2022年改定|在宅患者訪問褥瘡管理指導料の算定要件と施設基準

在宅患者訪問褥瘡管理指導料

厚生労働大臣が定める施設基準を満たしており、地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、重点的な褥瘡管理を行う必要が認められる患者さんに対して、患者さんの同意を得て、医師、管理栄養士又は当該保険医療機関以外の管理栄養士及び看護師又は連携する他の保険医療機関等の看護師が共同して、褥瘡管理に関する計画的な指導管理を行った場合に、初回のカンファレンスから起算して6月以内に限り、3回に限り以下の点数を算定します。

在宅患者訪問褥瘡管理指導料 750点

【2022改正による変更点】

緊急時カンファレンスについて、ビデオ通話で実施する場合の従前の要件が削除され、1者以上が患家に赴いていればその他の関係者はビデオ通話が可能な機器を用いて参加することができるとされました。

褥瘡とは?褥瘡とは、寝たきりになるなどで同じ体勢が継続することで、皮膚が床に接して圧迫されることで生じるものです。皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。 一般的に「床ずれ」ともいわれています。

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在宅患者訪問褥瘡管理指導料の算定要件

在宅患者訪問褥瘡管理指導料は、在宅での褥瘡管理に係る専門的知識・技術を有する在宅褥瘡管理者を含む多職種からなる在宅褥瘡対策チームが、褥瘡予防や管理が難しく重点的な褥瘡管理が必要な患者さんに対し、褥瘡の改善等を目的として、共同して指導管理を行うことを評価したものであり、褥瘡の改善等を目的とした指導管理のための初回訪問から起算して、当該患者1人について6月以内に限り、カンファレンスを実施した場合に3回を限度に算定します。

当該指導料を算定した場合、初回訪問から1年以内は当該指導料を算定することはできません。

重点的な褥瘡管理が必要な者とは

重点的な褥瘡管理が必要な者とは、ベッド上安静であって、DESIGN-R2020による深さの評価が「d2以上」の褥瘡を有する患者さんであって、以下に掲げるアからオまでのいずれかを有する患者さんをいいます。

ア 重度の末梢循環不全のもの
イ 麻薬等の鎮痛・鎮静剤の持続的な使用が必要であるもの
ウ 強度の下痢が続く状態であるもの
エ 極度の皮膚脆弱であるもの
オ 皮膚に密着させる医療関連機器の長期かつ持続的な使用が必要であるもの

DESIGNとは日本褥瘡学会学術教育委員会が開発した褥瘡状態判定スケールで、2002年に日本褥瘡学会が発表しました。褥瘡の重症度を分類するとともに、DESIGNは、Depth(深さ)、Exudate(滲出液)、Size(大きさ)、Inflammation/Infection(炎症/感染)、Granulation(肉芽組織)、Necrotic tissue(壊死組織)、および末尾のPocket(ポケット)の7項目からなり、頭文字を使ったわかりやすい表記と、厚生労働省の褥瘡対策未実施減算と相まって褥瘡評価スケールとして広く使用されるようになりました。

在宅褥瘡対策チームの指導管理について

在宅褥瘡対策チームは「褥瘡の改善」「重症化予防」「発生予防」のための以下の計画的な指導管理を行う必要があります。

  • 初回訪問時に、在宅褥瘡管理者を含む在宅褥瘡対策チームの構成員の他、必要に応じて患者さんの診療を行う医療関係職種が患家に一堂に会し、褥瘡の重症度やリスク因子についてのアセスメントを行い、褥瘡の指導管理方針について、カンファレンスを実施し、在宅褥瘡診療計画を立案する。

POINT褥瘡ができる要因として考慮すべき疾患は、悪性腫瘍、認知症、関節リウマチ、骨粗しょう症、深部静脈血栓症、パーキンソン病、末梢血管疾患、尿路感染症等があげられます。また、栄養状態が悪くなるとできやすくなります。

  • 初回カンファレンス実施後、評価のためのカンファレンスの実施までの間、在宅褥瘡対策チームの各構成員は、 月1回以上、計画に基づき、適切な指導管理を行い、その結果について情報共有する。
  • 初回訪問後3月以内に、褥瘡の改善状況、在宅褥瘡診療計画に基づく指導管理の評価及び必要に応じて見直しのためのカンファレンスを行う。2回目のカンファレンスにおいて評価等の結果、更に継続して指導管理が必要な場合に限り、初回カンファレンスの後4月以上6月以内の期間に3回目のカンファレンスにおいて評価等を実施することができる。なお、3回目のカンファレンスでの評価等は、2回目のカンファレンスの評価等の実施日から起算して3月以内に実施しなければならない。

在宅褥瘡診療計画について

在宅患者訪問褥瘡管理指導料を算定する場合は、カンファレンス及び月1回以上の指導管理の結果を踏まえ、在宅褥瘡対策チームにおいて別紙様式43又はこれに準じた在宅褥瘡診療計画を作成し、その内容を患者さんに説明するとともに、診療録に添付することとされています。

在宅患者訪問褥瘡管理指導料の施設基準

在宅患者訪問褥瘡管理指導料の算定を行う場合は、以下の施設基準を満たし、地方厚生局へ届け出を行っている必要があります。

  1. 医師、看護師及び管理栄養士からなる在宅褥瘡対策チームを構成していること。
  2. 在宅褥瘡対策チームに、在宅褥瘡管理者を配置すること。
  3. 在宅における重症化予防等のための 褥瘡管理対策を行うにつきふさわしい体制が整備されていること。

届出を行う地方厚生局HPについて

届出を行う際は、保険医療機関が所在する都道府県を管轄する地方厚生局に在宅患者訪問褥瘡管理指導料様式20の7及び「添付書類」を1部提出する必要があります。

各書式は各地方厚生局のH Pよりダウンロードできます。

記載上の注意

1 在宅褥瘡管理者については、在宅褥瘡ケアに係る所定の研修または褥瘡ケアに係る専門の研修を修了したことが確認できる文書を添付すること。

また、当該保険医療機関以外の者を在宅褥瘡管理者とする場合においては、 医療機関等名と所在地についても記入すること。

2 在宅褥瘡対策チームの構成員については、当該保険医療機関以外の者と連携する場合においては、連携先の医療機関等名と所在地についても記入すること。

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