特定疾患療養管理料とは、厚生労働大臣が定める対象疾患を主病とする患者さんに対して、計画的な医療管理(運動・食事・服薬)を行った場合に算定する医学管理料です。
B000 特定疾患療養管理料
1 診療所の場合 225点
2 許可病床数が100未満の病院の場合 147点
3 許可病床数が100床以上200床未満の病院の場合 87点
特定疾患療養管理料の算定要件
注1 別に厚生労働大臣が定める疾患を主病とする患者に対して、治療計画に基づき療養上必要な管理を行った場合に、月2回に限り算定する。
注2 初診料を算定する初診の日に行った管理又は当該初診の日から1月以内に行った管理の費用は、初診料に含まれるものとする。
注3 入院中の患者に対して行った管理又は退院した患者に対して退院の日から起算して1月以内に行った管理の費用は、第1章第2部第1節に掲げる入院基本料に含まれるものとする。
注4 在宅療養指導管理料の各区分に掲げる指導管理料又は皮膚科特定疾患指導管理料を算定すべき指導管理を受けている患者に対して行った管理の費用は、各区分に掲げるそれぞれの指導管理料に含まれるものとする。
注5 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、特定疾患療養管理料を算定すべき医学管理を情報通信機器を用いて行った場合は、1、2又は3の所定点数に代えて、それぞれ196点、128点又は76点を算定する。
特定疾患療養管理料の留意事項
(1) 特定疾患療養管理料は、別に厚生労働大臣が定める疾患(特定疾患)を主病とする患者について、プライマリケア機能を担う地域のかかりつけ医師が計画的に療養上の管理を行うことを評価したものであり、許可病床数が 200 床以上の病院においては算定できない。
プライマリケアとは、特定の病気だけを診る専門的な医療機関とは違い、普段から何でも診てくれ、急に体調が悪くなった時の医療提供から健康診断の結果に対する相談までを行う医療のことをいいます。
(2) 特定疾患療養管理料は、特定疾患を主病とする患者に対して、治療計画に基づき、服薬、運動、栄養等の療養上の管理を行った場合に、月2回に限り算定する。
特定疾患療養管理料の指導例
- おかずは揚げ物、炒め物等、油を使用したものを避けましょう
- マヨネーズ、ドレッシング、ソース等調味料を控えましょう
- 醤油、ソース等調味料を控えましょう
- 野菜を積極的に摂取しましょう
- 運動は毎日20分程度、有酸素運動を行いましょう
- 通勤ではなるべく歩くようにしましょう
- なるべく階段を使いましょう
- 内服を忘れないようしっかり行いましょう
- 食後30分以内には服薬しましょう
- 週に3日は休肝日を設定しましょう
- 可能な限り喫煙を行いましょう
- 発作時はすぐに受診してください(気管支喘息)
(3) 第1回目の特定疾患療養管理料は、初診料(「注5」のただし書に規定する所定点数を算定する場合を含む。特に規定する場合を除き、以下この部において同じ。)を算定した初診の日又は当該保険医療機関から退院した日からそれぞれ起算して1か月を経過した日以降に算定する。ただし、本管理料の性格に鑑み、1か月を経過した日が休日の場合であって、その休日の直前の休日でない日に特定疾患療養管理料の「注1」に掲げる要件を満たす場合には、その日に特定疾患療養管理料を算定できる。
(4) 初診料を算定した初診の日又は当該保険医療機関から退院した日からそれぞれ起算して1か月を経過した日が翌々月の1日となる場合であって、初診料を算定した初診の日又は退院の日が属する月の翌月の末日(その末日が休日の場合はその前日)に特定疾患療養管理料の「注1」に掲げる要件を満たす場合には、本管理料の性格に鑑み、その日に特定疾患療養管理料を算定できる。
(5) 診察に基づき計画的な診療計画を立てている場合であって、必要やむを得ない場合に、看護に当たっている家族等を通して療養上の管理を行ったときにおいても、特定疾患療養管理料を算定できる。
(6) 管理内容の要点を診療録に記載する。
(7) 同一保険医療機関において、2以上の診療科にわたり受診している場合においては、主病と認められる特定疾患の治療に当たっている診療科においてのみ算定する。
(8) 特定疾患療養管理料は、特定疾患を主病とする者に対し、実際に主病を中心とした療養上必要な管理が行われていない場合又は実態的に主病に対する治療が当該保険医療機関では行われていない場合には算定できない。
(9) 主病とは、当該患者の全身的な医学管理の中心となっている特定疾患をいうものであり、対診又は依頼により検査のみを行っている保険医療機関にあっては算定できない。
(10) 入院中の患者については、いかなる場合であっても特定疾患療養管理料は算定できない。
(11) 別に厚生労働大臣が定める疾患名は、「疾病、傷害及び死因の統計分類基本分類表(平成27年総務省告示第35号)」(以下「分類表」という。)に規定する分類に該当する疾患の名称であるが、疾患名について各医療機関での呼称が異なっていても、その医学的内容が分類表上の対象疾患名と同様である場合は算定の対象となる。ただし、混乱を避けるため、できる限り分類表上の名称を用いることが望ましい。
(12) 「注5」に規定する情報通信機器を用いた医学管理については、オンライン指針に沿って診療を行った場合に算定する。
適応疾患
以下の疾患が「厚生労働大臣が定める疾患」となり、主病とする場合に治療計画に基づき療養上の管理を行った場合に、特定疾患療養管理料を算定します。
- 結核
- 悪性新生物
- 甲状腺障害
- 処置後甲状腺機能低下症
- スフィンゴリピド代謝障害及びその他 の脂質蓄積障害
- ムコ脂質症
- リポ蛋白代謝障害及びその他の脂(質)血症(家族性高コレステロール血症等の遺伝性疾患に限る。)
- リポジストロフィー
- ローノア・ ベンソード腺脂肪腫症
- 虚血性心疾患
- 不整脈
- 心不全
- 脳血管疾患
- 一過性脳虚血発作及び関連症候群
- 単純性慢性気管支炎及び粘液膿性慢性気管支炎
- 詳細不明の慢性気管支炎
- その他の慢性閉塞性肺疾患
- 肺気腫
- 喘息
- 喘息発作重積状態
- 気管支拡張症
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 胃炎及び十二指腸炎
- 肝疾患(経過が慢性なものに限る)
- 慢性ウイルス肝炎
- アルコール性慢性膵炎
- その他の慢性膵炎
- 思春期早発症
- 性染色体異常
- アナフィラキシー
- ギラン・バレー症候群
カルテの記載方法について
算定するには、管理内容の要点を診療録にしっかり記載することが必要です。
たとえ日々の診療がしっかりされていても、それに伴ったカルテ記載がしっかりされていなければ、地方厚生局の個別指導で指摘されてしまいますので、診療録の記載は診療の都度しっかり行うことが大切です。
例)気管支喘息の診療録
A)# 気管支喘息
LT拮抗薬の内服にて発作なく経過良好
以下の療養上の指導を行い、特定疾患管理料算定とした
- 症状がなくても内服は指示通り続けて下さい
- 食事はバランスよく摂取して下さい
- 毎日10分程度のストレッチを行って下さい
- 激しい運動は避けて下さい
- 規則正しい生活を心がけて下さい
- 喫煙、アルコールの過剰摂取は控えて下さい
- 症状が改善しても内服は継続して下さい