A252 地域医療体制確保加算

地域医療体制確保加算の算定要件と施設基準について

地域医療体制確保加算とは、地域の救急医療体制、周産期医療体制、小児救急医療体制において重要な機能を担う医療機関を評価する加算です。病院勤務医の負担の軽減や処遇の改善に資する取組を実施する体制を評価するもので、2020年度の診療報酬改定で新設されました。

A252 地域医療体制確保加算(入院初日) 620点

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地域医療体制確保加算の算定要件

救急医療を提供する体制、病院勤務医の負担の軽減及び処遇の改善に対する体制その他の事項につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関に入院している患者(入院基本料(特別入院基本料等を除く。)又は特定入院料のうち、地域医療体制確保加算を算定できるものを現に算定している患者に限る。)について、入院初日に限り所定点数に加算する。

地域医療体制確保加算の留意事項

(1) 地域医療体制確保加算は、地域の救急医療体制、周産期医療体制又は小児救急医療体制において重要な機能を担うとともに、病院勤務医の負担の軽減及び処遇の改善に資する取組を実施する体制を評価するものである。

(2) 地域医療体制確保加算は、当該患者の入院初日に限り算定する。

加算が算定できる入院料について

地域医療体制確保加算については、以下の入院料に対して加算を算定することが可能です。

地域医療体制確保加算に関する施設基準

地域医療体制確保加算するためには、ア〜ウのいずれかを満たしていることが必要です。

 救急用の自動車又は救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が、年間で2,000件以上であること。

 救急用の自動車又は救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が、年間で1,000 件以上であり、ハイリスク分娩等管理加算(ハイリスク分娩管理加算に限る)若しくは総合周産期特定集中治療室管理料又は小児特定集中治療室管理料若しくは新生児特定集中治療室管理料に係る届出を行っていること。

「疾病・事業及び在宅医療に係る医療提供体制について」に規定する総合周産期母子医療センター又は地域周産期母子医療センターのいずれかであること。

アとイの搬送件数については、1月から12月までの1年間における実績とし、他の要件を満たしている場合は、翌年の4月1日から翌々年の3月末日まで所定点数を算定できるものとされます。

産期母子医療センターとは、周産期に係わる高度な医療を対象とした医療施設で、産科と新生児科の両方が組み合わされた施設です。施設の状況により「総合周産期母子医療センター」「地域周産期母子医療センター」に別けられて認定されており、三次救急医療機関の1つです。

医師負担軽減及び処遇改善の体制について

病院勤務医の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制として、 ア〜エの体制を整備していることが必要です。

 医師の負担軽減及び処遇改善のため、医師の勤務状況の把握とその改善の必要性等について提言するための責任者を配置すること。

 医師の勤務時間及び当直を含めた夜間の勤務状況を把握していること。

多職種からなる役割分担推進のための委員会又は会議を設置し、「医師労働時間短縮計画作成ガイドライン」に基づき、「医師労働時間短縮計画」を作成すること。また、当該委員会等は、当該計画の達成状況の評価を行う際、その他適宜必要に応じて開催していること。

 医師の負担軽減及び処遇改善に関する取組事項を医療機関内に掲示する等の方法で公開すること。

医師の負担軽減及び処遇改善に関する取組の院内掲示について

病院勤務医の負担の軽減及び処遇の改善に関する取組事項についての院内掲示例です。正面玄関や待合室など患者さんの目につく場所に掲示しましょう。

「医師の負担軽減及び処遇改善に関する取組」について

 

当院では病院勤務医の負担軽減及び処遇改善のため、下記の項目について取り組みを行っております。

 

私たちは、医師が専門性を必要とする業務に専念できるよう、より効率的な業務運営を行うとともに快適な職場環境の実現に努めてまいります。

 

病院勤務医の負担軽減及び処遇改善のため、下記の項目について取り組みを行っております。

 

業務改善委員会の設置

  • 他業種との役割分担を定め、円滑な連携体制の確保
  • 全職種に渡る業務実態の把握及び改善に関する問題について議論

医療関係職種と事務職員等における役割分担

  • 初診時の予診の実施…受付事務
  • 静脈採取等の実施…看護師
  • 入院の説明実施…看護師
  • 検査手順の説明の実施…臨床検査技師
  • 薬の説明や服薬の指導…薬剤師
  • 診断書作成補助の実施…医師事務作業補助者

医師の勤務体制にかかる取組み

  • 勤務計画上、連続当直を行わない勤務体制
  • 勤務間インターバルの確保
  • 当直翌日の業務内容に対する配慮
  • 交替勤務制・複数主治医制の実施

総合入院体制加算医師事務作業補助体制加算又は急性期看護補助体制加算を届け出にあたり、医療従事者の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制、病院勤務医の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制又は看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制を整備する場合については、地域医療体制確保加算に係る体制と合わせて整備しても問題ありません。

疑義解釈

(問)施設基準において、「医師の労働時間について、原則として、タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。」とあるが、当該保険医療機関の全ての医師の労働時間について、客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録することが求められるのか。

(答)そのとおり。

(問) 施設基準において、「当該保険医療機関に勤務する医療法施行規則第63条に定める特定地域医療提供医師及び連携型特定地域医療提供医師(対象医師)の1年間の時間外・休日労働時間が、原則として、次のとおりであること。」とあるが、 対象医師の時間外・休日労働時間が、原則として示された上限以下である ことが求められるのか。

(答)そのとおり。

(問)施設基準において、当該保険医療機関に勤務する医療法施行規則第6 条に定める特定地域医療提供医師及び連携型特定地域医療提供医師の令和6年度、令和7年度における1年間の時間外・休日 労働時間の上限について、「ただし、1年間の時間外・休日労働時間が次のとおりでない対象医師がいる場合において、その理由、改善のための計画を当該保険医療機関の見やすい場所及びホームページ等に掲示する等の方法で公開した場合は、その限りでないこと。」とあるが、ホームページ等に掲示する等の方法での公開は、令和6年度、令和7年度の実績を把握した 後、翌年度に行うことでよいか。

(答)よい。

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