ウイルス疾患指導料は、肝炎ウイルス疾患又は成人T細胞白血病に罹患している患者さん、もしくは後天性免疫不全症候群に罹患している患者さんに対して、それぞれ 療養上必要な指導及び感染予防に関する指導を行った場合に、月1回に限り算定することができます。
ただし「特定疾患療養管理料」を算定している患者さんに対しては算定できません。
ウイルス指導管理料の点数について
B001-1 ウイルス疾患指導料
イ ウイルス疾患指導料1(1回限り) 240点
(肝炎ウイルス疾患、成人T細胞白血病)
ロ ウイルス疾患指導料2 330点
(後天性免疫不全症候群、HIVウイルス)
■HIV療養指導加算 220点
■情報通信機器を用いて行った場合(イ) 209点
■情報通信機器を用いて行った場合(ロ) 287点
イのウイルス疾患管理料1については、肝炎ウイルス疾患又は成人T細胞白血病に罹患している患者さんに対して、ロのウイルス疾患管理料2については、後天性免疫不全症候群に罹患している患者さんに対して、それぞれ療養上必要な指導及び感染予防に関する指導を行った場合に算定します。
肝臓がウイルスに感染することで炎症が起こる疾患です。
肝炎ウイルスは主に4種類(A、B、C、E型)あり、いずれもウイルス感染による自己免疫反応によって肝臓の細胞が障害される病気です。
成人T細胞白血病とは
ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型(HTLV-Ⅰ)の感染により生じる血液のがんです。HTLV-1感染には性行為によるもの、輸血によるもの、母子間で母乳を介するものがあります。
後天性免疫不全症候群とは
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染が適切に治療されず免疫機能が低下し、細菌、真菌やウイルス感染症や悪性腫瘍が起こった状態をいいます。近年、治療薬の開発が飛躍的に進み、早期に服薬治療を受ければ免疫力を落とすことなく、通常の生活を送ることが可能となってきており、また発症を防ぐこともできます。
指導とカルテ記載について
肝炎ウイルス、HIV又は成人T細胞白血病ウイルスによる疾患に罹患しており、他人に対し感染させる危険がある患者さんだけでなく、ご家族に対しても指導を行う必要があります。
ウイルス感染防止のための指導には、公衆衛生上の指導及び院内感染、家族内感染防止のための指導等が含まれます。
指導例
- 出血を伴うけがをした場合、傷の手当てはご自分で行うようにしましょう。
- 血液が付いたものはティッシュにくるんだり、ビニール袋の口をしっかり結んで捨てましょう。
- カミソリ、歯ブラシ、タオル等の血液のつきやすい日用品は、他人と共有してはいけません。
- 不特定の相手との性的接触は避けましょう。
- 妊娠する可能性のある女性である場合は、母子感染の可能性等について理解が必要と考えられるので、あらかじめ相談して下さい。
算定時には指導内容の要点を診療録にしっかり記載しましょう。
HIV療養指導加算について
厚生労働省が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局に届け出た保険医療機関において、後天性免疫不全症候群に罹患している患者又はHIVの感染者に対して、療養上必要な指導及び感染予防に関する指導を行った場合に220点を所定点数に加算することができます。
HIV療養指導加算の施設基準について
- HIV感染者の診療に従事した経験を5年以上有する専任の医師が1名以上配置されていること。
- HIV感染者の看護に従事した経験を2年以上有する専任の看護師が1名以上配置されていること。
- HIV感染者の服薬指導を行う専任の薬剤師が1名以上配置されていること。
- 社会福祉士又は精神保健福祉士が1名以上勤務していること。
- プライバシーの保護に配慮した診察室及び相談室が備えられていること。
届出を行う地方厚生局HPについて
届出を行う際は、保険医療機関が所在する都道府県を管轄する地方厚生局に必要書類を1部提出する必要があります。
届出に関する事項について
施設基準に係る届出は、別添2の様式1を用いて届出を行って下さい。
ウイルス疾患指導料 届出書ウイルス疾患指導料 届出書添付書類
届出の際には「医師」「看護師」「薬剤師」「社会福祉士又は精神保健福祉士」の氏名、勤務の態様(常勤・非常勤、専従・非専従、専任・非専任の別)及び勤務時間を別添2の様式4を用いて提出を行って下さい。
様式4 従事者の名簿算定時の注意点について
- HIVの感染者に対して指導を行った場合には「ロ」を算定します。
- 同一の患者に対して、同月内に「イ」及び「ロ」の双方に該当する指導が行われた場合は、主たるもの一方の所定点数のみを算定します。