A233 リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算

リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算は、急性期病棟においてリハビリテーション、栄養管理、口腔管理を一体的に実施することで、入院患者の「医原性の寝たきり」発生を防止することを評価する加算です。

A233 リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算(1日につき)120点 

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リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の算定要件

リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理を連携・推進する体制につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして保険医療機関が地方厚生局長等に届け出た病棟に入院している患者(急性期一般入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)又は専門病院入院基本料(7対1入院基本料又は10対1入院基本料に限る。)を現に算定している患者に限る。)について、リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理に係る計画を作成した日から起算して14日を限度として所定点数に加算する。この場合において、栄養サポートチーム加算は別に算定できない。

リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の留意事項

(1) リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算は、急性期医療において、当該病棟に入院中の患者のADLの維持、向上等を目的に、早期からの離床や経口摂取が図られるよう、リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理に係る多職種による評価と計画に基づき、医師、看護師、当該病棟に専従及び専任の理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士(専従の理学療法士等)、当該病棟に専任の管理栄養士及びその他必要に応じた他の職種により、以下のアからエまでに掲げる取組を行った場合に、患者1人につきリハビリテーション・栄養管理・口腔管理に係る計画を作成した日から起算して14日を限度に算定できる。ただし、やむを得ない理由により、入棟後48時間を超えて計画を策定した場合においては、当該計画の策定日にかかわらず、入棟後3日目を起算日とする。

当該病棟に入棟した患者全員に対し、原則入棟後48時間以内にADL、栄養状態、口腔状態について別紙様式7の2又はこれに準ずる様式を用いた評価に基づき、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理に係る計画を別紙様式7の4又はこれに準ずる様式を用いて作成すること。なお、リスクに応じた期間で定期的な再評価を実施すること。退棟時においても別紙様式7の2又はこれに準ずる様式を用いた評価を行うこと及びリスクに応じた期間で再評価を実施することが望ましいこと。

入院患者のADL等の維持、向上等に向け、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理の評価と計画についてのカンファレンスが定期的に開催されていること。なお、カンファレンスにおいては、必要に応じ、想定される退棟先の環境を踏まえた退棟後に起こりうるリスク、転倒リスクを踏まえた転倒防止対策、患者の機能予後、患者が再び実現したいと願っている活動や社会参加等について共有を行うこと。当該病棟におけるカンファレンスの内容を記録していること。
適切な口腔ケアを提供するとともに、口腔状態に係る課題(口腔衛生状態の不良や咬合不良等)を認めた場合は必要に応じて当該保険医療機関の歯科医師等と連携する又は歯科診療を担う他の保険医療機関への受診を促すこと。
指導内容等について、診療録等に要点を簡潔に記載すること。

(2) 当該病棟の専従の理学療法士等は、当該病棟の患者に対し(1)のアからエまでの取組を実施するとともに、以下に掲げる疾患別リハビリテーション等の提供等により、全ての入院患者に対するADLの維持、向上等を目的とした指導を行うこととし、疾患別リハビリテーション等の対象とならない患者についても、ADLの維持、向上等を目的とした指導を行うこと。このため、専従の理学療法士等は1日につき9単位を超えた疾患別リハビリテーション料等の算定はできないものとする。

(3) 専任の管理栄養士は、(1)のアからエまでの取組を実施するとともに、次に掲げる栄養管理を実施すること。

リハビリテーション・栄養管理・口腔管理に係る計画の作成に当たって、原則入棟後48時間以内に、患者に対面の上、入院前の食生活や食物アレルギー等の確認を行うとともに、GLIM基準を用いた栄養状態の評価を行うこと。

週5回以上、食事の提供時間に、低栄養等のリスクの高い患者を中心に食事の状況を観察し、食欲や食事摂取量等の把握を行うこと。問題があった場合は、速やかに医師、看護師等と共有し、食事変更や食形態の調整等の対応を行うこと。
多職種のカンファレンスにおいて、患者の状態を踏まえ、必要に応じ食事調整(経口摂取・経管栄養の開始を含む。)に関する提案を行うこと。

