【診療録の基本】カルテ記載の注意事項と記載方法について

現在、医療関係者が普段の診療で使用しているカルテの記載方式は「SOAP形式」と呼ばれるものであり、患者の抱える問題ごとに記載される事で、誰が閲覧しても分かりやすく、病態を把握・整理できる事が特徴です。

S(subjective)=主観的情報

O(objective)=客観的情報

A(assessment)=評価

P(plan)=計画

診療録は保険請求の根拠となるものであり、医師は診療の都度しっかり必要事項を記載することが大切です。

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診療録記載の基本

診療録は第三者が見ても、ちゃんと判読できるものでなければなりません。

もし「主訴」「症状」「身体所見」「診断」「治療内容」「治療計画」などの記載が乏しければ、厚生局の個人指導で指摘・指導を受けることになります。

また、傷病名が症状や身体所見や検査結果など臨床所見に基づかないものであれば査定の対象となりますし、「意識障害」「疼痛」などのように単なる「状態」や「症状」を傷病名とすることもよろしくありません。

傷病名は適宜チェックして「中止」「治癒」等の転帰を行って常に整理をすることが大切です。

やってはいけない傷病名登録

  • 重複病名に注意
  • 急性疾患が長期続いている
  • 診療録と診療報酬明細書の傷病名が不一致
  • 医学的根拠のない傷病名
  • 診療開始日の誤り
  • 部位がない
  • 主傷病名が明確でない

検査が必要な根拠について

個別指導で指摘・指導を受ける事項のひとつに「検査の必要性」に対するものがあげられます。

検査は患者の症状や主訴、身体所見に応じて必要な検査をした際に算定することができます。

つまり、施行した検査に対する必要性が、カルテや診療報酬請求書から読み取れない場合は査定の対象となるということになりますから、病院にとっては大きな損失となるわけです。

検査を施行する際には、その検査が必要な「根拠」があり、「結果」があってそれに基づく「診断」や「治療及び治療計画」があって初めて保険請求ができるわけですから、それぞれの記載をしっかりする必要があります。

胸部X線検査
長期間に渡り咳嗽が続いており、肺炎を疑い胸部X線検査の施行を行った。
(結果)
右下肺野に淡い肺炎像を認め、症状及び検査所見より間質性肺炎と診断した。
直ちに禁煙を指示し、抗生剤の服用開始とした。

医学管理等についてのカルテ記載

医学管理料の算定において、「指導内容」「管理内容」などの必要事項の記載がしっかりされていないとケースが厚生局より指摘されるケースが多々あります。

多くみられる指摘例

  • 特定疾患療養管理料の算定において、診療録に指導内容が記載されてない
  • 生活習慣病管理料の算定において、療養計画書の記載に不備がある
  • 診療情報提供書(Ⅰ)の算定において紹介状が必要な根拠が記載されていない
  • ニコチン依存症管理料の算定において、治療管理の要点が記載されていない
  • 特定薬剤治療管理料の算定において、血中濃度の結果及び結果に基づく治療計画の要点が記載されていない
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