外来腫瘍化学療法診療料とは、抗がん剤投与患者を対象とした医学管理料です。悪性腫瘍の患者さんに対する外来での安心・安全な化学療法の実施を推進することを目的としており、要件や評価を見直すとともに、医療スタッフの常時配置要件を緩和した「外来腫瘍化学療法診療料3」が新設されました。
B001-2-12 外来腫瘍化学療法診療料
1 外来腫瘍化学療法診療料1
イ 抗悪性腫瘍剤を投与した場合
(1) 初回から3回目まで 800点
(2) 4回目以降 450点
ロ イ以外の必要な治療管理を行った場合 350点
2 外来腫瘍化学療法診療料2
イ 抗悪性腫瘍剤を投与した場合
(1) 初回から3回目まで 600点
(2) 4回目以降 320点
ロ イ以外の必要な治療管理を行った場合 220点
3 外来腫瘍化学療法診療料3
イ 抗悪性腫瘍剤を投与した場合
(1) 初回から3回目まで 540点
(2) 4回目以降 280点
ロ イ以外の必要な治療管理を行った場合 180点
外来腫瘍化学療法診療料の算定要件
注1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、悪性腫瘍を主病とする患者であって入院中の患者以外のものに対して、外来化学療法(別に厚生労働大臣が定めるものに限る。)の実施その他の必要な治療管理を行った場合に、当該基準に係る区分に従い算定する。この場合において、初診料(注6から注8まで、注15及び注16に規定する加算を除く。)、再診料(注4から注6まで及び注19に規定する加算を除く。)、外来診療料(注7から注10までに規定する加算を除く。)、がん患者指導管理料のハ又は在宅自己注射指導管理料は、別に算定できない。
注2 1のイの(1)、2のイの(1)及び3のイの(1)については、当該患者に対して、抗悪性腫瘍剤を投与した場合に、月3回に限り算定する。
注3 1のイの(2)、2のイの(2)及び3のイの(2)については、1のイの(1)、2のイの(1)又は3のイの(1)を算定する日以外の日において、当該患者に対して、抗悪性腫瘍剤を投与した場合に、週1回に限り算定する。
注4 1のロについては、次に掲げるいずれかの治療管理を行った場合に、週1回に限り算定する。
イ 1のイの(1)又は(2)を算定する日以外の日において、当該患者に対して、抗悪性腫瘍剤の投与以外の必要な治療管理を行った場合
ロ 連携する他の保険医療機関が外来化学療法を実施している患者に対し、緊急に抗悪性腫瘍剤の投与以外の必要な治療管理を行った場合
注5 2のロ及び3のロについては、2のイの(1)若しくは(2)又は3のイの(1)若しくは(2)を算定する日以外の日において、当該患者に対して、抗悪性腫瘍剤の投与以外の必要な治療管理を行った場合に、週1回に限り算定する。
注6 退院した患者に対して退院の日から起算して7日以内に行った治療管理の費用は、第1章第2部第1節に掲げる入院基本料に含まれるものとする。
注7 当該患者が15歳未満の小児である場合には、小児加算として、所定点数に200点を加算する。
注8 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、1のイの(1)を算定した患者に対して、当該保険医療機関の医師又は当該医師の指示に基づき薬剤師が、副作用の発現状況、治療計画等を文書により提供した上で、当該患者の状態を踏まえて必要な指導を行った場合は、連携充実加算として、月1回に限り150点を所定点数に加算する。
注9 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、1のイの(1)を算定する患者に対して、当該保険医療機関の医師の指示に基づき薬剤師が、服薬状況、副作用の有無等の情報の収集及び評価を行い、医師の診察前に情報提供や処方の提案等を行った場合は、がん薬物療法体制充実加算として、月1回に限り100点を所定点数に加算する。
外来腫瘍化学療法診療料の留意事項
(1) 外来腫瘍化学療法診療料は、入院中の患者以外の悪性腫瘍を主病とする患者に対して、患者の同意を得た上で、化学療法の経験を有する医師、化学療法に従事した経験を有する専任の看護師及び化学療法に係る調剤の経験を有する専任の薬剤師が必要に応じてその他の職種と共同して、注射による外来化学療法の実施その他の必要な治療管理を行った場合に算定する。
