C003 在宅がん医療総合診療料

在宅がん医療総合診療料

在宅がん医療総合診療料とは、通院が困難な末期の悪性腫瘍の患者さんが自宅で療養する際に、定期的な訪問診療や訪問看護、処置、注射、検査などの料金を包括した診療報酬です。

C003 在宅がん医療総合診療料(1日につき)

在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院であって別に厚生労働大臣が定めるものの場合
イ 病床を有する場合
(1) 保険薬局において調剤を受けるために処方箋を交付する場合 1798点
(2) 処方箋を交付しない場合 2000点
ロ 病床を有しない場合
(1) 保険薬局において調剤を受けるために処方箋を交付する場合 1648点
(2) 処方箋を交付しない場合 1850点
2 在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院(1に規定するものを除く。)の場合
イ 保険薬局において調剤を受けるために処方箋を交付する場合 1493点
ロ 処方箋を交付しない場合 1685点  

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在宅がん医療総合診療料算定のデメリット

在宅がん医療総合診療料の点数は高く設定されていますが、次のようなデメリットもあります。

  • 在宅がん医療総合診療料には訪問看護療養費も含まれているため、訪問看護ステーションへ訪問看護を依頼した場合でも、訪問看護ステーションは訪問看護料を算定することができません。そのため、医療機関は合議により訪問看護の費用を訪問看護ステーションに支払う必要があります。
  • 外部の訪問看護ステーションの訪問回数が増えると、自院の取り分が減る可能性があります。
  • 診療明細書にがんであることが記載されてしまうため、ご本人に告知を行っていない場合は注意が必要です。

在宅がん医療総合診療料算定のデメリット

治療を受ける患者さんにとって、在宅がん医療総合診療料算定には以下のメリットがあります。

  • 請求元が医療機関のみになるため、医療保険に一元化されます。
     
  • 訪問看護についても「高額療養費制度」の対象となります。
     
  • 頻回の訪問が必要な患者さんにとっては、出来高算定の場合に比べて費用を抑えることができます。
     
  • 訪問看護が医療保険となるため、介護保険を介護サービスにフルに使用できます。
     

在宅がん医療総合診療料の算定要件

注1 在宅での療養を行っている末期の悪性腫瘍の患者であって通院が困難なものに対して、当該患者の同意を得て、計画的な医学管理の下に総合的な医療を提供した場合に1週を単位として算定する。

同意については、口頭ではなく「同意書」にて同意を得たことが分かる書類を診療録へ添付する必要があります。

注2 死亡診断を行った場合は、死亡診断加算として、200点を所定点数に加算する。

注3 注2に規定する加算及び特に規定するものを除き、診療に係る費用は、在宅がん医療総合診療料に含まれるものとする。

注4 在宅がん医療総合診療に要した交通費は、患家の負担とする。

注5 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関が行った場合は、当該基準に掲げる区分に従い、在宅緩和ケア充実診療所・病院加算、在宅療養実績加算1又は在宅療養実績加算2として、150点、110点又は75点を、それぞれ更に所定点数に加算する。

注6 15歳未満の小児(児童福祉法第6条の2第3項に規定する小児慢性特定疾病医療支援の対象である場合は、20歳未満の者)に対して総合的な医療を提供した場合は、小児加算として、週1回に限り、1,000点を所定点数に加算する。

注7 診療報酬の請求状況、診療の内容に関するデータを継続して厚生労働省に提出している場合は、在宅データ提出加算として、月1回に限り、50点を所定点数に加算する。

注8 健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認等により得られる情報を踏まえて計画的な医学管理の下に、訪問して診療を行った場合は、在宅医療DX情報活用加算として、月1回に限り10点を所定点数に加算する。ただし、初診料の注15、再診料の注19若しくは外来診療料の注10にそれぞれ規定する医療情報取得加算、初診料の注16に規定する医療DX推進体制整備加算、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の注13(在宅患者訪問診療料(Ⅱ)の注6の規定により準用する場合を含む。)に規定する在宅医療DX情報活用加算又は在宅患者訪問看護・指導料の注17(同一建物居住者訪問看護・指導料の注6の規定により準用する場合を含む。)若しくは精神科訪問看護・指導料の注17にそれぞれ規定する訪問看護医療DX情報活用加算を算定した月は、在宅医療DX情報活用加算は算定できない。

