A236 褥瘡ハイリスク患者ケア加算(入院中1回)500点
褥瘡ハイリスク患者ケア加算の算定要件
注1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関に入院している患者(入院基本料(特別入院基本料等を除く。)又は特定入院料のうち、褥瘡ハイリスク患者ケア加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)について、重点的な褥瘡ケアを行う必要を認め、計画的な褥瘡対策が行われた場合に、入院中1回に限り、所定点数に加算する。
注2 医療提供体制の確保の状況に鑑み別に厚生労働大臣が定める地域に所在する保険医療機関であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出たものについては、注1に規定する届出の有無にかかわらず、当該加算の点数に代えて、褥瘡ハイリスク患者ケア加算(特定地域)として、250点を所定点数に加算することができる。
褥瘡ハイリスク患者ケア加算の留意事項
(1) 褥瘡ハイリスク患者ケア加算は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして届け出た保険医療機関に入院している患者であって、当該加算の要件を満たすものについて算定する。
(2) 褥瘡ハイリスク患者ケア加算は、褥瘡ケアを実施するための適切な知識・技術を有する専従の褥瘡管理者が、褥瘡予防・管理が難しく重点的な褥瘡ケアが必要な患者に対し、適切な褥瘡予防・治療のための予防治療計画に基づく総合的な褥瘡対策を継続して実施した場合、当該入院期間中1回に限り算定する。なお、当該加算は、第2部通則5に規定する入院期間が通算される再入院であっても別に算定できる。
(3) 褥瘡予防・管理が難しく重点的な褥瘡ケアが必要な患者とは、ベッド上安静であって、次に掲げるものをいう。
ア ショック状態のもの
イ 重度の末梢循環不全のもの
ウ 麻薬等の鎮痛・鎮静剤の持続的な使用が必要であるもの
エ 6時間以上の全身麻酔下による手術を受けたもの
オ 特殊体位による手術を受けたもの
カ 強度の下痢が続く状態であるもの
キ 極度の皮膚の脆弱(低出生体重児、GVHD、黄疸等)であるもの
ク 皮膚に密着させる医療関連機器の長期かつ持続的な使用が必要であるもの
ケ 褥瘡に関する危険因子(病的骨突出、皮膚湿潤、浮腫等)があって既に褥瘡を有するもの
(4) 「注2」に規定する点数は、基本診療料の施設基準等別表第六の二に掲げる地域に所在する保険医療機関(特定機能病院、許可病床数が 400 床以上の病院、DPC対象病院及び一般病棟入院基本料に係る届出において急性期一般入院料1のみを届け出ている病院を除く。)の一般病棟において、算定可能である。なお、基本診療料施設基準通知の別添2「入院基本料等の施設基準等」第5の6の規定により看護配置の異なる病棟ごとに一般病棟入院基本料の届出を行っている保険医療機関においては、一般病棟入院基本料(急性期一般入院料1を除く。)を算定する病棟で当該点数を算定できる。
(5) 「注2」に規定する点数を算定する場合は、褥瘡管理者は、褥瘡リスクアセスメント票・褥瘡予防治療計画書に基づき実施した褥瘡ケアの内容を診療録等に記載すること。
加算が算定できる入院料について
褥瘡ハイリスク患者ケア加算については、以下の入院料に対して加算を算定することが可能です。
- A100 一般病棟入院基本料
- A101 療養病棟入院基本料
- A102 結核病棟入院基本料
- A103 精神病棟入院基本料
- A104 特定機能病院入院基本料
- A105 専門病院入院基本料
- A106 障害者施設等入院基本料
- A300 救命救急入院料
- A301 特定集中治療室管理料
- A301-2 ハイケアユニット入院医療管理料
- A301-3 脳卒中ケアユニット入院医療管理料
