脳血管疾患等リハビリテーション料の対象疾患と算定要件について

脳血管リハビリテーション

厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、別に厚生労働大臣が定める患者に対して個別療法であるリハビリテーションを行った場合に、当該基準に係る区分に従って、それぞれ発症、手術若しくは急性増悪又は最初に診断された日から180日を限度として所定点数を算定します。

ただし、別に厚生労働大臣が定める患者について、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合は、180日を超えて所定点数を算定することができます。また、患者様の疾患や状態などを総合的に勘案し、治療が有効であると医学的に判断される場合に限ります。

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脳血管疾患等リハビリテーション料の対象患者

  1. 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、その他の急性発症した脳血管疾患またはその手術後
  2. 脳腫瘍、脳膿瘍、脊髄損傷、脊髄膿瘍、その他の急性発症した中枢神経疾患またはその手術後
  3. 多発性神経炎、多発性硬化症、末梢神経障害、その他の神経疾患
  4. パーキンソン病、脊髄小脳変性症、その他の慢性の神経筋疾患
  5. 失語症、失認および失行症、高次脳機能障害
  6. 難聴や人工内耳植込手術に伴う聴覚・言語機能の障害を有する状態
  7. 顎・口腔の先天異常に伴う構音障害を有する状態
  8. リハビリテーションを要する状態の人であって、一定程度以上の基本動作能力、応用能力、言語聴覚能力、日常生活能力の低下を認める状態の患者様

多発性硬化症とは・・・
中枢神経系の 脱髄疾患の一つで、脳や脊髄、視神経のあちらこちらに病巣ができ、視覚障害、運動障害、平衡障害、疲労感など様々な症状が現れるようになる病気です。

末梢神経障害とは・・・
末梢神経とは脳や脊髄などの中枢神経から分かれて、全身の器官・組織に分布する神経のことで、これらの神経がダメージを受け、働きが悪くなることで四肢の筋力低下やしびれ、疼痛などが出現する病気です。

脊髄損傷とは・・・
脊髄損傷のほとんどは交通事故、転倒、スポーツ外傷などが原因で起こる疾患です。頚部から背部にかけての疼痛、感覚消失、筋力低下などの症状がみられでこれらの症状は一時的なことも永久的なこともあります。
診断には、軟部組織、脊髄、靱帯の損傷を評価するためMRI検査や骨の損傷を評価するためCT検査が用いられます。

算定日数上限の除外対象患者とは

以下の患者様については、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合のみ、180日を超えて算定することができます。

  • 失語症、失認および失行症
  • 高次脳機能障害
  • 重度の頸髄損傷
  • 頭部外傷および多部位外傷
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 軸索断裂状態にある末梢神経損傷(発症後1年以内のものに限られます)
  • 外傷性の肩関節腱板損傷(受傷後180日以内のものに限られます)
  • 回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者様
  • 回復期リハビリテーション病棟において在棟中に回復リハビリテーション病棟入院料を算定した方であって、当該病棟を退棟した日から起算して3月以内の患者様
  • 難病患者リハビリテーション料に規定する患者様
  • 障害者リハビリテーション料に規定する患者様(加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病のものに限られます)

点数について

H001 脳血管疾患等リハビリテーション料

1 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)(1単位)245点
2 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅱ)(1単位)200点
3 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅲ)(1単位)100点

早期リハビリテーション加算について

入院中のもの患者様または入院中以外の患者様に対してリハビリテーションを行った場合は、発症、手術又は急性増悪から30日を限度として「早期リハビリテーション加算」として、1単位につき30点を所定点数に加算することができます。

初期加算について

別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、入院中のもの又は入院中の患者以外の患者に対してリハビリテーションを行った場合は、発症、手術又は急性増悪から14日を限度として、「初期加算」として、1単位につき45を更に所定点数に加算する。

初期加算に関する施設基準とは
当該保険医療機関にリハビリテーション料の常勤の医師は1名以上配置されていること。もしくは週3日以上常態として勤務しており、所定労働時間が22時間以上の勤務を行っているリハビリテーション科の非常勤医師を2名以上配置されていること。

算定日数の上限を超えた算定について

要介護被保険者等以外のものに対して、必要があってそれぞれ発症、手術若しくは急性増悪又は最初に診断された日から180日を超えてリハビリテーションを行った場合は、1月に13単位に限り算定できます。

また、入院中の要介護被保険者等に対して、必要があってそれぞれ発症、手術若しくは急性増悪又は最初に診断された日から180日を超えてリハビリテーションを行った場合は、1月に13単位に限り次に掲げる点数を算定が可能です。

イ 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)(1単位) 147点

ロ 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅱ)(1単位) 120点
ハ 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅲ)(1単位) 60点

実施単位数について

脳血管疾患等リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションは、1人の従事者が1人の患者様に対して重点的に個別的訓練を行う必要があると認められる場合であって、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士と患者様が1対1で行うものとします。なお、当該リハビリテーションの実施単位数は、従事者1人につき1日18単位を標準とし、週108単位までとします。(1日上限:24単位)また、当該実施単位数は、他の疾患別リハビリテーション及び集団コミュニケーション療法の実施単位数を合わせた単位数であること。この場合にあって、当該従事者が心大血管疾患リハビリテーションを実施する場合には、実際に心大血管疾患リハビリテーションに従事した時間20分を1単位とみなした上で計算するものとします。

脳血管疾患等リハビリテーション料は、医師の指導監督のもと、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の監視下に行われたものについて算定します。また専任の医師が、直接訓練を実施した場合にあっても、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が実施した場合と同様に算定できます。

筆者:山下 佳代

【保有資格】

・診療報酬請求事務

・認定医師秘書TM

・医療秘書技能検定1級

・診療情報管理士

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