厚生局個別指導の主な指摘事項と対策について(医学管理編)

厚生局による個別指導の主な指摘事項と対策について(医学管理編)

個別指導は、新しく開業した医療機関を対象にするものと、既指定を対象とするものに分けられます。

新規指導は、新規指定後概ね半年から1年以内に実施することとされており、既指定の医療機関に対する個別指導の選定理由は、以下の4つに分けられます。

  1. 患者さん、審査支払機関等から診療内容や診療報酬の請求に関する情報提供があり、厚生局が必要と認めた医療機関
  2. 前回の個別指導・新規指導の結果が再指導になった医療機関
  3. 前々年度に集団的個別指導を受け、前年度も高点数である医療機関(上位から)
  4. 監査の結果、戒告・注意となった医療機関や、正当な理由なく集団的個別指導を拒否した医療機関

今回は個別指導で実際に指摘されている主な事例「医学管理」についてお話したいと思います。

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主な指摘事項について

  • 特定疾患療養管理料の治療計画に基づく、服薬、運動、栄養等の療養上の管理内容の要点について診療録への記載がない。
  • 指導内容の要点について診療録への記載が個々の患者さんの状態に応じた記載になっていない。
  • 特定疾患療養管理料の算定対象外である主病、主病でない疾患又は全身的な医学管理を行っていない疾患について算定している。
  • 特定疾患療養管理料について初診日から1か月以内である患者さんに算定している。

対策POINT

毎回指導内容の記載が全く同じ場合だと、単なるコピペをしただけでしっかり指導を行っていないと判断されてしまいますので、指導内容は毎回診療時の状態に合わせて指導とカルテ記載を行いましょう。

B000 特定疾患療養管理料
厚生労働大臣が定める疾患を主病とする患者に対して、治療計画に基づき療養上必要な管理を行った場合に、月2回に限り算定します。
  • 薬剤総合評価調整管理料について、処方の内容を総合的に評価した内容や処方内容の調整の要点に係る診療録への記載がない。
  • 薬剤管理指導料について、算定対象外の薬剤について算定している。
  • 特定薬剤治療管理料の薬剤の血中濃度又は治療計画の要点について診療録への記載がない又は不十分である。
  • 特定薬剤治療管理料を算定しているにも関わらず投与薬剤の血中濃度を測定していない。
B001-2 特定薬剤治療管理料
特定薬剤治療管理料は、対象となる疾患と薬剤を服用している患者に対し、投与薬剤の血中濃度を測定し、その結果に基づき当該薬剤の投与量を精密に管理した場合に算定される医学管理料です。
  • 生活習慣病管理料について、療養計画書を作成していない。
  • 生活習慣管理料について、療養計画書の内容に変更がない場合に、当該療養計画書を4月に1回以上交付していない。

対策POINT

生活習慣管理料を算定する際は、「服薬」「運動」「休養」「栄養」「喫煙及び飲酒」等の生活習慣に関する総合的な治療管理を行い、患者さんに対して療養計画書により丁寧に説明を行いカルテ記載を行いましょう。また、患者の同意を得て、計画書に患者さんへ署名をもらい、写しを診療録に添付しましょう。

  • 外来栄養食事指導料を算定しているが、指導内容の要点について栄養指導記録への記載が不十分である。
  • 外来栄養食事指導料を算定しているが、管理栄養士への指示事項に、熱量・熱量構成、蛋白質、脂質その他の栄養素の量、病態に応じた食事の形態等に係る情報のうち、医師が必要と認めるものに関する具体的な指示が含まれていない、又は不十分である。

