2024年|緩和ケア診療加算の算定要件・カルテ記載・施設基準

別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、緩和ケアを要する患者さんに対して、必要な診療を行った場合に、以下の点数を算定します。

A226-2 緩和ケア診療加算(1日につき) 390点

緩和ケア診療加算(特定地域) 200点

小児加算 100点

個別栄養食事管理加算 70点

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算定要件について

緩和ケア診療加算は、一般病床に入院する悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群又は末期心不全の患者さんのうち、疼痛、倦怠感、呼吸困難等の身体的症状又は不安、抑うつなどの精神症状を持つ方に対して、患者さんの同意に基づき、症状緩和に係るチームによる診療が行われた場合に算定します。

末期心不全の患者とは

以下のアからウまでの基準及びエからカまでのいずれかの基準に該当する方が末期心不全の患者さんとされています。

心不全に対して適切な治療が実施されていること。

器質的な心機能障害により、適切な治療にかかわらず、慢性的にNYHA重症度分類Ⅳ度の症状に該当し、頻回又は持続的に点滴薬物療法を必要とする状態であること。

過去1年以内に心不全による急変時の入院が2回以上あること。なお、「急変時の入院」とは、患者さんの病状の急変等による入院を指し、予定された入院を除きます。

左室駆出率が20%以下であること。

医学的に終末期であると判断される状態であること。

エ又はオに掲げる状態に準ずる場合であること。

NYHA心機能分類とは・・・

ニューヨークの心臓協会が作成し、身体活動による自覚症状の程度により心疾患の重症度を分類したもので、心不全における重症度分類として使用されているものです。

左室駆出率とは・・・

心臓の機能評価の指標の1つです。左室駆出率は50%以上が正常とされており、その数値を基準にして心疾患の状態や予後を把握することができます。

カルテ記載について

  • 緩和ケアチームは初回の診療に当たり、患者さんの診療を担う医師、看護師及び薬剤師などと共同の上別紙様式3又はこれに準じた緩和ケア診療実施計画書を作成し、その内容を患者に説明の上交付するとともに、その写しを診療録等に添付しましょう。
緩和ケア実施計画書
  • 特定地域の緩和ケア診療加算を算定する場合は、緩和ケアチームの医師、看護師、薬剤師の全てが緩和ケア診療実施計画に基づいて実施した診療内容を診療録に記載しましょう。
  • 個別栄養食事管理加算を算定する場合は、緩和ケア診療実施計画に基づき実施した栄養食事管理の内容をカルテに記載または内容を記録したものを診療録に添付しましょう。

緩和ケア診療加算(特定地域)について

医療提供体制の確保の状況に鑑み別に厚生労働大臣が定める地域に所在する保険医療機関であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た医療機関については、当該加算の点数に代えて、緩和ケア診療加算(特定地域)として、200点を所定点数に加算することができます。

小児加算について

患者さんが15歳未満の小児である場合には、小児加算として、100点を更に所定点数に加算することができます。

個別栄養食事管理加算について

別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において、緩和ケアを要する患者さんに対して、緩和ケアに係る必要な栄養食事管理を行った場合には、個別栄養食事管理加算として、70点を更に所定点数に加算することができます。

