【介護と医療】訪問看護の役割と利用するまでの仕組みについて

訪問看護

訪問看護とは、看護師が患者さんの住むお家や入所している老人ホーム等を訪問し、医師の指示や連携により行う看護のことをいいます。

たとえ病気や障害があっても、患者さんの住むお家や老人ホームで最期まで暮らせるように多職種と協働しながら療養生活を支援するシステムが充実されています。

利用対象者について寝たきりの状態(要介護・要支援認定を受けている方)や寝たきりの心配のある方や自宅で療養を続ける末期がん・難病・脳卒中後遺症・認知症・精神に不安がある方でかかりつけ医の医師が訪問看護の必要を認めた方です。

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要介護・要支援認定について

要介護1~5の方は「訪問看護」、要支援認定1~2の方は「介護予防訪問看護」の対象となります。

看護師などが定期的に居宅を訪問し、医師の「訪問看護指示書」にもとづく療養ケアや診療補助を行います。

なお、訪問看護・介護予防訪問看護については、医療保険ではなく介護保険が優先的に適用されます。そのため、ケアマネージャーに相談して、必要な訪問看護をケアプランに組み込んでもらうことからスタートします。

介護保険について

介護保険制度では、寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態になった場合や、家事や身支度等の日常生活に支援が必要であり、特に介護予防サービスが効果的な状態になった場合に、介護の必要度合いに応じた 介護サービスを受けることができる。

要支援1

・部屋の掃除や身のまわりの世話で一部介助を必要とする。
・立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とすることがある。
・排泄や食事はほとんど自立している。

要支援2

・身だしなみや部屋の掃除などの身のまわりの世話で一部介助を必要とする。
・歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある。
・排泄や食事はほとんど自立している。

要介護1

要支援2の状態に併せて、混乱や理解低下がみられることがある。

要介護2

要介護1の状態に併せて、排泄や食事に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とすることがある。

要介護3

・身だしなみや居室の掃除などの身のまわりの世話が自分ひとりでできない。
・立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作が自分ひとりでできない。
・歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分でできないことがある。
・排泄が自分ひとりでできない。
・いくつかの不安行動や全般的な理解の低下がみられることがある。

要介護4

・身だしなみや居室の掃除などの身のまわりの世話がほとんどできない。
・立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作がほとんどできない。
・歩行や両足での立位保持などの移動の動作が自分ひとりではできない。
・排泄がほとんどできない。
・多くの不安行動や全般的な理解の低下がみられることがある。

要介護5

要介護4の状態に併せて、排泄や食事が1人ではできない状態。

POINT要介護認定は主治医の作成する「主治医意見書」をもとに審査され認定され、徘徊や暴言・暴力行為、妄想、介護拒否なども大きく影響されます。

訪問看護の役割について

訪問看護は「入院期間はできるだけ短くして自宅で療養したい」「体が不自由で通院が難しく自宅で点滴過量を行いたい」「癌の末期だが、自宅で疼痛コントロールを行いながら過ごしたい」など、それぞれの事情や病状に合わせて利用でき、医療保険または介護保険が適用されます。

では、主にどのような看護を受けられるのかみてみましょう!

  • 全身の健康状態(体温、呼吸、脈拍、血圧、体重、筋力、皮膚の状態、認知・精神状態、栄養状態、排泄状況等)のアセスメント
  • 医師の指示のもと、点滴注射、褥瘡・創傷処置等

褥瘡とは?褥瘡とは、自分で体位変換ができず長期間寝たきりの方が体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部がただれたり、傷ができてしまうことです。一般的に「床ずれ」ともいわれています。

  • カテーテル類の管理
  • 服薬管理
  • 急変、急性増悪等による24時間体制で緊急時対応
  • 寝たきり予防のためのケア
  • 食事・排泄・睡眠・休息運動等療養生活の支援
  • ADL・IADLの維持・向上のためのリハビリテーションなど
  • 認知症介護の相談
  • がん末期や終末期における痛みのコントロール

訪問看護の利用システムについて

訪問看護を利用するには、主治医が作成する「訪問看護指示書」が必要となります。

主治医が指示書を訪問看護ステーションへ交付し、当該訪問看護ステーションと利用者で契約を結ぶことで利用開始となります。訪問看護が始まったら、主治医に訪問看護計画書を提出して、1ヶ月に1回は訪問看護報告書で看護内容や状態報告を行います。

■訪問看護指示書の種類

訪問看護指示書(訪問看護指示料 300点) 
医療保険・介護保険共通で利用できる一般的な指示書特別訪問看護指示書(特別訪問看護指示加算 100点) 
肺炎や心不全などの急性増悪、終末期、退院直後の時期などで頻繁に訪問看護が必要な場合に、基本の上限回数に制限されず、医療保険の訪問看護が利用できる指示書在宅患者訪問点滴注射指示書(在宅患者訪問点滴注射管理指導料 100点)
週3日以上の点滴注射が必要な場合の指示書

多くは地域のケアマネジャーから依頼をうけ、患者さんの主治医からの訪問看護指示書が発行されてから訪問が開始されます。

ケアマネジャーとは、介護保険制度に基づき介護が必要な方や、要介護状態が悪化しないようにケアマネジメントを行う専門職種です。

ケアマネジャーは、利用者に対して介護保険サービスが受けられるように、サービスをどのような目的で利用するのかを記載した「ケアプラン(介護サービス計画)」の作成を行います。
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