加算が算定できる入院料について

以下の入院料に対して加算を算定することが可能です。

リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算に関する施設基準

(1) 急性期一般入院基本料、7対1入院基本料(特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)及び専門病院入院基本料)又は10対1入院基本料(特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)及び専門病院入院基本料)を算定する病棟を単位として行うこと。
(2) 当該病棟に、専従の常勤理学療法士、常勤作業療法士又は常勤言語聴覚士(以下「理学療法士等」という。)が2名以上配置されている。なお、うち1名は専任の従事者でも差し支えない。複数の病棟において当該加算の届出を行う場合には、病棟ごとにそれぞれ専従の理学療法士等が配置されていること。また、当該理学療法士等(専従のものに限る。)は、心大血管疾患リハビリテーション料脳血管疾患等リハビリテーション料廃用症候群リハビリテーション料運動器リハビリテーション料呼吸器リハビリテーション料摂食機能療法視能訓練難病患者リハビリテーション料障害児(者)リハビリテーション料がん患者リハビリテーション料認知症患者リハビリテーション料及び集団コミュニケーション療法料(以下「疾患別リハビリテーション等」という。)を担当する専従者との兼務はできないものであること。
ただし、当該病棟内に「A308」に規定する回復期リハビリテーション入院医療管理料又は「A308-3」に規定する地域包括ケア入院医療管理料1、2、3又は4を算定する病室がある場合には、当該病室における理学療法士等の業務について兼務しても差し支えない。
(3) 当該病棟に専任の常勤の管理栄養士が1名以上配置されていること。なお、当該専任の管理栄養士として配置される病棟は、1名につき1病棟に限る。

(4) 当該保険医療機関において、以下のいずれも満たす常勤医師が1名以上勤務していること。

リハビリテーション医療に関する3年以上の経験を有していること。

適切なリハビリテーション、栄養管理、口腔管理に係る研修を修了していること。

(5) (4)の要件のうちイにおけるリハビリテーション、栄養管理、口腔管理に係る研修とは、医療関係団体等が開催する急性期のリハビリテーション医療等に関する理論、評価法等に関する総合的な内容を含む研修であり、2日以上かつ12時間以上の研修期間で、修了証が交付されるものである。なお、当該研修には、次の内容を含むものである。また、令和6年3月31日までにADL維持等向上体制加算において規定された「適切なリハビリテーションに係る研修」を修了している医師については、令和8年3月31日までの間に限り当該研修を修了してるものとみなす。

リハビリテーション概論について(急性期リハビリテーションの目的、障害の考え方、チームアプローチを含む。)
リハビリテーション評価法について(評価の意義、急性期リハビリテーションに必要な評価を含む。)
リハビリテーション治療法について(運動療法、作業療法、言語聴覚療法、義肢装具療法及び薬物療法を含む。)
リハビリテーション処方について(リハビリテーション処方の実際、患者のリスク評価、リハビリテーションカンファレンスを含む。)
高齢者リハビリテーションについて(廃用症候群とその予防を含む。)カ 脳・神経系疾患(急性期)に対するリハビリテーションについて
心臓疾患(CCU でのリハビリテーションを含む。)に対するリハビリテーションについて
呼吸器疾患に対するリハビリテーションについて

運動器系疾患のリハビリテーションについて
周術期におけるリハビリテーションについて(ICUでのリハビリテーションを含む。)
急性期における栄養状態の評価(GLIM基準を含む。)、栄養療法について
急性期における口腔状態の評価、口腔ケア、医科歯科連携について
(6) プロセス・アウトカム評価として、以下のア~エの基準を全て満たすこと。なお、ア~ウについて、新規に届出をする場合は、直近3月間の実績が施設基準を満たす場合、届出することができる。

