C107-2 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料

睡眠時無呼吸

在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料とは、在宅持続陽圧呼吸療法を行っている患者さんに対して在宅持続陽圧呼吸療法に関する指導管理を行った場合算定する診療報酬です。

C107-2 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料

1 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料1 2250点
2 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2 250点

在宅持続陽圧呼吸療法とは「睡眠時無呼吸症候群」又は「慢性心不全」の患者さんについて、在宅にて実施する呼吸療法です。

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome; SAS)とは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりして体の低酸素状態が発生する疾患です。

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在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料の算定要件

注1 在宅持続陽圧呼吸療法を行っている入院中の患者以外の患者に対して、在宅持続陽圧呼吸療法に関する指導管理を行った場合に算定する。

注2 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、2を算定し、CPAPを用いている患者について、前回受診月の翌月から今回受診月の前月までの期間、遠隔モニタリングを用いて療養上必要な管理を行った場合は、遠隔モニタリング加算として、150点に当該期間の月数(当該管理を行った月に限り、2月を限度とする。)を乗じて得た点数を、所定点数に加算する。

注3 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2を算定すべき指導管理を情報通信機器を用いて行った場合は、2の所定点数に代えて、218点を算定する。

在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料の留意事項

(1) 在宅持続陽圧呼吸療法とは、睡眠時無呼吸症候群又は慢性心不全である患者について、在宅において実施する呼吸療法をいう。

(2) 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料1の対象となる患者は、以下の全ての基準に該当する患者とする。

慢性心不全患者のうち、医師の診断により、NYHAⅢ度以上であると認められ、睡眠時にチェーンストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数が20以上であることが睡眠ポリグラフィー上確認されているもの

持続陽圧呼吸(CPAP)療法を実施したにもかかわらず、無呼吸低呼吸指数が15以下にならない者に対してASV療法を実施したもの

心不全の重症度を表すNYHA心機能分類

NYHAⅠ度(無症候性)
心臓に疾患があるが、日常生活では症状が現れない。
NYHAⅡ度(軽症)
安静時には症状が現れないが、日常生活の労作で症状が現れる。
NYHAⅢ度 (中等症~重症)
安静時には症状が現れないが、歩くなど軽い労作でも症状が現れる。
NYHAⅣ度(難治性)
安静時にも症状が現れ、ごく軽い労作で症状が悪化する。

(3) 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2の対象となる患者は、以下のアからウまでのいずれかの基準に該当する患者とする。

慢性心不全患者のうち、医師の診断により、NYHAⅢ度以上であると認められ、睡眠時にチェーンストークス呼吸がみられ、無呼吸低呼吸指数が20以上であることが睡眠ポリグラフィー上確認されているもので、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料1の対象患者以外にASV療法を実施した場合
心不全である者のうち、日本循環器学会・日本心不全学会による ASV 適正使用に関するステートメントに留意した上で、ASV療法を継続せざるを得ない場合
以下の(イ)から(ハ)までの全ての基準に該当する患者。ただし、無呼吸低呼吸指数が40以上である患者については、(ロ)の要件を満たせば対象患者となる。

(イ) 無呼吸低呼吸指数(1時間当たりの無呼吸数及び低呼吸数をいう。)が20以上
(ロ) 日中の傾眠、起床時の頭痛などの自覚症状が強く、日常生活に支障を来している症例
(ハ) 睡眠ポリグラフィー上、頻回の睡眠時無呼吸が原因で、睡眠の分断化、深睡眠が著しく減少又は欠如し、持続陽圧呼吸療法により睡眠ポリグラフィー上、睡眠の分断が消失、深睡眠が出現し、睡眠段階が正常化する症例

(4) 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料については、当該治療の開始後最長2か月間の治療状況を評価し、当該療法の継続が可能であると認められる症例についてのみ、引き続き算定の対象とする。

(5) 保険医療機関が在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料を算定する場合には、持続陽圧呼吸療法装置は当該保険医療機関が患者に貸与する。

(6) 遠隔モニタリング加算は、以下の全てを実施する場合に算定する。

在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2の対象で、かつ、CPAP 療法を実施している入院中の患者以外の患者について、前回受診月の翌月から今回受診月の前月までの期間、使用時間等の着用状況、無呼吸低呼吸指数等がモニタリング可能な情報通信機器を活用して、定期的なモニタリングを行った上で、状況に応じ、療養上必要な指導を行った場合又は患者の状態を踏まえた療養方針について診療録に記載した場合に、2月を限度として来院時に算定することができる。

患者の同意を得た上で、対面による診療とモニタリングを組み合わせた診療計画を作成する。当該計画の中には、患者の急変時における対応等も記載し、当該計画に沿ってモニタリングを行った上で、状況に応じて適宜患者に来院を促す等の対応を行う。
当該加算を算定する月にあっては、モニタリングにより得られた臨床所見等を診療録に記載しており、また、必要な指導を行った際には、当該指導内容を診療録に記載していること。
療養上必要な指導は電話又はビデオ通話が可能な情報通信機器を用いて行う。情報通信機器を用いて行う場合は、オンライン指針に沿って行うこと。なお、当該診療に関する費用は当該加算の所定点数に含まれる。

(7) 「注3」に規定する情報通信機器を用いた指導管理については、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料2の対象となる患者のうち(3)のウの要件に該当する患者、かつ、CPAP 療法を実施している閉塞性無呼吸症候群の診断が得られている入院中の患者以外の患者について、オンライン指針に沿って診療を行った場合に算定する。

(8)「注3」に規定する情報通信機器を用いた指導管理については、CPAP 療法を開始したことにより睡眠時無呼吸症候群の症状である眠気やいびきなどの症状が改善していることを対面診療で確認した場合に実施すること。また、通常の対面診療で確認するCPAP管理に係るデータについて、情報通信機器を用いた診療において確認すること。さらに、睡眠時無呼吸症候群に合併する身体疾患管理の必要性に応じて対面診療を適切に組み合わせること及び情報通信機器を用いた診療を開始した後にも症状の悪化等の不調等が生じた場合には、速やかに対面診療に切り替えることが求められる。その他、関係学会が提示する情報通信機器を用いた場合のCPAP療法に係る指針に沿った診療を実施すること。

(9)「注3」に規定する情報通信機器を用いた指導管理を実施する際は、当該診療に係る初診日及びCPAP療法を開始したことにより睡眠時無呼吸症候群の症状である眠気やいびきなどの症状が改善していることを対面診療で確認した日を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

カルテ記載について

カルテには在宅持続陽圧呼吸療法を導入した根拠、継続が必要だと判断される理由、治療経過などをしっかり記載するようにしましょう。

カルテ記載例
A)#1.睡眠時無呼吸症候群
令和4年1月10日及び11日に睡眠時ポリグラフィーにて 45回/時の無呼吸・低呼吸あり、昼間の過度の眠気および重度の睡眠時無呼吸症候群が認められ、日常生活に支障をきたしておりCPAP療法を開始とした。
日中の傾眠など日常生活への支障が軽減するため、継続治療を行っている。
現在の平均AHIは3.1(1/26-2-25までの測定)とかなり改善しており、症状も改善している。装着日数は30日、平均使用時間は約7時間と問題なく装着されている。
引き続き治療が判断とし、継続とした。
  • 初回の指導管理年月日:〇○年〇月〇日
  • 直近の無呼吸低呼吸指数:2.2
  • 睡眠ポリグラフィー実施年月日
  • 算定日の自覚症状
  • 療法の継続が可能であると認める理由(2回目以降)
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