ニコチン依存症管理料は、保険医療機関が禁煙を希望する患者さんに対して、禁煙に関する総合的な指導や治療管理を行う場合に算定する医学管理料です。
B001-3-2 ニコチン依存症管理料
1 ニコチン依存症管理料1
イ 初回 230点
ロ 2回目から4回目まで
(1) 対面で行った場合 184点
(2) 情報通信機器を用いた場合 155点
ハ 5回目 180点
2 ニコチン依存症管理料2(一連につき) 800点
ニコチン依存症管理料の算定要件
注1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、禁煙を希望する患者であって、スクリーニングテスト(TDS)等によりニコチン依存症であると診断されたものに対し、治療の必要を認め、治療内容等に係る説明を行い、当該患者の同意を文書により得た上で、禁煙に関する総合的な指導及び治療管理を行うとともに、その内容を文書により情報提供した場合に、ニコチン依存症管理料1の場合は5回に限り、ニコチン依存症管理料2の場合は初回時に1回に限り算定する。ただし、別に厚生労働大臣が定める基準を満たさない場合には、それぞれの所定点数の100分の70に相当する点数により算定する。
※ニコチン依存症スクリーニングテストTDS(Tobacco Dependence Screener)は禁煙治療保険診療におけるニコチン依存症診断基準として使用されており、心理的依存を含めたニコチン依存症の診断に利用されています。 ニコチン依存症の診断基準として、TDSのスコア5点以上が用いられています。
注2 区分番号D200に掲げるスパイログラフィー等検査の4の呼気ガス分析の費用は、所定点数に含まれるものとする。
注3 ニコチン依存症管理料1のロの(2)を算定する場合は、再診料、外来診療料、往診料、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)又は区分番号在宅患者訪問診療料(Ⅱ)は別に算定できない。
- Q患者ごとに「1」を算定する患者、「2」を算定する患者と分けて算定しても可能でしょうか?
- A
可能です。
ニコチン依存症管理料の留意事項
(1) ニコチン依存症管理料は、入院中の患者以外の患者に対し、「禁煙治療のための標準手順書」(日本循環器学会、日本肺癌学会、日本癌学会及び日本呼吸器学会の承認を得たものに限る。)に沿って、初回の当該管理料を算定した日から起算して12週間にわたり計5回の禁煙治療を行った場合に算定する。なお、加熱式たばこを喫煙している患者についても、「禁煙治療のための標準手順書」に沿って禁煙治療を行う。
(2) ニコチン依存症管理料の算定対象となる患者は、次の全てに該当するものであって、医師がニコチン依存症の管理が必要であると認めたものであること。
ア 「禁煙治療のための標準手順書」に記載されているニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で、ニコチン依存症と診断されたものであること。
イ 35歳以上の者については、1日の喫煙本数に喫煙年数を乗じて得た数が 200以上であるものであること。
ウ 直ちに禁煙することを希望している患者であって、「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることを文書により同意しているものであること。
(3) ニコチン依存症管理料は、初回算定日より起算して1年を超えた日からでなければ、再度算定することはできない。
(4) 治療管理の要点を診療録に記載する。
(5) 情報通信機器を用いて診察を行う医師は、初回に診察を行う医師と同一のものに限る。
(6) 情報通信機器を用いて診察を行う際には、オンライン指針に沿って診療を行う。
(7) 情報通信機器を用いた診察は、当該保険医療機関内において行う。
(8) 情報通信機器を用いた診察時に、投薬の必要性を認めた場合は、「F100」処方料又は「F400」処方箋料を別に算定できる。
(9) 情報通信機器を用いて診察を行う際には、予約に基づく診察による特別の料金の徴収を行うことはできない。
(10) 情報通信機器を用いた診察を行う際の情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途徴収できる。
(11) ニコチン依存症管理料2を算定する場合は、患者の同意を文書により得た上で初回の指導時に、診療計画書を作成し、患者に説明し、交付するとともに、その写しを診療録に添付すること。
(12) ニコチン依存症管理料2を算定した患者について、2回目以降の指導予定日に受診しなかった場合は、当該患者に対して電話等によって、受診を指示すること。また、受診を中断する場合には、受診を中断する理由を聴取し、診療録等に記載すること。
- Q患者さんへ連絡が取れなかった場合はどのようにすればいいのでしょうか?
- A
「連絡が取れなかった旨をカルテに記載すること」とされています。
(13) ニコチン依存症管理料2を算定する場合においても、2回目から4回目の指導について、情報通信機器を用いて実施することができる。なお、その場合の留意事項は、(5)から(10)まで及び(12)に示すものと同様である。
(14) (2)に規定するニコチン依存症管理料の算定対象となる患者について、「注1」に規定する厚生労働大臣が定める基準を満たさない場合には、所定点数の100分の70に相当する点数を算定する。
診療報酬明細書の摘要欄コメント
レセプト請求時には、診療報酬明細書の摘要欄に「初回の当該管理料を算定した年月日」を記載が必要です。
令和6年 ニコチン依存症管理料の施設基準
(1) 禁煙治療を行っている旨を保険医療機関内の見やすい場所に掲示していること。
(2) 禁煙治療の経験を有する医師が1名以上勤務していること。なお、当該医師の診療科は問わないものであること。
(3) 禁煙治療に係る専任の看護師又は准看護師を1名以上配置していること。
(4) 禁煙治療を行うための呼気一酸化炭素濃度測定器を備えていること。
(5) 保険医療機関の敷地内が禁煙であること。なお、保険医療機関が建造物の一部分を用いて開設されている場合は、当該保険医療機関の保有又は借用している部分が禁煙であること。
(6) 情報通信機器を用いて診察を行う保険医療機関にあっては、厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下「オンライン指針」という。)に沿って診療を行う体制を有すること。
(7) ニコチン依存症管理料を算定した患者の指導の平均継続回数及び喫煙を止めたものの割合等を、別添2の様式8の2を用いて、地方厚生(支)局長に報告していること。
ニコチン依存症管理料の注1に規定する基準
(1) ニコチン依存症管理料を算定した患者の指導に関する過去1年間の平均継続回数は、次のアに掲げる数及びイに掲げる数を合計した数をウに掲げる数で除して算出する。ただし、過去1年間に当該医療機関において当該管理料を算定している患者が5人以下である場合は、当年3月に初回の治療を行った患者を、アからウまでの数から除くことができる。
ア 1年間の当該保険医療機関において実施したニコチン依存症管理料1の延べ算定回数(初回から5回目までの治療を含む。)
イ 1年間の当該保険医療機関においてニコチン依存症管理料2を算定した患者の延べ指導回数
ウ ニコチン依存症管理料1のイに掲げる初回の治療の算定回数及びニコチン依存症管理料2の算定回数を合計した数
(2) ニコチン依存症管理料を算定した患者の指導に関する過去1年間の平均継続回数の計算期間は、前年4月1日から当年3月31日までとし、当該平均継続回数の実績に基づく所定点数の算定は、当年7月1日より行う。
(3) 注1に規定する基準を満たさない場合には、ニコチン依存症管理料の所定点数の100分の70に相当する点数を算定することとなるが、過去1年間に当該管理料の算定の実績が無い場合は、この限りでないこと。