。また、栄養アセスメントに基づく計画を対象患者全例について作成し、必要な栄養管理を行っていること。