(2) 「1」の「イ」の(1)、「2」の「イ」の(1)又は「3」の「イ」の(1)に規定する点数は、月の初日から起算して、抗悪性腫瘍剤を1回目に投与した日から3回目に投与した日に算定し、「1」の「イ」の(2)、「2」の「イ」(2)又「3」の「イ」の(2)に規定する点数は、月の初日から起算して、抗悪性腫瘍剤を4回目以降に投与した日に算定する。
(3) 「1」の「ロ」、「2」の「ロ」及び「3」の「ロ」に規定する点数は、注射による外来化学療法の実施その他必要な治療管理を実施中の期間に、当該外来化学療法を実施している保険医療機関において、当該外来化学療法又は治療に伴う副作用等で来院した患者に対し、診察(視診、聴診、打診及び触診等の身体診察を含む)の上、必要に応じて速やかに検査、投薬等を行う体制を評価したものである。また、外来腫瘍化学療法診療料3の届出を行っている保険医療機関において外来化学療法を実施している患者が、外来腫瘍化学療法診療料1の届出を行っている他の連携する保険医療機関を緊急的な副作用等で受診した場合には、「1」の「ロ」を算定できる。ただし、あらかじめ治療等に必要な情報を文書(電子媒体を含む。)により当該外来腫瘍化学療法診療料3の届出を行っている医療機関から受理している場合に限る。。この場合には外来腫瘍化学療法診療料1の届出を行っている保険医療機関は、連携する外来腫瘍化学療法診療料3の届出を行っている保険医療機関名及び情報提供に係る文書を受理した日付を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
なお、「外来化学療法の実施その他必要な治療管理を実施中の期間」とは、当該化学療法のレジメンの期間内とする。
(4) 外来化学療法の実施及びその他必要な治療管理を行うに当たっては、患者の心理状態に十分配慮された環境で、以下の説明及び指導等を行うこと。なお、患者の十分な理解が得られない場合又は患者を除く家族等にのみ説明を行った場合は算定できない。
ア 化学療法を初めて実施する場合、レジメンを変更した際、及び必要に応じて、患者に対して、抗悪性腫瘍剤の効能・効果、投与計画、副作用の種類とその対策、副作用に対する薬剤や医療用麻薬等の使い方、他の薬を服用している場合は薬物相互作用、日常生活での注意点、抗悪性腫瘍剤ばく露の予防方法等について文書により説明を行うこと。なお、抗悪性腫瘍剤ばく露の予防方法については、関係学会から示されている抗悪性腫瘍剤ばく露対策の指針に基づき、患者及びその家族等に対して指導を行うこと。
イ アについては、医師の指示を受けた、抗悪性腫瘍剤に係る業務に従事した経験を有する専任の薬剤師が実施しても差し支えない。ただし、その場合、アに加えて、指導を行った薬剤師が、当該患者の診療を担当する医師に対して、指導内容、過去の治療歴に関する患者情報(患者の投薬歴、副作用歴、アレルギー歴等)、服薬状況、患者からの症状及び不安等の訴えの有無等について医師に報告するとともに、必要に応じて、副作用に対応する薬剤、医療用麻薬等又は抗悪性腫瘍剤の処方に関する提案等を行うこと。
ウ 指導内容等の要点を診療録若しくは薬剤管理指導記録に記載又は説明に用いた文書の写しを診療録等に添付すること。
(5) 抗悪性腫瘍剤の注射による投与を行うに当たっては、外来化学療法に係る専用室において、投与を行うこと。
(6) 当該診療料を算定する患者からの電話等による緊急の相談等に対して24時間対応できる体制を確保し、連絡先電話番号及び緊急時の注意事項等について、文書により提供すること。
(7) 外来腫瘍化学療法診療料1は、当該保険医療機関で実施される化学療法のレジメン(治療内容)の妥当性を評価し、承認する委員会(他の保険医療機関と連携し、共同で開催する場合を含む。)において、承認され、登録されたレジメンを用いて治療を行ったときのみ算定できる。
(8) 外来腫瘍化学療法診療料3の届出を行う医療機関は、外来腫瘍化学療法診療料1の届出を行っている他の連携する保険医療機関に対して、緊急時に当該他の連携する保険医療機関に受診を希望する患者について、あらかじめ治療等に必要な情報を文書により、少なくとも治療開始時に1回は提供し、以降は適宜必要に応じて提供していること。
(9) 「注8」に規定する連携充実加算については、外来腫瘍化学療法診療料1を届け出た保険医療機関において、外来腫瘍化学療法診療料1のイの(1)を算定する日に、次に掲げる全ての業務を実施した場合に月1回に限り算定する。
