生活習慣病管理(Ⅱ)とは、脂質異常症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病を主病とする患者さんに対する総合的な治療管理を目的とする管理料です。2024年6月1日の診療報酬改定により、特定疾患療養管理料の対象疾患から生活習慣病を除外したことを受けて新設されました。
B001-3-3 生活習慣病管理料(Ⅱ) 333点
生活習慣病管理(Ⅱ)の算定要件
注1 別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関(許可病床数が200床未満の病院又は診療所に限る。)において、脂質異常症、高血圧症又は糖尿病を主病とする患者(入院中の患者を除く。)に対して、当該患者の同意を得て治療計画を策定し、当該治療計画に基づき、生活習慣に関する総合的な治療管理を行った場合に、月1回に限り算定する。ただし、糖尿病を主病とする場合にあっては、在宅自己注射指導管理料を算定しているときは、算定できない。
注2 生活習慣病管理を受けている患者に対して行った区分番号A001の注8に掲げる医学管理、医学管理等(外来栄養食事指導料、集団栄養食事指導料、糖尿病合併症管理料、がん性疼痛緩和指導管理料、外来緩和ケア管理料、糖尿病透析予防指導管理料、慢性腎臓病透析予防指導管理料、ニコチン依存症管理料、療養・就労両立支援指導料、プログラム医療機器等指導管理料、診療情報提供料(Ⅰ)、電子的診療情報評価料、診療情報提供料(Ⅱ)、診療情報連携共有料、連携強化診療情報提供料及び薬剤情報提供料を除く。)の費用は、生活習慣病管理料(Ⅱ)に含まれるものとする。
注3 糖尿病を主病とする患者(2型糖尿病の患者であってインスリン製剤を使用していないものに限る。)に対して、血糖自己測定値に基づく指導を行った場合は、血糖自己測定指導加算として、年1回に限り所定点数に500点を加算する。
注4 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、当該保険医療機関における診療報酬の請求状況、生活習慣病の治療管理の状況等の診療の内容に関するデータを継続して厚生労働省に提出している場合は、外来データ提出加算として、50点を所定点数に加算する。
注5 生活習慣病管理料(Ⅰ)を算定した日の属する月から起算して6月以内の期間においては、生活習慣病管理料(Ⅱ)は、算定できない。
注6 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、生活習慣病管理料(Ⅱ)を算定すべき医学管理を情報通信機器を用いて行った場合は、所定点数に代えて、290点を算定する。
生活習慣病管理(Ⅱ)の留意事項
(1) 生活習慣病管理料(Ⅱ)は、脂質異常症、高血圧症又は糖尿病を主病とする患者の治療においては生活習慣に関する総合的な治療管理が重要であることから設定されたものであり、治療計画を策定し、当該治療計画に基づき、栄養、運動、休養、喫煙、家庭での体重や血圧の測定、飲酒、服薬及びその他療養を行うに当たっての問題点等の生活習慣に関する総合的な治療管理を行った場合に、許可病床数が 200 床未満の病院及び診療所である保険医療機関において算定する。この場合において、当該治療計画に基づく総合的な治療管理は、歯科医師、薬剤師、看護職員、管理栄養士等の多職種と連携して実施することが望ましい。なお、初診料を算定した日の属する月においては、本管理料は算定しない。
(2) 生活習慣病管理料(Ⅱ)は、栄養、運動、休養、喫煙、飲酒及び服薬等の生活習慣に関する総合的な治療管理を行う旨、患者に対して療養計画書(療養計画書の様式は、別紙様式9又はこれに準じた様式とする。以下同じ。)により丁寧に説明を行い、患者の同意を得るとともに、当該計画書に患者の署名を受けた場合に算定できるものである。また、交付した療養計画書の写しは診療録に添付しておくものとする。なお、療養計画書は、当該患者の治療管理において必要な項目のみを記載することで差し支えない。また、血液検査結果を療養計画書と別に交付している場合又は患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスを活用して共有している場合であって、その旨を診療録に記載している場合は、療養計画書の血液検査項目についての記載を省略して差し支えない。
(3) 当該患者の診療に際して行った再診料の注8に規定する外来管理加算、医学管理料等(外来栄養食事指導料、集団栄養食事指導料、糖尿病合併症管理料、がん性疼痛緩和指導管理料、外来緩和ケア管理料、糖尿病透析予防指導管理料、慢性腎臓病透析予防指導管理料、ニコチン依存症管理料、療養・就労両立支援指導料、プログラム医療機器等指導管理料、診療情報提供料(Ⅰ)、電子的診療情報評価料、診療情報提供料(Ⅱ)、診療情報連携共有料、連携強化診療情報提供料及び薬剤情報提供料を除く。)の費用は全て所定点数に含まれる。
