【2023年】地域包括診療料の算定要件と施設基準について

地域包括診療料

厚生労働大臣が定める施設基準を満たし、地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、 脂質異常症、高血圧症、糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病(慢性維持透析を行っていないものに限る。)又は認知症のうち2以上の疾患を有する患者さん(入院以外)に対して、患者さんの同意を得て、療養上必要な指導及び診療を行った場合に以下の点数を算定することができます。

地域包括診療料1 1660点

地域包括診療料2 1600点

※算定は月に1回限り

地域包括診療料の算定は許可病床数が200床未満の病院又は診療所に限ります。

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算定要件

初診時・訪問診療時の算定

地域包括診療料は、外来の機能分化の観点から、主治医機能を持った中小病院及び診療所の医師が、複数の慢性疾患を有する患者さんに対し、患者さんの同意を得た上で、継続的かつ全人的な医療を行うことについて評価したものであり、初診時や訪問診療時(往診を含む。)は算定できません。

担当医について

地域包括診療料を算定するには「診療する担当医」を決めることが必要です。

担当医は、慢性疾患の指導に係る適切な研修を修了した医師とし、担当医により指導及び診療を行った場合に当該診療料を算定します。なお、服薬、運動、休養、栄養、喫煙、家庭での体重や血圧の計測、飲酒、その他療養を行うに当たっての問題点等に係る生活面の指導については、必要に応じて、当該医師の指示を受けた看護師や管理栄養士、薬剤師が行っても差し支えないとされています。(2022年改定)

服薬管理について

患者さんに対し、以下の指導及び服薬管理等を行うことが必要です。

患者さんの同意を得て、計画的な医学管理の下に療養上必要な指導及び診療を行うこと。
他の保険医療機関と連携の上、患者が受診している医療機関を全て把握するとともに、当該患者に処方されている医薬品を全て管理し、診療録等に記載すること。必要に応じ、担当医の指示を受けた看護師、准看護師等が情報の把握を行うことも可能であること。
原則として院内処方を行うこと。ただし、エ及びオの場合に限り院外処方を可能とする。
病院において、患者の同意が得られた場合は、以下の全てを満たす薬局に対して院外処方を行うことを可能とする。
(イ) 24時間開局している薬局であること。なお、24時間開局している薬局のリストを患者に説明した上で患者が選定した薬局であること。
(ロ) 当該患者がかかっている医療機関を全て把握した上で、薬剤服用歴を一元的かつ継続的に管理し、投薬期間中の服薬状況等を確認及び適切な指導を行い、当該患者の服薬に関する情報を医療機関に提供している薬局であること。
(ハ) 病院において院外処方を行う場合は、以下の通りとする。
① 患者さんが受診している医療機関のリスト及び患者さんが当該診療料を算定している旨を、処方箋に添付して患者さんに渡すことにより、当該薬局に対して情報提供を行うこと。
② 患者さんに対して、当該医療機関を受診時に、薬局若しくは当該医療機関が発行するお薬手帳を持参させること。また、患者さんの院外処方を担当する保険薬局から文書で情報提供を受けることでもよい。なお、保険薬局から文書で情報提供を受けた場合も、患者さんに対し、事後的にお薬手帳の提示に協力を求めることが望ましい。
③ また、診療録にお薬手帳のコピー若しくは保険薬局からの文書のコピーを添付すること、又は、当該点数の算定時の投薬内容について診療録に記載すること。
診療所において、院外処方を行う場合は、以下のとおりとする。
(イ) 調剤について 24 時間対応できる体制を整えている薬局(以下「連携薬局」という。)と連携していること。
(ロ) 原則として、院外処方を行う場合は連携薬局にて処方を行うこととするが、患者さんの同意がある場合に限り、その他の薬局での処方も可能とする。その場合は患者さんに対して、時間外においても対応できる薬局のリストを文書により提供し、説明すること。
(ハ) 患者さんが受診している医療機関のリスト及び当該患者が当該診療料を算定している旨を、処方箋に添付して患者さんに渡すことにより、当該薬局に対して情報提供を行うこと。
(ニ) 患者さんに対して、当該医療機関を受診時に、薬局若しくは当該医療機関が発行するお薬手帳を持参させること。また、当該患者の院外処方を担当する保険薬局から文書で情報提供を受けることでもよい。なお、保険薬局から文書で情報提供を受けた場合も、患者さんに対し、事後的にお薬手帳の提示に協力を求めることが望ましい。
(ホ) また、診療録にお薬手帳のコピー若しくは保険薬局からの文書のコピーを添付すること、又は、当該点数の算定時の投薬内容について診療録等に記載すること。