直近1年間に、当該病棟への入棟後3日(入棟日の翌々日)までに疾患別リハビリテーション料が算定された患者数から、当該病棟を退院又は転棟した患者のうち疾患別リハビリテーション料が算定された患者数を除した割合が8割以上であること。
直近1年間に、当該病棟の入棟患者に対する土曜日、日曜日、祝日における1日あたりの疾患別リハビリテーション料の提供単位数から、当該病棟の入棟患者に対する平日における1日あたりの疾患別リハビリテーション料の提供単位数を除した割合が8割以上であること。
直近1年間に、当該病棟を退院又は転棟した患者(死亡退院及び終末期のがん患者を除く。)のうち、退院又は転棟時におけるADLが入院時と比較して低下した患者の割合が3%未満であること。
当該病棟の入院患者のうち、院内で発生した褥瘡(DESIGN-R2020 分類 d2以上とする。)を保有している入院患者の割合が 2.5%未満であること。なお、その割合は、次の(イ)に掲げる数を(ロ)に掲げる数で除して算出する。ただし、届出時の直近月の初日(以下この項において「調査日」という。)における当該病棟の入院患者数が80人以下の場合は、本文の規定にかかわらず、当該病棟の入院患者のうち、院内で発生した褥瘡を保有している入院患者が2人以下であること。

(イ) 調査日に褥瘡を保有する患者数のうち、入院時既に褥瘡保有が記録された患者を除いた患者数
(ロ) 調査日の入院患者数(調査日の入院又は予定入院患者は含めず、退院又は退院予定患者は含める。)
(8) 入退院支援加算1の届出を行っていること。
(9) 適切な口腔ケアを提供するとともに、口腔状態に係る課題(口腔衛生状態の不良や咬合不良等)を認めた場合は、必要に応じて当該保険医療機関の歯科医師等と連携する又は歯科診療を担う他の保険医療機関への受診を促す体制が整備されていること。
(10) 当該保険医療機関において、BIの測定に関わる職員を対象としたBIの測定に関する研修会を年1回以上開催すること。

疑義解釈

Q
施設基準において、「直近1年間に、当該病棟を退院又は転棟した患者(死亡退院及び終末期のがん患者を除く。)のうち、退院又は転棟時におけるADLが入院時と比較して低下した患者の割合が3%未満であること。」 とされているが、入退棟時のBIの測定をする者についてどのように考えればよいか。
A

BIの測定に関わる職員を対象としたBIの測定に関する研修会を修了した職員が評価することが望ましい。

Q
同一の保険医療機関において、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算を算定した後に、地域包括医療病棟入院料の「注 10」に規定するリ ハビリテーション・栄養・口腔連携加算の届出を行っている病棟に転棟した場合について、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算の算定期間をどのように考えればよいか。
A

リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算を算定した期間と通算して14日間に限り算定できる。なお、リハビリテーション・栄養・口腔連携 加算を算定した後、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算を算定する場合でも同様である。

Q
リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算及び地域包括医療病棟入院料の施設基準において、「当該専任の管理栄養士として配置される病棟は、1名につき1病棟に限る。」とあるが、1名の管理栄養士がそれぞれの施設基準について1病棟ずつ兼務することができるか。
A

不可。

Q
リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算及び地域包括医療病棟入院料において、入棟後、原則 48時間以内に評価に基づき、リハビリテーシ ョン・栄養管理・口腔管理に係る計画を作成することとなっているが、入院前に、入退院支援部門と連携し、入院時支援の一環として栄養状態の評価を行った場合、その評価に基づき計画作成を行ってもよいか。
A

当該病棟の専任の管理栄養士が、入退院支援部門と連携して栄養状態の評価を行った場合は差し支えない。ただし、入院前と患者の状態に変更がある場合は、必要に応じて栄養状態の再評価を行うこと。

Q
リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算及び地域包括医療病棟入院料の「注 10」に規定するリハビリテーション・栄養・口腔連携加算について、専任の管理栄養士が休み等で不在の場合であって、入棟後48時間以内の患者との対面による確認や週5回以上の食事提供時間の観察等ができない場合についてどのように考えればよいか。
A

専任の管理栄養士が休み等で不在の場合、専任の管理栄養士以外の管理栄養士が実施しても差し支えない。なお、専任の管理栄養士以外が実施する場合は、随時、専任の管理栄養士に確認できる体制を整備しておくこと。

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