(4) 生活習慣病管理料(Ⅱ)を継続して算定する月においては、栄養、運動、休養、喫煙、家庭での体重や血圧の測定、飲酒に係る情報提供及びその他療養を行うに当たっての問題点等の生活習慣に関する総合的な治療管理に係る療養計画書(療養計画書の様式は、別紙様式9の2又はこれに準じた様式とする。)を交付するものとするが、当該療養計画書の内容に変更がない場合はこの限りでない。ただし、その場合においても、患者又はその家族等から求めがあった場合に交付するものとするとともに、概ね4月に1回以上は交付するものとする。交付した当該療養計画書の写しは診療録に添付しておくものとする。なお、血液検査結果を療養計画書と別に交付している場合又は患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスを活用して共有している場合であって、その旨を診療録に記載している場合は、療養計画書の血液検査項目についての記載を省略して差し支えない。
(5) (2)及び(4)について、患者の求めに応じて、電子カルテ情報共有サービスにおける患者サマリーに、療養計画書での記載事項を入力し、診療録にその記録及び患者の同意を得た旨を記録している場合は、療養計画書の作成及び交付をしているものとみなすものとする。ただし、この場合においても、(2)のとおり、栄養、運動、休養、喫煙、飲酒及び服薬等の生活習慣に関する総合的な治療管理を行う旨、丁寧に説明を行い、患者の同意を得ることとする。
(6) 同一保険医療機関において、脂質異常症、高血圧症又は糖尿病を主病とする患者について、当該管理料を算定するものと算定しないものが混在するような算定を行うことができるものとする。
(7) 学会等の診療ガイドライン等や診療データベース等の診療支援情報を参考にする。
(8) 患者の状態に応じ、28 日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であることを当該保険医療機関の見やすい場所に掲示するとともに、患者から求められた場合に、患者の状態を踏まえて適切に対応すること。
(9) 本管理料を算定する患者について、保険者から特定保健指導を行う目的で情報提供の求めがある場合には、患者の同意の有無を確認するとともに、患者の同意が得られている場合は必要な協力を行うこと。
(10) 糖尿病の患者については、患者の状態に応じて、年1回程度眼科の医師の診察を受けるよう指導を行うこと。また、糖尿病の患者について、歯周病の診断と治療のため、歯科を標榜する保険医療機関への受診を促すこと。
(11) 「注3」及び「注4」に規定する加算の取扱いについては、生活習慣病管理料(Ⅰ)の(11)~(13)の例による。
(12) 「注6」に規定する情報通信機器を用いた医学管理については、オンライン指針に沿って診療を行った場合に算定する。
令和6年 生活習慣病管理料の施設基準
(1) 生活習慣に関する総合的な治療管理ができる体制を有していること。なお、治療計画に基づく総合的な治療管理は、歯科医師、看護師、薬剤師、管理栄養士等の多職種と連携して実施することが望ましい。
(2) 患者の状態に応じ、28日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付するこ
とについて、当該対応が可能であることを当該保険医療機関の見やすい場所に掲示すること。
令和6年 外来データ提出加算の施設基準
(1) 厚生労働省が毎年実施する「外来医療、在宅医療、リハビリテーション医療の影響評価に係る調査」(以下「外来医療等調査」という。)に適切に参加できる体制を有すること。また、厚生労働省保険局医療課及び厚生労働省が外来医療等調査の一部事務を委託する外来医療等調査事務局(以下「外来医療等調査事務局」という。)と電子メール及び電話での連絡可能な担当者を必ず1名指定すること。
(2) 外来医療等調査に適切に参加し、調査に準拠したデータを提出すること。
(3) 診療記録(過去5年間の診療録及び過去3年間の手術記録、看護記録等)の全てが保管
・管理されていること。
(4) 診療記録の保管・管理につき、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に準拠した体制であることが望ましい。
(5) 診療記録の保管・管理のための規定が明文化されていること。
(6) 患者についての疾病統計には、ICD大分類程度以上の疾病分類がされていること。
(7) 保管・管理された診療記録が疾病別に検索・抽出できること。
施設基準については、当該基準を満たしていればよく、特に地方厚生(支)局長に対して、届出を行う必要はありません。