- A301-4 小児特定集中治療室管理料
- A302 新生児特定集中治療室管理料
- A303 総合周産期特定集中治療室管理料
- A303-2 新生児治療回復室入院医療管理料
- A305 一類感染症患者入院医療管理料
- A307 小児入院医療管理料
- A310 緩和ケア病棟入院料
- A311 精神科救急急性期医療入院料
- A311-2 精神科急性期治療病棟入院料
- A311-3 精神科救急・合併症入院料
- A311-4 児童・思春期精神科入院医療管理料
- A317 特定一般病棟入院料
令和6年 褥瘡ハイリスク患者ケア加算の施設基準
(1) 当該保険医療機関内に、褥瘡ハイリスク患者のケアに従事した経験を5年以上有する看護師等であって、褥瘡等の創傷ケアに係る適切な研修を修了した者を褥瘡管理者として専従で配置していること。なお、ここでいう褥瘡等の創傷ケアに係る適切な研修とは、次の内容を含むものをいうこと。
ア 国又は医療関係団体等が主催する研修であって、褥瘡管理者として業務を実施する上で必要な褥瘡等の創傷ケア知識・技術が習得できる 600 時間以上の研修(修了証の交付があるもの)又は保健師助産師看護師法第37条の2第2項第5号に規定する指定研修機関において行われる褥瘡等の創傷ケアに係る研修であること。
イ 講義及び演習等により、褥瘡予防管理のためのリスクアセスメント並びにケアに関する知識・技術の習得、コンサルテーション方法、質保証の方法等を具体例に基づいて実施する研修
※褥瘡ハイリスク患者ケア加算(特定地域)を算定する場合は、褥瘡ハイリスク患者のケアに従事した経験を5年以上有する看護師等であって、褥瘡等の創傷ケアに係る適切な研修(ア及びイによるもの。)を修了した者を褥瘡管理者として配置していること。
(2) 褥瘡管理者は、その特性に鑑みて、褥瘡ハイリスク患者ケア加算を算定すべき患者の管理等に影響のない範囲において、オストミー・失禁のケアを行う場合には、専従の褥瘡管理者とみなすことができる。
(3) 別添6の別紙16の褥瘡リスクアセスメント票・褥瘡予防治療計画書を作成し、それに基づく重点的な褥瘡ケアの実施状況及び評価結果を記録していること。
(4) 褥瘡対策チームとの連携状況、院内研修の実績、褥瘡リスクアセスメント実施件数、褥瘡ハイリスク患者特定数、褥瘡予防治療計画件数及び褥瘡ハイリスク患者ケア実施件数を記録していること。
(5) 褥瘡対策に係るカンファレンスが週1回程度開催されており、褥瘡対策チームの構成員及び必要に応じて、当該患者の診療を担う医師、看護師等が参加していること。
(6) 総合的な褥瘡管理対策に係る体制確保のための職員研修を計画的に実施していること。
(7) 重点的な褥瘡ケアが必要な入院患者(褥瘡の予防・管理が難しい患者又は褥瘡に関する危険因子のある患者及び既に褥瘡を有する入院患者をいい、褥瘡リスクアセスメント票を用いて判定する。)に対して、適切な褥瘡発生予防・治療のための予防治療計画の作成、継続的な褥瘡ケアの実施及び評価、褥瘡等の早期発見及び重症化防止のための総合的な褥瘡管理対策を行うにふさわしい体制が整備されていること。
(8) 毎年8月において、褥瘡患者数等について、別添7の様式37の2により届け出ること。
褥瘡管理者の行う業務に関する事項
(1) 褥瘡管理者は、院内の褥瘡対策チームと連携して、所定の方法により褥瘡リスクアセスメントを行うこと。
(2) (1)の結果、特に重点的な褥瘡ケアが必要と認められる患者について、当該患者の診療を担う医師、看護師、その他必要に応じて関係職種が共同して褥瘡の発生予防等に関する予防治療計画を個別に立案すること。
(3) 当該計画に基づく重点的な褥瘡ケアを継続して実施し、その評価を行うこと。
(4) (1)から(3)までの他、院内の褥瘡対策チーム及び当該患者の診療を担う医師と連携して、院内の褥瘡発生状況の把握・報告を含む総合的な褥瘡管理対策を行うこと。