【2024年】初診料の点数と新設された加算の施設基準について

初診と再診

医療費は「診療報酬」というルールに基づき、患者さんはどこの医療機関を受診しても一律とされ、大きく「基本診療料」「特掲診療料」に分けられています。

外来の基本診療料には「初診料」「再診料」「オンライン診療料」などがあり、特掲診療料には「医学管理等」「検査」「画像診断」「投薬」「注射」「リハビリテーション」「処置」「手術」などがあげられます。

今回は 基本診療料の「初診料」とそれらに付随する加算の算定要件について解説していきたいと思います。

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初診料について

保険医療機関において初診を行った場合には以下の点数を算定します。

初診料 288点

2科目初診料 144点

低紹介割合初診料 214点

低紹介割合2科目初診料 107点

特定妥結率初診料 214点

特定妥結率2科目初診料 107点

◾️情報通信機器を用いた場合

初診料 251点

2科目初診料 125点

低紹介割合初診料 186点

低紹介割合2科目初診料 93点

特定妥結率初診料 186点

特定妥結率2科目初診料 93点

2022年4月よりオンライン診療料が廃止され、初診料に「情報通信機器を用いた場合」が新設されました。

別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、 情報通信機器を用いた初診を行った場合には、251点を算定します。

初診料が算定できないケース

  1. 特に症状がなく健康診断を目的とする受診により疾病が発見された患者について、当該保険医が治療を開始した場合
  2. 同一保険医が別の保険医療機関で、同一患者に診療を行った場合
  3. 入院中である場合
  4. 労災保険、健康診断、自費により傷病の治療を受けている場合
  5. 現に診療継続中の患者に、新たに発生した別の傷病で診療した場合

初診料には以上のような要件がありますが、「5」については患者さんが任意に診療を中止にし、1ヶ月以上経過した後に再び同一病名で受診した場合は初診料が算定できます。

同じ医療機関で内科と眼科を初診した場合は、両方とも初診料を算定できるんですか?

2科までは算定できます!ただし3つ目は算定できないので注意です。また他科でも関係性ある疾患(例:糖尿病で内科を受診し、糖尿病網膜症精査のため眼科を受診)の場合は初診料を算定することができません・

POINT診療録には患者様の基本項目「氏名」「住所」「性別」「年齢」の記載が必ず必要です。

電話等診療のカルテ記載について

情報通信機器を用いて行った診療については、以下の内容をカルテに記載する必要があります。

  • 診療内容、診療日、診療時間等の要点
  • 患者さんの急変時において、夜間や休日などやむを得ず対応できない場合は、事前に受診可能な医療機関を説明したこと
  • 患者さんにかかりつけ医がいる場合には、医療機関名
  • 対面診療により診療ができない理由、適切な医療機関としての紹介先の医療機関名、紹介方法及び患者さんの同意
  • 診療が指針に沿った適切な診療であったこと
  • 処方を行った場合については、指針に沿った適切な処方であったこと

初診料に付随する加算について

初診料に付随する加算については以下のものが挙げられます。

乳幼児加算(6歳未満)(時間内のみ) 75点

時間外加算(6歳以上)(診療時間外)85点

時間外加算(6歳未満・小児科特例) 200点

休日加算(6歳以上)(日曜日と祝日) 250点

休日加算(6歳未満・小児科特例) 365点

深夜加算(6歳以上)(22時〜翌日6時まで) 480点

深夜加算(6歳未満・小児科特例) 695点

夜間・早朝等加算 50点

機能強化加算 80点 ※要届出

外来感染対策向上加算 6点 ※要届出

連携強化加算 3点 ※要届出

サーベイランス強化加算 1点 ※等届出

医療情報・システム基盤整備体制充実加算 2点/4点

機能強化加算について

機能評価加算とは、適切な診療だけでなく、疾病に対する予防や健康に関する相談に応じ、必要に応じて専門医を紹介する「診療所」及び「200床未満の病院」を評価する点数として、80点を初診料に付随して算定できます。

この加算を算定するには、機能強化加算の施設基準に該当していること及び地方厚生局長等に届出をする必要があります。

機能強化加算は、年齢、疾病、診療科に関係なく全ての初診患者に加算でき、同一月に2回の初診料算定があった場合にも加算できます。

機能強化加算は初診料に加算できるもので、再診料には加算できません。

初診時の乳児加算について

6歳未満の乳児に対して初診を行った場合は、乳幼児加算として「75点」を加算できます。

ただし「時間外加算」「休日加算」「深夜加算」を加算する場合は、合わせて算定することはできません。

初診時の時間外の加算について

保険医療機関が表示する標榜時間以外の時間であって、時間外、休日、夜間において初診を行った場合は、以下の点数を加算できます。

6歳以上 6歳未満
時間外加算 85点 200点
休日加算 250点 365点
深夜加算 480点 695点

【時間外】
平日は6〜8時、18時〜22時、土曜日は6時〜8時、12時〜22時

【対象となる休日】
日曜日、国民の祝日、12月29日〜31日、1月2日、3日

【深夜】
22時〜6時まで

算定事例

小児科を標榜する診療所(機能強化加算届出済)

