緩和ケア病棟入院料とは、緩和ケア病棟に入院する患者さんに対して算定される特定入院料です。
A310 緩和ケア病棟入院料(1日につき)
1 緩和ケア病棟入院料1
イ 30日以内の期間 5135点
ロ 31日以上60日以内の期間 4582点
ハ 61日以上の期間 3373点
2 緩和ケア病棟入院料2
イ 30日以内の期間 4897点
ロ 31日以上60日以内の期間 4427点
ハ 61日以上の期間 3321点
緩和ケア病棟入院料の算定要件と加算
注1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た緩和ケアを行う病棟を有する保険医療機関において、当該届出に係る病棟に入院している緩和ケアを要する患者について、当該基準に係る区分に従い、それぞれ算定する。ただし、悪性腫瘍の患者及び後天性免疫不全症候群の患者以外の患者が当該病棟に入院した場合は、一般病棟入院基本料の注2に規定する特別入院基本料の例により算定する。
注2 当該保険医療機関と連携して緩和ケアを提供する別の保険医療機関(在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院に限る。)により在宅での緩和ケアが行われ、当該別の保険医療機関からあらかじめ文書で情報提供を受けた患者について、病状の急変等に伴い、当該別の保険医療機関からの求めに応じて入院させた場合に、緩和ケア病棟緊急入院初期加算として、入院した日から起算して15日を限度として、1日につき200点を更に所定点数に加算する。
注3 診療に係る費用(注2及び注4に規定する加算、第2節に規定する臨床研修病院入院診療加算、妊産婦緊急搬送入院加算、医師事務作業補助体制加算、地域加算、離島加算、特定感染症患者療養環境特別加算、がん拠点病院加算、医療安全対策加算、感染対策向上加算、患者サポート体制充実加算、報告書管理体制加算、褥瘡ハイリスク患者ケア加算、データ提出加算、入退院支援加算(1のイに限る。)及び排尿自立支援加算、第2章第2部第2節在宅療養管理指導料、第3節薬剤料、第4節特定保険医療材料料、第12部放射線治療及び第14部その他、退院時に当該指導管理を行ったことにより算定できる在宅麻薬等注射指導管理料、在宅腫瘍化学療法注射指導管理料、在宅強心剤持続投与指導管理料、在宅悪性腫瘍患者共同指導管理料及び在宅寝たきり患者処置指導管理料並びに除外薬剤・注射薬の費用を除く。)は、緩和ケア病棟入院料に含まれるものとする。
注4 当該病棟に入院している疼痛を有する患者に対して、疼痛の評価その他の療養上必要な指導を行った場合は、緩和ケア疼痛評価加算として、1日につき100点を所定点数に加算する。
緩和ケア病棟入院料の留意事項
(1) 緩和ケア病棟は、主として苦痛の緩和を必要とする悪性腫瘍及び後天性免疫不全症候群の患者を入院させ、緩和ケアを行うとともに、外来や在宅への円滑な移行も支援する病棟であり、当該病棟に入院した緩和ケアを要する悪性腫瘍及び後天性免疫不全症候群の患者について算定する。
(2) 緩和ケア病棟入院料を算定する日に使用するものとされた薬剤に係る薬剤料は緩和ケア病棟入院料に含まれるが、退院日に退院後に使用するものとされた薬剤料は別に算定できる。
(3) 悪性腫瘍の患者及び後天性免疫不全症候群の患者以外の患者が、当該病棟に入院した場合には、一般病棟入院基本料の特別入院基本料を算定する。この際、同特別入院基本料の費用の請求については、回復期リハビリテーション病棟入院料の(4)と同様であること。
(4) 緩和ケア病棟における悪性腫瘍患者のケアに関しては、「がん疼痛薬物療法ガイドライン」(日本緩和医療学会)、「新版 がん緩和ケアガイドブック」(日本医師会監修 厚生労働科学特別研究事業「適切な緩和ケア提供のための緩和ケアガイドブックの改訂に関する研究」班」)等の緩和ケアに関するガイドライン(以下この項において「緩和ケアに関するガイドライン」という。)を参考とする。
(5) 「注2」に規定する緩和ケア病棟緊急入院初期加算は、当該保険医療機関と連携して緩和ケアを提供する別の保険医療機関(在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院に限る。)(以下本項において「連携保険医療機関」という。)から在宅緩和ケアを受ける患者の病状が急変し、症状緩和のために一時的に入院治療を要する場合の緩和ケア病棟への受入れを通じ、在宅での緩和ケアを後方支援することを評価するものである。当該保険医療機関と連携保険医療機関の間では、過去1年以内に、緩和ケアを受ける患者の紹介、緩和ケアに係る研修又は共同でのカンファレンスの実施等の際に、医師その他の職員が面会した実績が記録されている必要がある。また、在宅緩和ケアを受け、緊急に入院を要する可能性のある患者について、緊急時の円滑な受入れのため、病状及び投薬内容のほか、患者及び家族への説明等について、当該連携保険医療機関より予め文書による情報提供を受ける必要がある。ただし、当該情報についてICTの活用により、当該保険医療機関が常に連携保険医療機関の有する診療情報の閲覧が可能な場合、文書による情報提供に関する要件を満たしていると見なすことができる。
(6) 「注4」に規定する緩和ケア疼痛評価加算を算定する場合には、緩和ケアに関するガイドラインを参考として、疼痛の評価その他の療養上必要な指導等を実施すること。
緩和ケア病棟入院料1に関する施設基準等
(1) 主として悪性腫瘍患者又は後天性免疫不全症候群に罹患している患者を入院させ、緩和ケアを行う病棟を単位として行うこと。
