在宅患者緊急入院診療加算は、在宅での療養を行っている患者様の病状の急変等により入院が必要となった場合に、円滑に入院でき、かつ入院を受け入れた保険医療機関においても患者様の意向を踏まえた医療が引き続き提供されるための取組を評価した加算です。
患者様の意向を踏まえた医療とは
患者様への説明と同意について、病院が作成した方針・基準・手順書に基づいて、患者様が理解できるように行われる必要はあります。
患者様が安心して医療を受けられるように、患者様の権利を明確にして患者様は「自己決定権有すること」が守られなければなりません。
その取組として「意思表明確認書」等を使用して書面にて残しておくことが必要です。
内容としては以下のものが主に挙げられます。
- 経口摂取が困難になった場合について
- 急変時の心臓マッサージや延命治療について
- 抗がん剤や麻薬の投与について
- 最期を迎える場所について
※患者様の権利についてはリスボン宣言を参考にされたらいいと思います。
点数について
1 他の保険医療機関との連携により在宅療養支援診療所若しくは在宅療養支援病院の体制を確保している保険医療機関において、当該他の保険医療機関の求めに応じて行う場合又は在宅療養後方支援病院が他の保険医療機関の求めに応じて行う場合 2500点
2 連携医療機関である場合(1の場合を除く。) 2000点
3 1及び2以外の場合 1000点
別の保険医療機関(診療所に限る)において「在宅時医学総合管理料」「施設入居時等医学総合管理料」「在宅がん医療総合診療料」「在宅療養指導管理料」を入院した日の属する月又はその前月に算定している患者様の病状の急変等に伴い、当該保険医療機関の医師の求めに応じて入院させた場合に、入院初日に限り所定点数に加算します。
1については、在宅療養後方支援病院(許可病床数が400床以上のものに限る。)において、別に厚生労働大臣が定める疾病等を有する患者を入院させた場合に、当該患者様について、入院初日に限り所定点数に加算します。また、診療所医師から求められていないが緊急入院となった場合、患者様の入院後24時間以内に、当該診療所の医師から、患者様の診療情報が提供された場合は算定できます。
在宅療養後方支援病院とは
在宅療養後方支援病院とは、地方厚生局長に届出て認可される200床以上の病院の施設基準のひとつです。
在宅医療を提供している医療機関と連携し、あらかじめ緊急時の入院先とする希望を届け出ていた患者様の急変時などに24時間体制で対応し、必要があれば入院を受け入れる病院です。
在宅患者緊急入院診療加算に規定する別に厚生労働大臣が定める疾病等
- 多発性硬化症
- 重症筋無力症
- スモン
- 筋萎縮性側索硬化症
- 脊髄小脳変性症
- ハンチントン病
- 進行性筋ジストロフィー症
- パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ三以上であって生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る。))
- 多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群)
- プリオン病
- 亜急性硬化性全脳炎
- ライソゾーム病
- 副腎白質ジストロフィー
- 脊髄性筋萎縮症
- 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
- 後天性免疫不全症候群
- 頸髄損傷
- 十五歳未満の者であって人工呼吸器を使用している状態のもの又は十五歳以上のものであって人工呼吸器を使用している状態が十五歳未満から継続しているもの(体重が二十キログラム未満である場合に限る。)
再入院の算定について
他の診療所において「在宅時医学総合管理料」「施設入居時等医学総合管理料」「在宅がん医療総合診療料」「在宅療養指導管理料(在宅自己注射指導管理料を除く。)」を入院の月又はその前月に算定している患者様について、患者様の病状の急変等に伴い保険医の求めに応じて入院させた場合に、当該入院中1回に限り、入院初日に算定します。ただし、入院期間が通算される再入院の初日は算定できません。