注9 在宅での療養を行っている末期の悪性腫瘍の患者であって通院が困難なものの同意を得て、当該保険医療機関と連携する他の保険医療機関の保険医、歯科訪問診療を実施している保険医療機関の保険医である歯科医師等、訪問薬剤管理指導を実施している保険薬局の保険薬剤師、訪問看護ステーションの保健師、助産師、看護師、理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士、管理栄養士、介護支援専門員又は相談支援専門員等であって当該患者に関わる者が、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法を用いて記録した当該患者に係る診療情報等を活用した上で、計画的な医学管理を行った場合に、在宅医療情報連携加算として、月1回に限り、100点を所定点数に加算する。

在宅がん医療総合診療料の留意事項

(1) 在宅がん医療総合診療料は、別に厚生労働大臣の定める施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届け出た保険医療機関である在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院が、在宅での療養を行っている通院が困難な末期の悪性腫瘍の患者であって、往診及び訪問看護により24時間対応できる体制を確保し、在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の連絡担当者の氏名、連絡先電話番号等、担当日、緊急時の注意事項等並びに往診担当医及び訪問看護担当者の氏名等について、文書により提供しているものに対して、計画的な医学管理の下に、次に掲げる基準のいずれにも該当する総合的な医療を提供した場合に、1週間(日曜日から土曜日までの暦週をいう。本項において同じ。)を単位として当該基準を全て満たした日に算定する。

当該患者に対し、訪問診療又は訪問看護を行う日が合わせて週4日以上であること(同一日において訪問診療及び訪問看護を行った場合であっても1日とする。)。

訪問診療の回数が週1回以上であること。
訪問看護の回数が週1回以上であること。

(2) 在宅がん医療総合診療料は、1週間のうちに全ての要件を満たさなかった場合、1週間のうちに在宅医療と入院医療が混在した場合には算定できない。ただし、現に在宅がん医療総合診療料を算定している患者が、当該在宅療養支援診療所又は当該在宅療養支援病院に一時的に入院する場合は、引き続き計画的な医学管理の下に在宅における療養を継続しているものとみなし、当該入院の日も含めた1週間について、(1)のアからウまでの要件を満たす場合には、在宅がん医療総合診療料を算定できるものとする。ただし、この場合には、入院医療に係る費用は別に算定できない。

(3) 在宅療養支援診療所において、連携により必要な体制を確保する場合にあっては、緊急時の往診又は訪問看護を連携保険医療機関等の医師又は看護師等が行うことが有り得ることを予め患者等に説明するとともに、当該患者の病状、治療計画、直近の診療内容等緊急時の対応に必要な診療情報を連携保険医療機関等に文書(電子媒体を含む。)により随時提供し、当該提供した診療情報は当該患者の診療録に添付すること。なお、連携保険医療機関等の保険医又は看護師等との診療情報の共有に際し、当該患者の診療情報の提供を行った場合、これに係る費用は各所定点数に含まれ別に算定できない。

(4) 在宅療養支援診療所と連携保険医療機関等、又は在宅療養支援病院と訪問看護ステーションが共同で訪問看護を行い、又は緊急時の往診体制をとっている場合は、当該患者の訪問看護、往診に係る費用は、在宅がん医療総合診療料を算定する在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の保険医の属する保険医療機関において一括して算定する。

(5) 連携保険医療機関等又は在宅療養支援病院と連携する訪問看護ステーションが当該患者に訪問看護を行った場合又は当該患者の病状急変時等に連携保険医療機関の保険医が往診を行った場合は、当該連携保険医療機関等又は在宅療養支援病院と連携する訪問看護ステーションは、診療内容等を在宅がん医療総合診療料を算定する在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院の保険医に速やかに報告し、当該保険医は診療内容等の要点を当該患者の診療録に記載する必要がある。ただし、これに係る診療情報提供の費用は所定点数に含まれ別に算定できない。

(6) 在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院は、算定の対象となる患者について、総合的な在宅医療計画を策定し、これに基づいて訪問診療及び訪問看護を積極的に行うとともに、他の保健医療サービス又は福祉サービスとの連携に努めること。なお、在宅がん医療総合診療は、同一の患者に対して継続的に行うことが望ましい。

(7) 在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院が、当該患者に対して診療を行おうとする場合には、当該患者等に対し照会等を行うことにより、他の保険医療機関における在宅がん医療総合診療料の算定の有無を確認すること。

(8) 「1」に規定する「在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院であって別に厚生労働大臣が定めるもの」とは、特掲診療料施設基準通知の第9在宅療養支援診療所の施設基準の1の(1)及び(2)に規定する在宅療養支援診療所、第14の2在宅療養支援病院の施設基準の1の(1)及び(2)に規定する在宅療養支援病院である。「1のイ」に規定する「病床を有する場合」、「1のロ」に規定する「病床を有しない場合」とは、同通知の第9在宅療養支援診療所の施設基準の2の(1)及び(2)、第14の2在宅療養支援病院の施設基準の2の(1)の規定による。

