新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料は、重症新生児に対する集中治療を行うための十分な体制や専用施設、実績を有している治療室で算定できる特定入院料です。
A302-2 新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料(1日につき)14539点
新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料の算定要件
注1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、別に厚生労働大臣が定める状態の患者に対して、必要があって新生児特定集中治療室管理が行われた場合に、区分番号A302に掲げる新生児特定集中治療室管理料、新生児集中治療室管理料及び新生児治療回復室入院医療管理料を算定した期間と通算して、当該管理料の届出を行っている病床を有する治療室に入室した日から起算して7日を限度として、所定点数を算定する。
注2 第1章基本診療料並びに第2章第3部検査、第6部注射、第9部処置及び第13部病理診断のうち次に掲げるものは、新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料に含まれるものとする。
イ 入院基本料
ロ 入院基本料等加算(臨床研修病院入院診療加算、超急性期脳卒中加算、医師事務作業補助体制加算、特定感染症入院医療管理加算、難病等特別入院診療加算(二類感染症患者入院診療加算に限る。)、地域加算、離島加算、医療安全対策加算、感染対策向上加算、患者サポート体制充実加算、重症患者初期支援充実加算、報告書管理体制加算、褥瘡ハイリスク患者ケア加算、病棟薬剤業務実施加算2、データ提出加算、入退院支援加算(1のイ及び3に限る。)、排尿自立支援加算及び地域医療体制確保加算を除く。)
ハ 第2章第3部の各区分の検査(同部第1節第2款の検体検査判断料を除く。)
ニ 点滴注射
ホ 中心静脈注射
ヘ 酸素吸入(使用した酸素及び窒素の費用を除く。)
ト インキュベーター(使用した酸素及び窒素の費用を除く。)
チ 第13部第1節の病理標本作製料
新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料の留意事項
(1) 新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料の算定対象となる新生児は、次に掲げる状態であって、医師が新生児特定集中治療室管理が必要であると認めた者であること。
ア 体外式膜型人工肺を実施している状態
イ 腎代替療法(血液透析、腹膜透析等)を実施している状態
ウ 交換輸血を実施している状態
エ 低体温療法を実施している状態
オ 人工呼吸器を使用している状態(出生時体重が七百五十グラム未満である場合に限る。)
カ 人工呼吸器を使用している状態であって、一酸化窒素吸入療法を実施している状態
キ 人工呼吸器を使用している状態であって、胸腔・腹腔ドレーン管理を実施している状態
ク 開胸手術、開頭手術、開腹手術等後に人工呼吸器を使用している状態
ケ 新興感染症や先天性感染症等の感染症患者であって、陰圧個室管理など厳重な感染対策を行いながら人工呼吸器を使用している状態(合併症として発生した感染症は除く。)
(2) 新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料は新生児特定集中治療室管理料1又は新生児集中治療室管理料の届出を行っている治療室における助産師又は看護師の手厚い配置を評価したものであるため、新生児特定集中治療室管理料1又は新生児集中治療室管理料の施設基準により看護を実施する場合は、新生児特定集中治療室管理料1の例により算定することができる。ただし、このような算定ができる期間は、当該患者が算定要件を満たす状態になった時点(入室時含む)から24時間以内に限る。
(3) 当該治療室に入室した患者が当該入院料に係る算定要件に該当しない場合は、新生児特定集中治療室管理料1の算定要件に該当する患者については、新生児特定集中治療室管理料1の例により算定し、新生児特定集中治療室管理料1の算定要件に該当しない患者については、入院基本料等を算定する。この際、入院基本料等を算定する場合の費用の請求については、救命救急入院料の(17)と同様である。
(4) 当該管理料を算定する病床に入院している患者が算定要件を満たさなくなった場合であって、当該患者の移動が困難な場合には、治療室内で当該管理料を届け出ている病床以外に当該管理料の算定対象となる患者を入院させた場合であっても当該管理料を算定することができる。ただし、当該管理料を届け出ている病床数を超えて算定することはできない。
(5) 新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料を算定する場合は、(1)のアからケまでのいずれに該当するかを診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料に関する施設基準
(1) 「A302」の「1」新生児特定集中治療室管理料1又は「A303」の「2」新生児集中治療室管理料を届け出ている治療室(以下この項で単に「治療室」という。)の病床を単位として行うものであること。
(2) 専任の医師が常時、当該治療室内に勤務していること。当該専任の医師に、新生児の特定集中治療の経験を5年以上有する医師を2名以上含むこと。当該専任の医師は、宿日直を行う医師ではないこと。ただし、患者の当該治療室への入退室などに際して、看護師と連携をとって当該治療室内の患者の治療に支障がない体制を確保している場合は、一時的に当該治療室から離れても差し支えない
(3) 当該専任の医師は、当該治療室における専任の医師と兼任であって差し支えない。
(4) 当該治療室が次のアからウの基準を全て満たしていること。
ア 直近1年間の出生体重 750 グラム未満の新生児の新規入院患者数が4件以上であること。
イ 直近1年間の当該治療室に入院している患者について行った開胸手術、開頭手術、開腹手術、胸腔鏡下手術又は腹腔鏡下手術の年間実施件数が6件以上であること。
ウ 直近1年間経鼻的持続陽圧呼吸療法を除く人工呼吸管理を要する新規入院患者数が30件以上であること。
(5) 当該保険医療機関に常勤の臨床工学技士が1名以上配置されており、緊急時には常時対応できる体制がとられていること。
(6) 当該保険医療機関に常勤の公認心理師が1名以上配置されていること。
(7) 当該治療室勤務の医師は、当該治療室に勤務している時間帯は、治療室又は治療室、中間室及び回復室からなる病棟(正常新生児室及び一般小児病棟は含まれない。)以外での勤務及び宿日直を併せて行わないものとし、当該治療室勤務の看護師は、当該治療室に勤務している時間帯は、当該治療室以外での夜勤を併せて行わないものとすること。
(8) 当該病床と当該治療室については、それぞれ別の看護単位として運用する必要はないが、それぞれの看護配置を満たす必要がある。
(9) 当該管理料を届け出る病床に入院している患者が算定要件を満たす状態になった時点の時刻及び当該管理料を算定している際の看護配置状況等について記録を備えておくこと。
(10) 当該病床を有する治療室は、「A302」の「1」に掲げる新生児特定集中治療室管理料1又は「A303」の「2」に掲げる新生児集中治療室管理料の届出を行っている病床数を一時的に超えて入院患者を受け入れた場合については、それぞれの管理料を算定することはできない。