特定感染症入院医療管理加算は、感染症法上の3類感染症、4類感染症、5類感染症、指定感染症の患者(疑似症患者含む)のうち感染対策が特に必要な患者さんを入院させ、適切な感染管理を行った場合に算定する入院料の加算です。
A209 特定感染症入院医療管理加算(1日につき)
1 治療室の場合 200点
2 それ以外の場合 100点
- Q「1治療室の場合」とは具体的に何を指しているのでしょうか。
- A
救命救急入院料、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料、新生児特定集中治療室管理料、新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料又は総合周産期特定集中治療室管理料を算定する患者さんについてを指しています。
特定感染症入院医療管理加算の算定要件
感染症法第6条第4項に規定する三類感染症の患者、同条第5項に規定する四類感染症の患者、同条第6項に規定する五類感染症の患者及び同条第8項に規定する指定感染症の患者並びにこれらの疑似症患者のうち感染対策が特に必要なものに対して、適切な感染防止対策を実施した場合に、1入院に限り7日(当該感染症を他の患者に感染させるおそれが高いことが明らかであり、感染対策の必要性が特に認められる患者に対する場合を除く。)を限度として、算定する。ただし、疑似症患者については、初日に限り所定点数に加算する。
「三類感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。
- コレラ
- 細菌性赤痢
- 腸管出血性大腸菌感染症
- 腸チフス
- パラチフス
「四類感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。
- E型肝炎
- A型肝炎
- 黄熱
- Q熱
- 狂犬病
- 炭 疽
- 鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く。)
- ボツリヌス症
- マラリア
- 野 兎
- 前各号に掲げるもののほか、既に知られている感染性の疾病であって、動物又はその死体、飲食物、衣類、寝具その他の物件を介して人に感染し、前各号に掲げるものと同程度に国民の健康に影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるもの
「五類感染症」とは、次に掲げる感染性の疾病をいう。
- インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)
- ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く。)
- クリプトスポリジウム症
- 後天性免疫不全症候群
- 性器クラミジア感染症
- 梅毒
- 麻しん
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
- 前各号に掲げるもののほか、既に知られている感染性の疾病(四類感染症を除く。)であって、前各号に掲げるものと同程度に国民の健康に影響を与えるおそれがあるものとして厚生労働省令で定めるもの
特定感染症入院医療管理加算の留意事項
(1) 特定感染症入院医療管理加算は、院内感染対策において感染管理の必要性が特に高い次に掲げる感染症の患者及び疑似症患者であって、他者に感染させるおそれがあると医学的に認められる患者について、標準予防策に加えて、空気感染対策、飛沫感染対策、接触感染対策など当該感染症の感染経路等の性質に応じて必要な感染対策を講じた上で入院医療を提供した場合に、1入院に限り7日(当該感染症を他の患者に感染させるおそれが高いことが明らかであり、感染対策の必要性が特に認められる患者に対する場合を除く。)を限度として加算する。ただし、疑似症患者については、初日に限り加算する。なお、当該患者に係る感染症について、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
ア 狂犬病
イ 鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く。)
ウ エムポックス
エ 重症熱性血小板減少症候群(病原体がフレボウイルス属SFTSウイルスであるものに限る。)
オ 腎症候性出血熱
カ ニパウイルス感染症
キ ハンタウイルス肺症候群
ク ヘンドラウイルス感染症
ケ インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)
コ 後天性免疫不全症候群(ニューモシスチス肺炎に限る。)
サ 麻しん
シ メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症
ス RSウイルス感染症
セ カルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症
ソ 感染性胃腸炎(病原体がノロウイルスであるものに限る。)
タ 急性弛緩性麻痺(急性灰白髄炎を除く。病原体がエンテロウイルスによるものに限る。)
チ 新型コロナウイルス感染症
ツ 侵襲性髄膜炎菌感染症
テ 水痘
ト 先天性風しん症候群
ナ バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症
ニ バンコマイシン耐性腸球菌感染症
ヌ 百日咳
ネ 風しん
ノ ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
ハ 無菌性髄膜炎(病原体がパルボウイルスB19によるものに限る。)
ヒ 薬剤耐性アシネトバクター感染症
フ 薬剤耐性緑膿菌感染症
ヘ 流行性耳下腺炎
ホ 感染症法第6条第8項に規定する指定感染症
(2) (1)のシ、セ、ナ、ニ、ノ、ヒ及びフについては、症状や所見から当該感染症が疑われ、分離・同定による当該細菌の検出及び薬剤耐性の確認を行い当該感染症と診断した場合に対象となり、単なる保菌者は対象とならない。
(3) (1)の 「当該感染症を他の患者に感染させるおそれが高いことが明らかであり、感染対策の必要性が特に認められる患者に対する場合」とは、特定感染症入院医療管理加算を算定した日から起算して7日目以降に、患者から排出される検体から感染性を有する病原体が現に検出されており、他の患者への感染の危険性が特に高いと医学的に認められる患者のことをいう。この場合は、当該検体検査の結果及び他の患者への感染の危険性が特に高いと判断する根拠について診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
(4) 特定感染症入院医療管理加算は、難病等特別入院診療加算と併せて算定できない。
加算が算定できる入院料について
以下の入院料に対して加算を算定することが可能です。