ア 化学療法の経験を有する専任の医師又は化学療法に係る調剤の経験を有する専任の薬剤師が必要に応じてその他の職種と共同して、患者に注射又は投薬されている抗悪性腫瘍剤等の副作用の発現状況を評価するとともに、副作用の発現状況を記載した治療計画等の治療の進捗に関する文書を患者に交付すること。なお、当該文書に次に掲げる事項が記載されていること。
(イ) 患者に実施しているレジメン
(ロ) 当該レジメンの実施状況
(ハ) 患者に投与した抗悪性腫瘍剤等の投与量
(ニ) 主な副作用の発現状況(「有害事象共通用語規準 v5.0 日本語訳JCOG版」に基づく副作用の重篤度のスケール(Grade)及び関連する血液・生化学的検査の結果等)
(ホ) その他医学・薬学的管理上必要な事項
イ 治療の状況等を共有することを目的に、交付した治療計画等の治療の進捗に関する文書を他の保険医療機関の医師若しくは薬剤師又は保険薬局の薬剤師に提示するよう患者に指導を行うこと。
ウ 他の保険医療機関又は保険薬局から服薬状況、抗悪性腫瘍剤等の副作用等に関する情報が提供された場合には、必要な分析又は評価等を行うこと。
エ 悪性腫瘍の治療を担当する医師の診察に当たっては、あらかじめ薬剤師、看護師等と連携して服薬状況、抗悪性腫瘍剤等の副作用等に関する情報を収集し、診療に活用することが望ましい。
オ 療養のため必要な栄養の指導を実施する場合には、管理栄養士と連携を図ること。
(10) 「注9」に規定するがん薬物療法体制充実加算については、外来腫瘍化学療法診療料1を届け出た保険医療機関において、外来腫瘍化学療法診療料1のイの(1)を算定する患者に対して(4)イ及びウに掲げる業務について、医師の指示を受けた薬剤師による業務のうち、医師の診察前に服薬状況、副作用の有無等の情報を患者から直接収集し、評価を行った上で、当該医師に当該患者に係る情報提供、処方提案等を行った場合は、月1回に限り 100 点を所定点数に加算する。なお、必要に応じて、医師の診察後においても、抗悪性腫瘍剤、副作用に対する薬剤等の使い方等について、適宜患者に対して説明を行うこと。
令和6年 外来腫瘍化学療法診療料1の施設基準
(1) 外来化学療法を実施するための専用のベッド(点滴注射による化学療法を実施するに適したリクライニングシート等を含む。)を有する治療室を保有していること。なお、外来化学療法を実施している間は、当該治療室を外来化学療法その他の点滴注射(輸血を含む。)以外の目的で使用することは認められないものであること。
(2) 化学療法の経験を5年以上有する専任の常勤医師が勤務していること。
(3) 化学療法の経験を5年以上有する専任の看護師が化学療法を実施している時間帯において常時当該治療室に勤務していること。
(4) 化学療法に係る調剤の経験を5年以上有する専任の常勤薬剤師が勤務していること。
(5) 専任の医師、看護師又は薬剤師が院内に常時1人以上配置され、本診療料を算定してい
る患者から電話等による緊急の相談等に 24 時間対応できる連絡体制が整備されていること。
(6) 急変時等の緊急時に当該患者が入院できる体制が確保されていること又は他の保険医療機関との連携により緊急時に当該患者が入院できる体制が整備されていること。
(7) 実施される化学療法のレジメン(治療内容)の妥当性を評価し、承認する委員会を開催していること。
当該委員会は、化学療法に携わる各診療科の医師の代表者(代表者数は、複数診療科の場合は、それぞれの診療科で1名以上(1診療科の場合は、2名以上)の代表者であること。)、業務に携わる看護師、薬剤師及び必要に応じてその他の職種から構成されるもので、少なくとも年1回開催されるものとする。
(8) がん性疼痛緩和指導管理料の届出を行っていること。
(9) がん患者指導管理料のロの届出を行っていることが望ましい。
(10) (2)に掲げる医師は、次に掲げるいずれかの研修を修了した者であること。
ア がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の開催指針に準拠した緩和ケア研修会
イ 緩和ケアの基本教育のための都道府県指導者研修会(国立研究開発法人国立がん研究センター主催)等
(11) 患者と患者を雇用する事業者が共同して作成した勤務情報を記載した文書の提出があった場合に、就労と療養の両立に必要な情報を提供すること並びに診療情報を提供した後の勤務環境の変化を踏まえ療養上必要な指導を行うことが可能である旨をウェブサイトに掲載していることが望ましい。
(12) 患者の急変時の緊急事態等に対応するための指針が整備されていることが望ましい。