時間外の対応について

標榜診療時間外の電話等による問い合わせに対応可能な体制を有し、連絡先について情報提供するとともに、患者さん又は患者家族等から連絡を受けた場合には、受診の指示等、速やかに必要な対応を行うこと。

検査について

患者さんについて、当該医療機関で検査(院外に委託した場合を含む。)を行うこと。

健康診断について

健康診断や検診の受診勧奨を行い、その結果等を診療録に添付又は記載するとともに、患者さんに提供し、評価結果をもとに患者の健康状態を管理すること。

主治医意見書について

必要に応じ、要介護認定に係る主治医意見書を作成すること。

予防接種について

必要に応じ、患者さんの予防接種の実施状況を把握し、患者さんからの予防接種に係る相談に対応すること。

同意文書について

患者さんの同意について、当該診療料の初回算定時に、別紙様式48を参考に、患者さんの署名付の同意書を作成し、診療録等に添付すること。ただし、直近1年間に4回以上の受診歴を有する患者さんについては、別紙様式48を参考に診療の要点を説明していれば、同意の手続きは省略して差し支えない。なお、当該医療機関自ら作成した文書を用いることでよいとされています。

POINT認知症の患者さんに対し当該診療料を算定する場合であって、病状から患者さんへの説明及び同意について、患者家族等への説明及び同意による方が適切と考えられる場合には、当該部分について「患者さん」を「患者家族等」と読み替えるものとする。

院内掲示について

院内掲示により以下の対応が可能なことを周知し、患者さんの求めがあった場合に適切に対応することが必要です。

ア 健康相談を行っていること。

イ 介護保険に係る相談を行っていること。
ウ 予防接種に係る相談を行っていること。

往診・訪問診療対応について

地域包括診療料を算定する医療機関においては、往診又は訪問診療を行えることが必要です。往診又は訪問診療対象の患者さんには、24 時間対応可能な夜間の連絡先を提供し、患者さん又は患者家族等から連絡を受けた場合には、往診、外来受診の指示等を速やかに必要な対応を行うこととされています。

抗菌薬の適正使用について

地域包括診療料を算定する医療機関においては、抗菌薬の適正な使用を推進するため「抗微生物薬適正使用の手引き」(厚生労働省健康局結核感染症課)を参考に、抗菌薬の適正な使用の普及啓発に資する取組を行っていることが必要です。

薬剤適正使用連携加算について

他の保険医療機関に入院した患者さん又は介護老人保健施設に入所した患者さんについて、当該他の保険医療機関又は介護老人保健施設と連携して薬剤の服用状況や薬剤服用歴に関する情報共有等を行うとともに、当該他の保険医療機関又は介護老人保健施設において処方した薬剤の種類数が減少した場合であって、退院後又は退所後1月以内に当該他の保険医療機関又は介護老人保健施設から入院中又は入所中の処方内容について情報提供を受けた場合には、薬剤適正使用連携加算として、退院日又は退所日の属する月から起算して2月目までに1回に限り、30点を所定点数に加算します。

地域包括診療料の施設基準について

◾️地域包括診療料1の施設基準

  1. 当該保険医療機関において、脂質異常症、高血圧症、糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病(慢性維持透析を行っていないものに限る。)又は認知症のうち二以上の疾患を有する患者さんに対して、療養上必要な指導等を行うにつき必要な体制が整備されていること。
  2. 往診又は訪問診療を行っている患者さんのうち、継続的に外来診療を行っていた患者さんが一定数いること。
  3. 地域包括診療加算の届出を行っていないこと。

◾️地域包括診療料2の施設基準

地域包括診療料1の1及び3を満たすものであること。

届出を行う地方厚生局HPについて

届出を行う際は、保険医療機関が所在する都道府県を管轄する地方厚生局に、必要書類を1部提出する必要があります。

各書式は各地方厚生局のH Pよりダウンロードできます。
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