加算が算定できる入院料について

以下の入院料に対して加算を算定することが可能です。

  • 一般病棟入院基本料
  • 特定機能病院入院基本料(一般)
  • 専門病院入院基本料
  • 小児入院医療管理料
  • 特定一般病棟入院料

小児入院医療管理料の算定については、1及び2を算定するものに限ります。

緩和ケア診療加算に関する施設基準

(1) 以下の4名から構成される緩和ケアに係るチームが設置されていることが必要です。

身体症状の緩和を担当する専任の常勤医師

精神症状の緩和を担当する専任の常勤医師

緩和ケアの経験がある専任の常勤看護師

緩和ケアの経験がある専任の薬剤師

なお、アからエまでのうちいずれか1人は専従であることが必要です。ただし、緩和ケアチームが診察する患者数が1日に15人以内である場合は、いずれも専任で大丈夫です。

また、緩和ケア診療加算(特定地域)を算定する場合には、以下の4名から構成される緩和ケアチームにより、緩和ケアに係る専門的な診療が行われていることとされています。

身体症状の緩和を担当する常勤医師

精神症状の緩和を担当する医師

緩和ケアの経験がある看護師

緩和ケアの経験がある薬剤師

(2) 緩和ケアチームの構成員は、外来緩和ケア管理料に係る緩和ケアチームの構成員と兼任であっても大丈夫です。また、緩和ケアの特性に鑑みて、専従の医師にあっても、緩和ケア診療加算を算定すべき診療及び外来緩和ケア管理料を算定すべき診療に影響のない範囲において、専門的な緩和ケアに関する外来診療を行っても大丈夫です(ただし、専門的な緩和ケアに関する外来診療に携わる時間は、所定労働時間の2分の1以下であることとされています)。

(3) (1)のア又はオに掲げる医師は、悪性腫瘍の患者さん又は後天性免疫不全症候群の患者さんを対象とした症状緩和治療を主たる業務とした3年以上の経験がある医師であることされています。なお、末期心不全の患者さんを対象とする場合には、末期心不全の患者さんを対象とした症状緩和治療を主たる業務とした3年以上の経験を有する医師であっても大丈夫です。また、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務を行っている専任の非常勤医師(悪性腫瘍患者又は後天性免疫不全症候群の患者さんを対象とした症状緩和治療を主たる業務とした3年以上の経験を有する医師に限る(末期心不全の患者さんを対象とする場合には、末期心不全の患者さんを対象とした症状緩和治療を主たる業務とした3年以上の経験を有する者であっても大丈夫です。)。)を2名組み合わせることにより、常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤医師が配置されている場合には、当該2名の非常勤医師が緩和ケアチームの業務に従事する場合に限り、当該基準を満たしていることとみなすことができます。

(4) (1)のイ又はカに掲げる医師は、3年以上がん専門病院又は一般病院での精神医療に従事した経験がある医師であることとされています。なお、イに掲げる常勤医師については、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務を行っている専任の非常勤医師(3年以上がん専門病院又は一般病院での精神医療に従事した経験を有する医師に限る。)を2名組み合わせることにより、常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤医師が配置されている場合には、当該2名の非常勤医師が緩和ケアチームの業務に従事する場合に限り、当該基準を満たしていることとみなすことができます。

(5) (1)のア、イ、オ及びカに掲げる医師のうち、悪性腫瘍の患者さんに対して緩和ケアに係る診療を行う場合には、以下のア又はイのいずれかの研修を修了している医師であることが必要です。また、末期心不全症候群の患者さんに対して緩和ケアに係る診療を行う場合には、アからウまでのいずれかの研修を修了している医師であることが必要です。なお、後天性免疫不全症候群の患者さんに対して緩和ケアに係る診療を行う場合には下記研修を修了していなくてもよいとされています。

 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の開催指針に準拠した緩和ケア研修会

 緩和ケアの基本教育のための都道府県指導者研修会(国立研究開発法人国立がん研究センター主催)等

 日本心不全学会により開催される基本的心不全緩和ケアトレーニングコース

(6) (1)のウ又はキに掲げる看護師は、5年以上悪性腫瘍患者の看護に従事した経験を有し、緩和ケア病棟等における研修を修了している看護師であることとされています。なお、ここでいう緩和ケア病棟等における研修とは、次の事項に該当する研修のことをいいます。

