H008 集団コミュニケーション療法料の算定要件

集団コミュニケーション療法料の算定要件

集団コミュニケーション療法料とは、厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において、集団コミュニケーション療法である言語聴覚療法を行った場合に算定される診療報酬です。

H008 集団コミュニケーション療法料(1単位)50点

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集団コミュニケーション療法料の算定要件

別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、別に厚生労働大臣が定める患者に対して、集団コミュニケーション療法である言語聴覚療法を行った場合に、患者1人につき1日3単位まで算定する。

言語聴覚療法とは、病気や事故、発達上の問題などによって、言語や聴覚、摂食・嚥下に障害のある人を対象としたリハビリテーションです。話す、聴く、書く、読むなどの言語能力の向上や、コミュニケーションの円滑化を目的とした訓練が行われます。

集団コミュニケーション療法料の留意事項

(1) 集団コミュニケーション療法料は、別に厚生労働大臣が定める脳血管疾患等リハビリテーション料又は障害児(者)リハビリテーション料の施設基準に適合しているものとして地方厚生(支)局長に届出を行った保険医療機関であって、当該施設において医師又は医師の指導監督の下で言語聴覚士が複数の患者に対して訓練を行った場合に算定できる。

集団コミュニケーション療法料の施設基準
脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅱ)若しくは脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅲ)又は障害児(者)リハビリテーション料の届出を行っている施設であること。
当該保険医療機関内に集団コミュニケーション療法である言語聴覚療法を担当する専任の常勤医師が一名以上配置されていること。
当該保険医療機関内に集団コミュニケーション療法である言語聴覚療法を担当する専従の言語聴覚士が適切に配置されていること。
患者数は、言語聴覚士の数に対し適切なものであること。
集団コミュニケーション療法である言語聴覚療法を行うにつき十分な専用施設を有していること。
集団コミュニケーション療法である言語聴覚療法を行うにつき必要な器械・器具が具備されていること。

(2) 集団コミュニケーション療法料の算定対象となるのは、脳血管疾患等リハビリテーション料廃用症候群リハビリテーション料又は障害児(者)リハビリテーション料を算定する患者のうち、1人の言語聴覚士が複数の患者に対して訓練を行うことができる程度の症状の患者であって、特に集団で行う言語聴覚療法である集団コミュニケーション療法が有効であると期待できる患者である。

集団コミュニケーション療法料の対象患者

以下に掲げる患者又は廃用症候群リハビリテーション料に規定する患者であって、言語・聴覚機能の障害を有するもの

  • 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血その他の急性発症した脳血管疾患又はその手術後の患者
  • 脳腫瘍、脳膿瘍、脊髄損傷、脊髄腫瘍その他の急性発症した中枢神経疾患又はその手術後の患者
  • 多発性神経炎、多発性硬化症、末梢神経障害その他の神経疾患の患者
  • パーキンソン病、脊髄小脳変性症その他の慢性の神経筋疾患の患者
  • 失語症、失認及び失行症並びに高次脳機能障害の患者
  • 難聴や人工内耳植込手術等に伴う聴覚・言語機能の障害を有する患者
  • 顎・口腔の先天異常に伴う構音障害を有する患者
  • 舌悪性腫瘍等の手術による構音障害を有する患者
  • リハビリテーションを要する状態の患者であって、一定程度以上の基本動作能力、応用動作能力、言語聴覚能力及び日常生活能力の低下を来しているもの(心大血管疾患リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料、障害児(者)リハビリテーション料又はがん患者リハビリテーション料の対象患者に該当するものを除く。)
  • 脳性麻痺の患者
  • 胎生期若しくは乳幼児期に生じた脳又は脊髄の奇形及び障害の患者
  • 顎・口腔の先天異常の患者
  • 先天性の体幹四肢の奇形又は変形の患者
  • 先天性神経代謝異常症、大脳白質変性症の患者
  • 先天性又は進行性の神経筋疾患の患者
  • 神経障害による麻痺及び後遺症の患者
  • 言語障害、聴覚障害又は認知障害を伴う自閉症等の発達障害の患者

(3) 集団コミュニケーション療法の実施単位数は言語聴覚士1人当たり1日のべ54単位を限度とする。また、集団コミュニケーション療法と脳血管疾患等リハビリテーション、廃用症候群リハビリテーション又は障害児(者)リハビリテーションを併せて行っている従事者については、実施するリハビリテーションの単位数が、集団コミュニケーション療法3単位を疾患別リハビリテーション1単位とみなした上で、1日に概ね18単位、週に108単位を超えないものとする。

(4) 集団コミュニケーション療法の実施に当たっては、医師は定期的な言語聴覚機能能力に係る検査をもとに効果判定を行い、集団コミュニケーション療法の実施計画を作成する必要がある。なお、集団コミュニケーション療法を実施する場合は開始時及びその後3か月に1回以上、患者又はその家族に対して当該集団コミュニケーション療法の実施計画の内容を説明し、その要点を診療録に記載又は添付する。

集団コミュニケーション療法料に関する施設基準

(1) 専任の常勤医師が1名以上勤務していること。なお、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週 22 時間以上の勤務を行っている専任の非常勤医師を2名以上組み合わせることにより、常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤医師が配置されている場合には、当該基準を満たしていることとみなすことができる。

(2) 専従する常勤言語聴覚士が1名以上勤務すること。なお、当該言語聴覚士は、第7部リハビリテーション第1節の各項目のうち専従の常勤言語聴覚士を求める別の項目について、 別に定めがある場合を除き、兼任は可能であること。なお、週3日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務を行っている専従の非常勤言語聴覚士を2名以上組み合わせることにより、常勤言語聴覚士の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤言語聴覚士が配置されている場合、当該基準を満たしていることとみなすことができる。

(3) 次に掲げる当該療法を行うための専用の療法室及び必要な器械・器具を有していること。

ア 専用の療法室
集団コミュニケーション療法を行うに当たっては、集団コミュニケーション療法室 (内法による測定で8平方メートル以上)を1室以上有していること(言語聴覚療法以外 の目的で使用するものは集団コミュニケーション療法室に該当しないものとする。なお言 語聴覚療法における個別療法室と集団コミュニケーション療法室の共用は可能なものとする)。

イ 必要な器械・器具(主なもの)
簡易聴力スクリーニング検査機器、音声録音再生装置、ビデオ録画システム、各種言語・心理・認知機能検査機器・用具、発声発語検査機器・用具、各種診断・治療材料(絵カード他)

Q
集団コミュニケーション療法料について、届出を行った集団コミュニケーション療法室以外の場所で行った場合でも算定しても問題はないでしょうか?
A

算定可能です。必ずしも集団コミュニケーション療法室で行う必要はないとされています。

(4) 平成26年3月31日において、現に集団コミュニケーション療法料の届出を行っている 保険医療機関については、当該療法室の増築又は全面的な改築を行うまでの間は、(3)の内法の規定を満たしているものとする。

(5) リハビリテーションに関する記録(医師の指示、実施時間、訓練内容、担当者等)は患者ごとに一元的に保管され、常に医療従事者により閲覧が可能であるようにすること。

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