(2) 夜間において、看護師が複数配置されていること。
(3) 当該病院の医師の員数は、医療法に定める標準を満たしていること。
(4) 当該病棟内に緩和ケアを担当する常勤の医師が1名以上配置されていること。なお、複数の病棟において当該入院料の届出を行う場合には、病棟ごとに1名以上の常勤医師が配置されていること。
(5) (4)に掲げる医師は次のいずれかの研修を修了している者であること。
ア 「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の開催指針」(平成29年12月1日付け健発 1201 第2号厚生労働省健康局長通知)に準拠した緩和ケア研修会(平成 29 年度までに開催したものであって、「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針」に準拠したものを含む。)
イ 緩和ケアの基本教育のための都道府県指導者研修会(国立がん研究センター主催)等
(6) 当該病棟に係る病棟床面積は、患者1人につき内法による測定で、30 平方メートル以上であり、病室床面積は、患者1人につき内法による測定で、8平方メートル以上であること。
(7) 当該病棟内に、患者家族の控え室、患者専用の台所、面談室、一定の広さを有する談話室を備えていること。
(8) 当該病棟は全室個室であって差し支えないが、特別の療養環境の提供に係る病床の数が5割以下であること。
(9) 入退棟に関する基準が作成されていること。
(10) 緩和ケアの内容に関する患者向けの案内が作成され、患者・家族に対する説明が行われていること。
(11) 緩和ケア病棟入院料を算定する保険医療機関は、地域の在宅医療を担う保険医療機関と連携し、緊急時に在宅での療養を行う患者が入院できる体制を保険医療機関として確保していること。
(12) 緩和ケア病棟入院料を算定する保険医療機関は、連携している保険医療機関の患者に関し、緊急の相談等に対応できるよう、24 時間連絡を受ける体制を保険医療機関として確保していること。
(13) 緩和ケア病棟においては、連携する保険医療機関の医師、看護師又は薬剤師に対して、実習を伴う専門的な緩和ケアの研修を行っていること。
(14) がん診療の拠点となる病院は、別添3の第14の1の(13)と同様であること。
また、がん診療の拠点となる病院又は公益財団法人日本医療機能評価機構等が行う医療機能評価を受けている病院に準じる病院とは、都道府県が当該地域においてがん診療の中核的な役割を担うと認めた病院又は公益財団法人日本医療機能評価機構が定める機能評価(緩和ケア病院)と同等の基準について、第三者の評価を受けている病院をいう。
(15) 当該病棟への入院を希望する患者の紹介を受けた場合に、(4)の医師が入院の適応を判断し、当該医師又は当該医師の指示を受けた看護職員が入院までの待機期間や待機中の緊急時の対応方針等について、患者に説明を行う体制を設けること。
(16) 以下のア又はイを満たしていること。
ア 当該病棟直近1年間の入院患者について、以下の(イ)から(ロ)までの期間の平均が14日未満であること。
(イ) (4)の医師又は当該医師の指示を受けた看護職員から説明を受けた上で、患者等が文書又は口頭で入院の意思表示を行った日
(ロ) 患者が当該病棟に入院した日
イ 直近1年間において、退院患者のうち、次のいずれかに該当する患者以外の患者が 15%以上であること。
(イ) 他の保険医療機関(療養病棟入院基本料、有床診療所入院基本料及び有床診療所療養病床入院基本料を算定する病棟及び病室を除く。)に転院した患者
(ロ) 同一の保険医療機関の当該入院料にかかる病棟以外の病棟(療養病棟入院基本料を算定する病棟を除く。)への転棟患者
(ハ) 死亡退院の患者
(17) 次のいずれかに係る届出を行っていること。
(18) 毎年8月において、前年度に当該入院料を算定する病棟に入院していた患者の(16)のアに掲げる期間の平均及びイに掲げる割合について、別添7の様式52の2により地方厚生(支)局長に報告を行うこと。
(19) データ提出加算に係る届出を行っている保険医療機関であること。また、当該基準については別添7の様式40の7を用いて届出を行った時点で、当該入院料の届出を行うことができる。ただし、令和6年3月 31 日において急性期一般入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟の場合に限る。)、専門病院入院基本料(13 対1入院基本料を除く。)、回復期リハビリテーション病棟入院料1から4又は地域包括ケア病棟入院料を算定する病棟若しくは病室をいずれも有しない保険医療機関であって、地域一般入院基本料、療養病棟入院料1若しくは2を算定する病棟、旧算定方法別表第1に掲げる療養病棟入院基本料の注11に係る届出を行っている病棟、専門病院入院基本料(13 対1入院基本料に限る。)、障害者施設等入院基本料、回復期リハビリテーション病棟入院料5、特殊疾患病棟入院料、緩和ケア病棟入院料若しくは精神科救急急性期医療入院料を算定する病棟又は特殊疾患入院医療管理料を算定する病室のいずれかを有するもののうち、これらの病棟又は病室の病床数の合計が当該保険医療機関において 200 床未満であり、かつ、データ提出加算の届出を行うことが困難であることについて正当な理由があるものは、当分の間、当該基準を満たしているものとみなす。
緩和ケア病棟入院料2に関する施設基準等
緩和ケア病棟入院料1の(1)から(14)まで及び(19)を満たしていること。