医療に携わる方であれば「在宅医療」という言葉を耳にする機会が以前と比較して多くなったのではないでしょうか?
在宅医療とは診療報酬の分類のひつとであり、下肢が不自由であったり、認知症等のため通院が困難な方が、医療機関ではなく在宅(自宅や施設)で診察・処方等が受けられ、年々需要が増加しています。
在宅医療には、医師だけでなく看護師が患家まで出向く訪問看護というものがあり、その中でも「訪問看護ステーション」と「みなし指定訪問看護」の2種類に分けられます。

今回は、みなし訪問看護とは何なのか、訪問看護ステーションの違い、デメリットやメリットについて解説を行いたいと思います。
みなし訪問看護と訪問看護ステーションについて
訪問看護ステーションを開設するためには、法人の設立が必要であり、都道府県知事又は指定都市・中核市の市長の指定を受けなければなりません。また、人員基準(看護師が常勤換算で2.5人配置)を満たしていること、設備・運営基準に従って適切な運営ができることが要件となり、開設するまでにはさまざまな事前準備が必要となります。
しかし、医療機関で行う訪問看護であれば、初めから訪問看護可能との許可を受けたとみなされているため特に申請をしなくても訪問看護事業を行うことができ、訪問看護の許可を受けたとみなされること「みなし指定訪問看護」といい、訪問看護ステーションと同じく介護保険・医療保険での訪問看護が可能です。
みなし訪問看護のメリット
- 指示は診療録記載によるものでいいため、指示書の発行が不要。
- 医師が同じ医療機関にいるため連携が取れやすい
- 看護師の人員配置基準がない
- 開設者を設けなくてもいい
みなし訪問看護のデメリット
- 保険請求の費用が安いため利益が少ない
- 自院の医師が診察している患者さんに限定される
それぞれの費用について
訪問看護ステーションとみなし訪問看護では、請求できる費用に大きな差があり、同じ時間数の訪問看護であっても、みなし訪問看護の方が単価が低く設定されています。
みなし訪問看護の料金 ※令和3年度介護報酬改定後
- Ⅱ1…256単位(20分未満)
- Ⅱ2…383単位(30分未満)
- Ⅱ3…553単位(30分以上1時間未満)
- Ⅱ4…815単位(1時間以上1時間30分未満)
訪問看護ステーションの料金 ※令和3年度介護報酬改定後
- Ⅰ1…318単位(20分未満)
- Ⅰ2…474単位(30分未満)
- Ⅰ3…834単位(30分以上1時間未満)
- Ⅰ4…1,144単位(1時間以上1時間30分未満)
みなし訪問看護の手続きについて
事業開始にあたって必須の手続きはありません。