対策POIN

管理栄養士は医師の具体的な指示に基づき食事計画案の充実を図りましょう。

  • 乳幼児育児栄養指導料を算定しているが、指導の要点について診療録への記載が不十分である。
  • 院栄養食事指導料について、指導時間に係る栄養指導記録への記載がない。
  • 院内トリアージ実施料を算定しているが、 院内トリアージが行われた旨について診療録等への記載が不十分である。
  • 悪性腫瘍特異物質治療管理料を算定しているが、腫瘍マーカー検査の結果又は治療計画の要点について診療録への記載がない又は不十分である。
  • 悪性腫瘍特異物質治療管理料について、悪性腫瘍であると既に確定診断した患者以外の者に対して算定している。
B001-3 悪性腫瘍特異物質治療管理料
悪性腫瘍特異物質治療管理料とは、悪性腫瘍であると既に確定診断がされた患者について、腫瘍マーカー検査を実施し、検査結果を評価した上で、計画的な治療管理を行った場合に算定する医学管理料です。
  • がん性疼痛緩和指導管理料を算定しているが、指導内容の要点について診療録への記載が不十分である。
  • 難病外来指導管理料の診療計画又は診療内容の要点について診療録への記載がない又は不十分である。
  • 小児特定疾患カウンセリング料を算定しているが、カウンセリング内容について診療録への記載が不十分である。
  • てんかん指導料を算定しているが、診療計画及び診療内容の要点について診療録への記載がない、又は不十分である。
  • 喘息治療管理料を算定しているが、指導内容の要点について診療録への記載がない。
  • 心臓ペースメーカー指導管理料を算定しているが、計測した機能指標の値及び指導内容の要点について診療録への記載が不十分である。
  • アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料について、アレルゲン免疫療法を開始する前に、同意を得ていない。
  • アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料を算定しているが、指導内容の要点について、診療録への記載がない。
  • 在宅療養指導料を算定しているが、保健師又は看護師が患者ごとに療養指導記録を作成しておらず、指導の要点及び指導実施時間の記録が不十分である。
B001-13 在宅療養指導料
在宅療養指導料とは、医師の指示に基づき、保健師、助産師または看護師が在宅療養上必要な指導を30分以上行った場合に算定する医学管理料です。 指導は患者のプライバシーが配慮されている専用の場所で行うことが必要です。
  • 皮膚科特定疾患指導管理料の診療計画又は指導内容の要点について診療録への記載がない、不十分である又は画一的である。
  • 高度難聴指導管理料について、指導内容の要点について診療録への記載がない又は不十分である。
  • 慢性維持透析患者外来医学管理料を算定しているが、特定の検査結果及び計画的な治療管理の要点について、診療録への添付及び記載が不十分である。
  • 耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料を算定しているが、指導内容の要点について診療録への記載がない又は不十分である。
  • ニコチン依存症管理料について、治療管理の要点に係る診療録への記載がない。
  • 婦人科特定疾患治療管理料を算定しているが、指導内容の要点について診療録への記載が不十分である。
  • 乳腺炎重症化予防ケア・指導料について、包括的なケア及び指導に関する計画を作成していない。
  • 乳腺炎重症化予防ケア・指導料について包括的なケア及び指導を実施した内容に係る診療録等への記載がない。

当該ケア及び指導を実施する医師又は助産師は、包括的なケア及び指導に関する計画を作成し、計画に基づき実施するとともに、実施した内容を診療録等に記載する必要があります。

  • 診療情報提供料(Ⅰ)について紹介元医療機関への受診行動を伴わない患者紹介の返事について算定している。
  • 診療情報提供料(Ⅰ)について紹介先の機関名を特定していない文書で算定している。
  • 診療情報提供料(Ⅰ)について交付した文書の写しを診療録に添付していない。
  • 診療情報提供料(Ⅰ)について特別の関係にある医療機関を紹介先として交付した文書について算定している。
  • 診療情報提供料(Ⅰ)を算定すべきものについて、誤って診療情報提供料Ⅱを算定している。

対策POINT

診療情報提供料を算定する際は、紹介先の医療機関を特定して交付することは必要です。また、診療に基づき他の機関での診療の必要性等を認め、患者さんに説明し、その同意を得たことをカルテ記載に残しましょう。

B009 診療情報提供料(Ⅰ)
診療情報提供料(Ⅰ)とは、保険医療機関が診療に基づき、患者さんの同意を得た上で、診療情報提供書を添えて他の保険医療機関に患者さんの紹介を行った場合に算定できる医学管理料です。

POINT薬剤情報提供料は患者さん(入院中以外)に対して、処方した薬剤の「名称」「用法」「用量」「効能」「効果」「副作用及び相互作用」に関する主な情報を、処方に係る全ての薬剤について、文書により提供した場合に算定します。

  • 療養費同意書交付料について、はり・きゅうの施術に係る療養費の支給対象となる疾病であるか、適切に判断すること。

支給対象となる疾病主として神経痛・リウマチなどであって、類症疾患についてはこれらの疾病と同一範疇と認められる疾病(頸腕症候群、五十肩、腰痛症、頸椎捻挫後遺症など)に限り支給対象とされています。

  • 退院時リハビリテーション指導料について、指導・指示内容の要点について診療録等への記載がない。
  • 開放型病院共同指導料について当該患者を入院させた保険医の診療録に開放型病院において患者の指導等を行った事実の記載が不十分である。
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