有床診療所緩和ケア診療加算とは、緩和ケアを必要とする患者に対して診療を行った場合に算定される入院料の加算です。
A226-3 有床診療所緩和ケア診療加算(1日につき) 250点
有床診療所緩和ケア診療加算の算定要件
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た診療所である保険医療機関において、緩和ケアを要する患者に対して、必要な診療を行った場合に、当該患者について、所定点数に加算する。
有床診療所緩和ケア診療加算の留意事項
(1) 有床診療所緩和ケア診療加算は、一般病床に入院する悪性腫瘍、後天性免疫不全症候群又は末期心不全の患者のうち、疼痛、倦怠感、呼吸困難等の身体的症状又は不安、抑うつなどの精神症状を持つ者に対して、当該患者の同意に基づき、医師、看護師が共同して緩和ケアに係る診療が行われた場合に算定する。なお、末期心不全の患者については、緩和ケア診療加算の(2)の基準に該当するものに限る。
(2) 緩和ケアに従事する医師、看護師は、身体症状及び精神症状の緩和を提供することが必要であり、緩和ケアに従事する医師又は看護師のいずれかは緩和ケアに関する研修を修了していること。ただし、後天性免疫不全症候群の患者を診療する際には当該研修を修了していなくても当該加算は算定できる。
(3) 緩和ケアに係る診療に当たり、医師、看護師が共同の上別紙様式3(主治医、精神科医、緩和ケア医は同一で差し支えない。)又はこれに準じた緩和ケア診療実施計画書を作成し、その内容を患者に説明の上交付するとともに、その写しを診療録等に添付すること。
(4) 当該加算を算定する患者については入院精神療法の算定は週に1回までとする。
加算が算定できる入院料について
有床診療所緩和ケア診療加算については、以下の入院料に対して加算を算定することが可能です。
令和6年 有床診療所緩和ケア診療加算の施設基準
(1) 身体症状、精神症状の緩和を担当する常勤医師及び緩和ケアの経験がある常勤看護師が配置されていることが必要です。
(2) 医師については、悪性腫瘍の患者さん又は後天性免疫不全症候群の患者さんを対象とした症状緩和治療を主たる業務とした1年以上の経験が必要です。なお、末期心不全の患者さんを対象とする場合には、末期心不全の患者さんを対象とした症状緩和治療を主たる業務とした1年以上の経験がある医師でも大丈夫です。
(3) 看護師については、3年以上悪性腫瘍の患者さんの看護に従事した経験があることが必要です。
(4) 医師又は看護師のいずれかが所定の研修を修了している必要がありますが、後天性免疫不全症候群の患者さんに対して緩和ケアに係る診療又は看護を行う場合は、この限りではありません。
(5) (4)に掲げる「所定の研修を修了している」とは次のとおりです。
① 医師については、悪性腫瘍の患者さんに対して緩和ケアに係る診療を行う場合には、以下のア又はイのいずれかの研修を、末期心不全症候群の患者さんに対して緩和ケアに係る診療を行う場合には、ア、イ又はウのいずれかの研修を修了していることが必要です。
ア がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の開催指針に準拠した緩和ケア研修会
イ 緩和ケアの基本教育のための都道府県指導者研修会(国立研究開発法人国立がん研究センター主催)等
ウ 日本心不全学会により開催される基本的心不全緩和ケアトレーニングコース
② 看護師については、次の事項に該当する研修を修了していることが必要です。
ア 国又は医療関係団体等が主催する研修であること(2日以上かつ10時間の研修期間で、修了証が交付されるもの)。
イ 緩和ケアのための専門的な知識・技術を有する看護師の養成を目的とした研修であること。
ウ 講義及び演習により、次の内容を含むものであること。
(イ)緩和ケア総論及び制度等の概要
(ロ)緩和ケアのためのアセスメント並びに症状緩和のための支援方法
(ハ)セルフケアへの支援及び家族支援の方法
(6) 夜間の看護職員の数が1以上であること。
(7) 院内の見やすい場所に緩和ケアが受けられる旨の掲示をするなど、患者さんに対して必要な情報提供がなされていることが必要です。