【2023年】特定薬剤治療管理料の算定要件・カルテ記載について

B001-2 特定薬剤治療管理料

イ 特定薬剤治療管理料1・・・470点

ロ 特定薬剤治療管理料2・・・100点

「イ」については、ジギタリス製剤又は抗てんかん剤を投与している患者さん、免疫抑制剤を投与している臓器移植後の患者さん、その他別に厚生労働大臣が定める患者さんに対して薬物血中濃度を測定して計画的な治療管理を行った場合に算定します。

「ロ」については、サリドマイド及びその誘導体を投与している患者さんについて、服薬に係る安全管理の遵守状況を確認し、その結果を所定の機関に報告する等により、投与の妥当性を確認した上で必要な指導等を行った場合に月1回に限り所定点数を算定します。

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特定薬剤治療管理料1について

特定薬剤治療管理料を算定すべき測定及び計画的な治療管理を月2回以上行った場合においては、1回目の測定及び計画的な治療管理を行った時に算定します。

特定薬剤治療管理料1に付随する加算

1.ミコフェノール酸モフェチルを投与している臓器移植後の人であり、2種類以上の免疫抑制剤を投与されている患者さんについて、医師が必要と判断し、同一月に複数の免疫抑制剤の血中濃度を測定し、検査結果に基づいてそれぞれの投与量の精密に管理した場合は、6月に1回に限り250点を加算します。

PONT算定する際は、ミコフェノール酸モフェチルの血中濃度測定の必要性についてを診療報酬明細書の摘要欄に詳細を記載して下さい。

ミコフェノール酸モフェチルとは、高ぶった免疫の働きを抑制する「免疫抑制薬」です。臓器移植後の拒絶反応の予防に使うほか、膠原病のひとつ全身性エリテマトーデスに合併するループス腎炎の治療に用います。

2.入院患者さんがバンコマイシンを投与し、同一月に血中濃度を複数回測定し、その結果に基いて投与量を精密に管理した場合は、 1回目の算定時に限り530点を加算します。

バンコマイシンは、細菌の細胞壁の合成を阻害し殺菌的に作用します。MRSAやディフィシル菌による感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)のほか、骨髄移植時の消化管内殺菌に適用します。

3.臓器移植後の方に対して、免疫抑制剤の投与を行った場合は、臓器移植を行った日に属する月を含め 3月に限り、2740点を所定点数に加算します。

4.エベロリムスを投与している臓器移植後の患者が2種類以上の免疫抑制剤を投与されているものについて、医師が必要と判断し、同一月に複数の免疫抑制剤の血中濃度を測定し、その結果に基づきそれぞれの投与量を精密に管理した場合は、エベロリムスの初回投与を行った月を含め、 3月に限り月1回、4月目以降は4月に1回限り250点を加算します。

POINTこれを算定する際は、エベロリムスの初回投与から3月の間に限り、当該薬剤の血中濃度測定の必要性についてを診療報酬明細書の摘要欄に詳細を記載して下さい。

エベロリムスは、腫瘍を抑えるお薬です。腎細胞がんや乳がんのほか、結節性硬化症の治療に用います。当該管理料の対象疾患は結節性硬化症です。

1と4を同一月内に併せて算定することはできませんので注意して下さい。

POINTジギタリス製剤の急速飽和を行った場合又はてんかん重積状態の患者様に対して、抗てんかん剤の注射等を行った場合は、1回に限り740点を特定薬剤治療管理料1として算定します。

また、抗てんかん剤又は免疫抑制剤を投与している患者様以外に対して行った薬物血中濃度の測定及び計画的な治療管理のうち、4月目以降のものについては、所定点数の100分の50に相当する点数により算定する。

特定薬剤治療管理料1は、下記の患者さんに対して投与薬剤の血中濃度を測定し、その結果に基づき計画的な治療管理を行った場合に算定します。

  • 心疾患患者であってジギタリス製剤を投与している
  • てんかん患者であって抗てんかん剤を投与している
  • 臓器移植術を受けた患者で、免疫抑制剤を投与している
  • 気管支喘息、喘息性気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫、未熟児無呼吸発作の患者でテオフィリン製剤を投与している
  • 不整脈があり不整脈用材を継続的に投与している
  • 統合失調症の患者でハロペリドール製剤又はブロムペリドール製剤を投与している
  • 躁うつ病、うつ病の患者でバルプロ酸ナトリウム又はカルバマゼピンを投与している
  • ベーチェット病の患者でシクロスポリンを投与している
  • 全身型重症筋無力症、関節リウマチ、ループス胃炎、潰瘍性大腸炎又は間質性肺炎(多発性筋炎、皮膚筋炎に合併するものに限る)の患者でタクロリムス水和物を投与している
  • 若年性関節リウマチ、リウマチ熱又は慢性関節リウマチの患者がサリチル酸系製剤を継続的に投与している
  • 悪性腫瘍の患者がメトトレキサートを投与している
  • 結節性硬化症の患者がエベロリムスを投与している
  • 入院患者がアミノ配糖体抗生物質、グリコペプチド系抗生物質、トリアゾール系抗真菌剤を数日間以上投与している
  • 重症又は難治性真菌感染症又造血幹細胞移植の患者でトリアゾール系抗真菌剤を投与している
  • イマチニブを投与している
  • リンパ脈管筋腫症の患者でシロリムス製剤を投与している
  • 腎細胞癌の患者で抗悪性腫瘍剤としてスニチニブを投与している
  • 片頭痛の患者でバルプロ酸ナトリウムを投与している

