2022年|ニコチン依存症管理料の算定要件・施設基準・カルテ記載

別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、禁煙を希望するものであって、スクリーニングテスト(TDS)等によりニコチン依存症であると診断されたものに対し、治療の必要を認め、治療内容等に係る説明を行い、文書により同意を得た上で「禁煙に関する総合的な指導及び治療管理」を行うとともに、その内容を文書により情報提供した場合に、1の場合は5回に限り、2の場合は初回時に1回に限り以下の点数を算定します。

B001ー3ー2 ニコチン依存症管理料
1 ニコチン依存症管理料1
イ 初回 230点
ロ 2回目から4回目まで
(1)対面で行った場合 184点
(2)情報通信機器を用いた場合 155点
ハ 5回目 180点
2 ニコチン依存症管理料2(一連につき)800点

※別に厚生労働大臣が定める基準を満たさない場合には、それぞれの所定点数の100分の70に相当する点数により算定します。

スポンサーリンク

施設基準について

平成18年度診療報酬改定により保険適用が認められ、施設基準に適合し、地方厚生局等に届け出た保険医療機関においては「ニコチン依存症管理料」の算定が可能となりました。

【ニコチン依存症管理料に関する施設基準】

  1. 禁煙治療を行っている旨を保険医療機関内の見やすい場所に掲示していること。
  2. 禁煙治療の経験を有する医師が1名以上勤務していること。
  3. 禁煙治療に係る専任の看護師又は准看護師を1名以上配置していること。
  4. 禁煙治療を行うための呼気一酸化炭素濃度測定器を備えていること。
  5. 保険医療機関の敷地内が禁煙であること。なお、保険医療機関が建造物の一部分を用いて開設されている場合は、当該保険医療機関の保有又は借用している部分が禁煙であること。
  6. ニコチン依存症管理料を算定した患者のうち、喫煙を止めたものの割合等を、別添2の様式8の2を用いて、地方厚生局等に報告していること。

ニコチン依存症管理を適切に実施できる保険医療機関であり、ニコチン依存症管理を算定した患者のうち禁煙が成功した患者の割合などを地方厚生局等に報告する必要があります。

算定期間について

入院中患者以外の者に対し、「禁煙治療のために標準手順書」に沿って、初回の管理料を算定した日から起算して12週にわたり、計5回の禁煙治療を行った場合に算定できます。

保険適応の対象患者

ニコチン依存症の保険治療を行うには、以下の要件を全て満たす人でなければ対象となりませんので事前にしっかり問診と説明を行うことが必要になります。

  1. スクリーニングテスト(TDS)で、ニコチン依存症と診断され、治療の必要性を認めること。
  2. 35歳以上の人に関しては、 ブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上であること。
  3.  直ちに禁煙することを希望している。
  4. 「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、 当該治療を受けることを文書により同意している。

POINT「加熱式たばこ」での喫煙者についても「禁煙治療のために標準手順書」に沿って禁煙治療を行います。(2020年より対象者に加えられました)

※手順書は学会(日本循環器学会、日本肺癌学会及び日本癌学会により作成)のウェブサイトに掲載されています。

過去に「ニコチン依存症管理料」を算定し、禁煙に失敗した患者様に対しては、初回算定日より起算して1年を超えた日であれば算定できます。

算定時の注意点

ニコチン依存症管理料を算定する際には、以下のような注意点があります。

情報通信機器を用いて行う診療についての注意点

2020年より「情報通信機器を用いた場合」の点数が新設されましたが、この点数を算定する場合については「再診料・外来診療料・オンライン診療料・往診料・在宅患者訪問診療料」の併用算定はできません。

また、情報通信機器を用いて診療を行う医師は、初回に診察を行った医師と同じでなければ算定できません。

ニコチン依存症管理料2(一連につき)の注意点

2020年より「ニコチン依存症管理料2」が新設されましたが、2回目以降の指導予定日に受診しなかった場合は、電話等で受診を指示する必要があります。

もし受診を中断する場合には、 「受診を中断する理由」をしっかり聴取して診療録に記載してください。

※理由の聴取及び記載については医師以外のもの大丈夫です。また、連絡が取れなかった場合もその旨を診療録に記載しましょう。

初回指導時に算定した管理料についてはそのままで問題ありません。

診療録の記載について

その他の医学管理同様、ニコチン依存症管理料の算定にあたっても、診療録へ管理指導した内容をしっかり記載しなければ個別指導で指摘されますので、しっかり記載しましょう。

初回の管理指導とカルテ記載

  1.  喫煙状況・TDSの確認
  2. 禁煙治療についての説明
  3. 呼気一酸化炭素濃度の測定と結果について(検査費用は別に算定できません)
  4.  禁煙開始日の決定
  5. 禁煙にあたっての問題点の把握と指導
  6. ニコチン製剤の説明(服用方法と副作用などについて)
  7. 次回受診日の確認

2回目以降の管理指導をカルテ記載

  1. 喫煙(禁煙)状況と離脱症状の確認
  2. 呼気一酸化炭素濃度の測定と結果について(検査費用は別に算定できません)
  3. 禁煙継続にあたっての問題点の把握と指導
  4. ニコチン製剤の説明(服用方法と効果・副作用)
  5. 次回受診日の確認

実績報告と算定について

前年度中に新規にニコチン依存症管理料の届出を行った保険医療機関が、7月1日以降も当該管理料を引き続き算定する場合は、平均継続回数の実績を記載し再度届出を行う必要があります。

また、前年度の実績により、7月1日以降算定する点数が変更となる場合は、変更の届出が必要です。

過去1年間(前年4月1日から当年3月31日まで)の平均継続回数が2回以上であること(2回未満である場合減算となります)

平均継続回数=ニコチン依存症管理料の延べ算定回数(初回から5回目まで)÷初回の算定回数
前年4月から当年3月31日までの期間の算定実績により判断します(算定開始年月日が年度途中の場合は、算定開始年月日から3月31日まで)過去1年間にニコチン依存症管理料を算定している患者様が5人以下である場合は、当年3月に初回の治療を行った患者様を、延べ算定回数及び初回の治療の算定回数から除く事ができます。

平均継続回数が2回以上
→所定点数の100分の100により算定

平均継続回数が2回未満
→所定点数の100分の70により算定

期間中のニコチン依存症管理料の算定実績無し
→所定点数の100分の100により算定

施設基準の届出について

届出を行う際は、保険医療機関が所在する都道府県を管轄する地方厚生局に必要書類を1部提出する必要があります。

各書式は各地方厚生局のH Pよりダウンロードできます。
タイトルとURLをコピーしました