 国又は医療関係団体等が主催する研修であること(600 時間以上の研修期間で、修了証が交付されるもの)。

 緩和ケアのための専門的な知識・技術を有する看護師の養成を目的とした研修であること。

 講義及び演習により、次の内容を含むものであること。

(イ)ホスピスケア・疼痛緩和ケア総論及び制度等の概要

(ロ)悪性腫瘍又は後天性免疫不全症候群のプロセスとその治療

(ハ)悪性腫瘍又は後天性免疫不全症候群患者の心理過程

(ニ)緩和ケアのためのアセスメント並びに症状緩和のための支援方法

(ホ)セルフケアへの支援及び家族支援の方法

(ヘ)ホスピス及び疼痛緩和のための組織的取組とチームアプローチ

(ト)ホスピスケア・緩和ケアにおけるリーダーシップとストレスマネジメント

(チ)コンサルテーション方法

(リ)ケアの質を保つためのデータ収集・分析等について

 実習により、事例に基づくアセスメントとホスピスケア・緩和ケアの実践

(7) (1)のエ又はクに掲げる薬剤師は、麻薬の投薬が行われている悪性腫瘍患者さんに対する薬学的管理及び指導などの緩和ケアの経験があることが必要です。

(8) (1)のア、イ、オ及びカに掲げる医師については、緩和ケア病棟入院料の届出に係る担当医師と兼任ではないこととされています。ただし、緩和ケア病棟入院料の届出に係る担当医師が複数名である場合は、緩和ケアチームに係る業務に関し専任である医師については、緩和ケア病棟入院料の届出に係る担当医師と兼任であっても大丈夫です。

(9) 症状緩和に係るカンファレンスが週1回程度開催されており、緩和ケアチームの構成員及び必要に応じて、当該患者の診療を担う医師、看護師、薬剤師などが参加していることが必要です。

(10) 緩和ケアチームが組織上明確に位置づけられていることが必要です。

(11) 院内の見やすい場所に緩和ケアチームによる診療が受けられる旨の掲示をするなど、患者さんに対して必要な情報提供がなされていることとされています。

(12)  個別栄養食事管理加算を算定する場合には、緩和ケアチームに、緩和ケア病棟において緩和ケアを要する患者さんに対する患者さんの栄養食事管理に従事した経験又は緩和ケア診療を行う医療機関において栄養食事管理に係る3年以上の経験がある専任の管理栄養士が参加していることが必要です。

(13) がん診療の拠点となる病院とは、「がん診療連携拠点病院等の整備について」に規定するがん診療連携拠点病院等、特定領域がん診療連携拠点病院及び地域がん診療病院又は「小児がん拠点病院の整備について」をいいます。特定領域がん診療連携拠点病院については、当該特定領域の悪性腫瘍の患者さんについてのみ、がん診療連携拠点病院に準じたものとして取り扱います。

また、がん診療の拠点となる病院又は公益財団法人日本医療機能評価機構等が行う医療機能評価を受けている病院に準じる病院とは、都道府県が当該地域においてがん診療の中核的な役割を担うと認めた病院又は公益財団法人日本医療機能評価機構が定める機能評価(緩和ケア病院)と同等の基準について、第三者の評価を受けている病院をいいます。

届出を行う地方厚生局HPについて

届出を行う際は、医療機関が所在する都道府県を管轄する『地方厚生局』に必要書類を提出して申請を行う必要があります。

基本診療料の各書式(令和6年)については、各地方厚生局のH Pよりダウンロードできます。

届出時の留意事項

  • 各月の末日までに要件審査を終え、届出を受理した場合は、翌月の1日から当該届出に係る診療報酬を算定することができます。また、月の最初の開庁日に要件審査を終え、届出を受理した場合には当該月の1日から算定することができます。
  • 施設基準等の届出に当たっては、原則として郵便による送付をお願いしております。(FAXによる届出はできません。)
  • 届出書は、正本1通(届出書にかかる添付書類を含む)を提出してください。なお、控えとして送付した正本のコピー等を保存してください。
  • 「行政手続きに係る押印を不要とする取扱いについて」により、本ページに掲載されている様式は、令和3年2月1日以降、押印が不要となりました。
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