不整脈用剤とはここで算定できる不整脈用剤とは以下のものいいます。

  • プロカインアミド
  • Nーアセチルプロカインアミド
  • アプリンジン
  • ジソピラミド リドカイン
  • ピルジカイニド塩酸塩,
  • プロパフェノン
  • メキシレチン
  • フレカイニド
  • キニジン
  • シベンゾリンコハク酸塩
  • アミオダロン
  • ピルメノール
  • ベプリジル塩酸塩
  • ソタロール塩酸液

特定薬剤治療管理料1の対象薬剤と対象疾患

ジギタリス製剤

検査項目:ジゴキシン
対象疾患:心疾患、重症うっ血性心不全(急速飽和 *3 を行った場合)

テオフィリン製剤

検査項目:テオフィリン
対象疾患:気管支喘息、喘息性(様)気管支炎、慢性気管支炎、肺気腫、未熟児無呼吸発作

不整脈用剤

検査項目:プロカインアミド 、プロパフェノン 、アミオダロン、アプリンジン、メキシレチン 、ピルメノール ジソピラミド 、フレカイニド 、ベプリジル、リドカイン 、キニジン 、ソタロール、ピルシカイニド 、シベンゾリン
対象疾患:不整脈

抗体てんかん剤

検査項目:フェノバルビタール、エトスクシミド、ガバペンチン、ニトラゼパム、アセタゾラミド、レベチラセタム、プリミドン、クロバザム、トピラマート、ジアゼパム、バルプロ酸、ラモトリギン、フェニトイン、遊離バルプロ酸、ペランパネル、遊離フェニトイン、トリメタジオン、ルフィナミド、カルバマゼピン、クロナゼパム、ラコサミド、ゾニサミド、スルチアム カルバマゼピン、遊離バルプロ酸、バルプロ酸 バルプロ酸、遊離バルプロ酸
対象疾患:①てんかん ②躁うつ病、うつ病 ③片頭痛

アミノ配糖体抗生物質

検査項目:ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、アルベカシン
対象:入院患者に数日間以上投与

グリコペプチド系抗生物質

検査項目:テイコプラニン、バンコマイシン
対象:入院患者に数日間以上投与

トリアゾール系抗真菌剤等

検査項目:ボリコナゾール
対象疾患:重症又は難治性真菌感染症又は造血幹細胞移植(造血 幹細胞移植の患者にあっては深在性真菌症の予防を目 的とするものに限る)(入院患者に数日間以上投与)

免疫抑制剤

検査項目:シクロスポリン、タクロリムス水和物 シクロスポリン タクロリムス水和物
対象疾患:臓器移植後 (拒否反応の抑制) ベーチェット病(活動性・難治性眼症状を有するもの)、そ の他の非感染性ぶどう膜炎(既存治療で効果不十分で、 視力低下のおそれのある活動性の中間部又は後部の非 感染性ぶどう膜炎に限る。)、再生不良性貧血、赤芽球 癆、尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、関節症性 乾癬、全身型重症筋無力症、アトピー性皮膚炎(既存の 治療で十分な効果が得られない患者に限る)、ネフローゼ 症候群、川崎病の急性期 全身型重症筋無力症、関節リウマチ、ループス腎炎、潰 瘍性大腸炎、間質性肺炎(多発性筋炎又は皮膚筋炎に 合併するものに限る。)

サリチル酸系製剤

検査項目:サリチル酸
対象疾患:若年性関節リウマチ、リウマチ熱、慢性関節リウマチ [継続的に投与]

メトトレキサート

検査項目:メトトレキサート
対象疾患:悪性腫瘍

ハロペリドール製剤 ブロムペリドール製剤

検査項目:ハロペリドール、ブロムペリドール
対象疾患:統合失調症

リチウム製剤

検査項目:リチウム
対象疾患:躁うつ病

イマチニブ

検査項目:イマチニブ
対象疾患:当該薬剤の適応疾患(慢性骨髄性白血病など)

特定薬剤治療管理料2について

特定薬剤治療管理料2については、サリドマイド及びその誘導体を投与している患者に対して服薬に係る安全管理を確認し、その結果を所定機関に報告して、投与の妥当性を確認した上で必要な指導等を行った場合に算定します。

算定時の診療録記載について

管理料を算定する際は、薬剤の血中濃度、治療計画の要点を診療録に記載する必要があります。

【抗てんかん剤のカルテ記載例】
初回算定日:令和2年2月1日ゾ二サミドを測定して特定薬剤治療管理料を算定
血中濃度は●●と良好な数値であり痙攣、副作用もなく安定している。現在の内服量で投与を続行とする。

【テオフィリン製剤のカルテ記載例】
初回算定日:令和2年2月1日テオフィリンを測定して、特定薬剤治療管理料を算定
血中濃度は●●と良好な数値であり喘鳴や呼吸苦もなく安定している。現在の内服量で投与を続行する。

【ジギタリス製剤のカルテ記載例】
初回算定日:令和2年2月1日ジゴキシンを測定して、特定薬剤治療管理料を算定
血中濃度は●●と良好な数値であり心不全症状もなく安定している。現在の内服量で投与を続行とする。

結果に基づいた投与量の管理や治療計画などの記載が必要だと言うことですね。

血中濃度とは・・・
血液中に薬剤の有効成分がどの程度含まれているかを表すものです。 血中濃度がある一定量に達して、初めて効果が期待できるのですが、 血中濃度が上がりすぎると、副作用を生じることがあるため投薬内容の再検討が必要です。
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