(13) 外来腫瘍化学療法診療料3の届出を行っている他の保険医療機関において外来化学療法を実施している患者が、緊急時に当該保険医療機関に受診できる体制を確保している場合については、連携する保険医療機関の名称等をあらかじめ地方厚生(支)局長に届け出ていること。また、連携する保険医療機関の名称等については、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。
(14) (5)、(6)及び(7)に係る対応を行っていることについて、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。
(15) (13)及び(14)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではないこと。
令和6年 外来腫瘍化学療法診療料2の施設基準
(1) 外来腫瘍化学療法診療料1の(1)、(5)、(6)、(11)及び(12)を満たしていること。
(2) 化学療法の経験を有する専任の看護師が化学療法を実施している時間帯において常時当該治療室に勤務していること。
(3) 当該化学療法につき専任の常勤薬剤師が勤務していること。
令和6年 外来腫瘍化学療法診療料3の施設基準
(1) 外来腫瘍化学療法診療料1の(1)、(6)、(11)及び(12)を満たしていること。
(2) 外来腫瘍化学療法診療料2の(2)及び(3)を満たしていること。
(3) 当該保険医療機関において外来化学療法を実施する患者に対して、外来腫瘍化学療法診療料1の届出を行っている他の保険医療機関との連携により、緊急時に有害事象等の診療ができる連携体制を確保していること。また、当該他の連携する医療機関の名称等については、あらかじめ地方厚生(支)局長に届出を行い、かつ、その情報を当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。
(4) (3)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。自ら管理するホームページ等を有しない場合については、この限りではないこと。
(5) 標榜時間外において、当該保険医療機関で外来化学療法を実施している患者に関する電話等の問合せに応じる体制を整備すること。また、やむを得ない事由により電話等による問い合わせに応じることができなかった場合であっても、速やかにコールバックすることができる体制がとられていること。
(6) 令和7年5月31日までの間に限り、(4)の基準を満たしているものとする。
令和6年 連携充実加算の施設基準
(1) 外来腫瘍化学療法診療料1に係る届出を行っていること。
(2) 外来腫瘍化学療法診療料1の(7)に規定するレジメンに係る委員会に管理栄養士が参加していること。
(3) 地域の保険医療機関及び保険薬局との連携体制として、次に掲げる体制が整備されていること。
ア 当該保険医療機関で実施される化学療法のレジメンを当該保険医療機関のホームページ等で閲覧できるようにしておくこと。
イ 当該保険医療機関において外来化学療法に関わる職員及び地域の保険薬局に勤務する薬剤師等を対象とした研修会等を年1回以上実施すること。
ウ 他の保険医療機関及び保険薬局からのレジメンに関する照会や患者の状況に関する相談及び情報提供等に応じる体制を整備すること。また、当該体制について、ホームページや研修会等で周知すること。
(4) 外来化学療法を実施している保険医療機関に5年以上勤務し、栄養管理(悪性腫瘍患者に対するものを含む。)に係る3年以上の経験を有する専任の常勤管理栄養士が勤務していること。
令和6年 がん薬物療法体制充実加算の施設基準
(1) 外来腫瘍化学療法診療料1に係る届出を行っていること。
(2) 化学療法に係る調剤の経験を5年以上有しており、40時間以上のがんに係る適切な研修を修了し、がん患者に対する薬剤管理指導の実績を50症例(複数のがん種であることが望ましい。)以上有する専任の常勤薬剤師が配置されていること。
(3) 患者の希望に応じて、患者の心理状況及びプライバシーに十分配慮した構造の個室を使用できるように備えていること。
(4) 薬剤師が、医師の診察前に患者から服薬状況、副作用等の情報収集及び評価を実施し、情報提供や処方提案等を行った上で、医師がそれを踏まえて、より適切な診療方針を立てることができる体制が整備されていること。