診療時間 9:00〜17:00(月〜金)
4歳1ヶ月の患者が日曜日の22時に緊急来院

  1. 初診料 228点
  2. 深夜加算 695点
  3. 機能強化加算 80点

※6歳未満の乳幼児に対して初診を行った場合は、乳幼児加算の75点を算定するとありますが、時間外加算・休日加算・深夜加算を算定する場合は算定できません。

カルテ記載について初診時の「主訴」「現病歴」「既往歴」「生活歴」などの記載が乏しい場合は厚生局の個別指導で指摘を受けますので、カルテ記載はしっかり行うようにしましょう。

また、時間外加算を算定する際は、診療開始時間を記載するなどして、算定要件を満たしていることを明確にしておきましょう。

レセプトの記載方法

  • 時間外、休日、深夜加算を算定する場合は該当する箇所に○を
  • 夜間・早朝など加算を算定した場合は「夜早」の略語を記入
  • 同日に2科を受診した場合は「複初」と略語を記入し、当該診療科及び点数を記入する
  • 小児科標榜の医療機関で特例を算定した場合は「特夜」、休日は「特休」、深夜は「特深」と略語を記入する

夜間・早朝等加算

厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関(診療所のみ)が、午後6時(土曜日にあっては正午)から午前8時までの間(深夜及び休日を除く)、休日又は深夜であって、当該保険医療機関が表示する診療時間内の時間において初診を行った場合は、夜間・早朝等加算として、50点を所定点数に加算します。

ただし上記で説明した時間外加算を算定する場合は同時算定できません。

施設基準について一週当たりの診療時間が三十時間以上であること。

【新設】外来感染対策向上加算

組織的な感染防止対策につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関(診療所に限る)において初診を行った場合は、 外来感染対策向上加算として、月1回に限り6点を所定点数に加算します。

施設基準について

  • 専任の院内感染管理者が配置されていること。
  • 当該保険医療機関内に感染防止対策部門を設置し、組織的に感染防止対策を実施する体制が整備されていること。
  • 感染防止対策につき、感染対策向上加算1に係る届出を行っている保険医療機関等と連携していること。

【新設】連携強化加算

感染対策向上加算届出医療機関であって、感染症対策に関する医療機関間の連携体制につき、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において初診を行った場合は、連携強化加算として、月1回に限り3点を更に所定点数に加算します。

施設基準について他の保険医療機関(感染対策向上加算1に係る届出を行っているものに限る)との連携体制が確保されていること。

【新設】サーベイランス強化加算

感染対策向上加算届出医療機関であって、感染防止対策に資する情報を提供する体制につき別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において初診を行った場合は、サーベイランス強化加算として、月1回に限り1点を更に所定点数に加算する。

施設基準について地域において感染防止対策に資する情報を提供する体制が整備されていること。

【新設】電子的保健医療情報活用加算←2022年9月末で廃止

別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関を受診した患者さんに対して、健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認により、当該患者さんに係る診療情報等を取得した上で初診を行った場合は、 電子的保健医療情報活用加算として、月1回に限り7点を所定点数に加算します。ただし、当該患者さんに係る診療情報等の取得が困難な場合又は他の保険医療機関から当該患者さんに係る診療情報等の提供を受けた場合等にあっては、月1回に限り3点を所定点数に加算します。

施設基準について(1)療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令(昭和五十一年厚生省令第三十六号)第一条に規定する電子情報処理組織の使用による請求を行っていること。

(2)健康保険法第三条第十三項に規定する電子資格確認を行う体制を有していること。

(3)(2)の体制に関する事項について、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。

【新設】医療情報・システム基盤整備体制充実加算

2022年4月の診療報酬改定で新設された「電子的保健医療情報活用加算」は、9月末で廃止さ、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」が新設されました。

初診に係る十分な情報を取得する体制として別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関を受診した患者さんに対して初診を行った場合は、医療情報・システム基盤整備体制充実加算1として、月1回に限り4点を所定点数に加算します。

ただし、オンライン資格確認により患者さんに係る診療情報を取得した場合又は他の保険医療機関から診療情報の提供を受けた場合にあっては、医療情報・システム基盤整備体制充実加算2として、月1回に限り2点を所定点数に加算します。

施設基準について

  1. 療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令(昭和五十一年厚生省令第三十六号)第一条に規定する電子情報処理組織の使用による請求を行っていること。
  2. 健康保険法第三条第十三項に規定する電子資格確認を行う体制を有していること。
  3. 「2」の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して診療を行うことについて、当該保険医療機関の見やすい場所及びホームページ等に掲示していること。
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