(9) 1週間のうち院外処方箋を交付した日がある場合は、当該1週間分を「院外処方箋を交付する場合」で算定し、それ以外の場合は「院外処方箋を交付しない場合」で算定する。なお、当該診療を開始又は終了(死亡による場合を含む。)した週にあって、当該1週間のうちに(1)に掲げる基準を満たした場合には、当該診療の対象となった日数分について算定する。

(10) 「注2」に規定する加算は、在宅での療養を行っている患者が在宅で死亡した場合であって、死亡日に往診又は訪問診療を行い、死亡診断を行った場合に算定する。ただし、(12)のイに基づき、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注7」又は在宅患者訪問診療料(Ⅱ)の注6の規定により準用する在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注7」に規定する加算を算定する場合には、算定できない。

(11) 当該患者の診療に係る費用は、(12)に掲げる費用及び「注2」の加算を除き、全て所定点数に含まれる。ただし、同一月において在宅がん医療総合診療料が算定された日の前日までに算定された検体検査判断料等については、別に算定できる。

(12) 「注3」の特に規定するものとは次の費用であり、当該費用は、要件を満たせば在宅がん医療総合診療料と別に算定できる。

週3回以上の訪問診療を行った場合であって、訪問診療を行わない日に患家の求めに応じて緊急に往診を行った場合の往診料(「往診料の「注1」及び「注2」の加算を含む。)(ただし、週2回を限度とする。)

在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注6」に規定する加算及び「注7」に規定する加算並びに在宅患者訪問診療料(Ⅱ)の「注5」に規定する加算及び「注6」の規定により準用する在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注7」に規定する加算(ただし、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注6」に規定する加算又は在宅患者訪問診療料(Ⅱ)の「注5」の加算を算定する場合には、在宅患者訪問看護・指導料の「注 10」の加算及び同一建物居住者訪問看護・指導料の「注4」の規定により準用する在宅患者訪問看護・指導料の「注 10」の加算、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注7」の加算又は在宅患者訪問診療料(Ⅱ)の「注6」の規定により準用する在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注7」の加算を算定する場合には、在宅がん医療総合診療料の「注2」の加算、在宅患者訪問看護・指導料の「注 10」の加算及び同一建物居住者訪問看護・指導料の「注4」の規定により準用する在宅患者訪問看護・指導料の「注 10」の加算は別に算定できない。なお、在宅療養支援診療所及びその連携保険医療機関が連携して在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注6」の加算又は在宅患者訪問診療料(Ⅱ)の「注5」に規定する加算の要件を満たした場合には在宅療養支援診療所が、当該在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注7」の加算又は在宅患者訪問診療料(Ⅱ)の「注6」の規定により準用する在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「注7」の加算の要件を満たした場合については、看取った保険医療機関が診療報酬請求を行い、それぞれの費用の分配は相互の合議に委ねることとする。)
第14部に規定するその他の費用(ただし、訪問診療を行った場合に限る。)

(13) 当該患者を担当する居宅介護支援事業者に対し、予後及び今後想定される病状の変化、病状の変化に合わせて必要となるサービス等について、適時情報提供すること。

(14) 「注4」に規定する交通費は実費とする。

(15) 「注6」に掲げる小児加算については、15 歳未満(児童福祉法第6条の2第3項に規定する小児慢性特定疾病医療支援の対象である場合は、20 歳未満)の患者に対して診療が行われた場合に週に1回を限度として算定する。

(16) 「注7」に規定する在宅データ提出加算の取扱いは、在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料の(29)と同様である。

(17) 「注8」に規定する在宅医療DX情報活用加算の取扱いは、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の(24)から(26)と同様である。

(18) 「注9」に規定する在宅医療情報連携加算の取扱いは、在宅時医学総合管理料施設入居時等医学総合管理料の(30)と同様である。

在宅がん医療総合診療料に関する施設基準

(1) 在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院に係る施設基準の届出を行っていること。

(2) 居宅において療養を行っている末期の悪性腫瘍患者であって通院が困難なものに対して、計画的な医学管理の下に総合的な医療を提供できること。

(3) 患者に対し、定期的に訪問診療及び訪問看護を実施できる体制があること。

(4) 患者の症状急変等により、患者等から求めがあった場合に、常時対応ができる体制があること。

(5) 上記(3)における訪問看護及び(4)については、当該保険医療機関と連携を有する保険
医療機関又は訪問看護ステーションと共同して、これに当たっても差し支えないものとする。

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