F100 処方料
1 3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、3種類以上の抗うつ薬、3種類以上の抗精神病薬又は4種類以上の抗不安薬及び睡眠薬の投薬(臨時の投薬等のもの及び3種類の抗うつ薬又は3種類の抗精神病薬を患者の病状等によりやむを得ず投与するものを除く。)を行った場合 18点
2 1以外の場合であって、7種類以上の内服薬の投薬(臨時の投薬であって、投薬期間が2週間以内のもの及び区分番号A001に掲げる再診料の注12に掲げる地域包括診療加算を算定するものを除く。)を行った場合又は不安若しくは不眠の症状を有する患者に対して1年以上継続して別に厚生労働大臣が定める薬剤の投薬(当該症状を有する患者に対する診療を行うにつき十分な経験を有する医師が行う場合又は精神科の医師の助言を得ている場合その他これに準ずる場合を除く。)を行った場合 29点
3 1及び2以外の場合 42点
注
1 入院中の患者以外の患者に対する1回の処方について算定する。
2 麻薬、向精神薬、覚醒剤原料又は毒薬を処方した場合は、麻薬等加算として、1処方につき1点を所定点数に加算する。
3 入院中の患者に対する処方を行った場合は、当該処方の費用は、第1章第2部第1節に掲げる入院基本料に含まれるものとする。
4 3歳未満の乳幼児に対して処方を行った場合は、乳幼児加算として、1処方につき3点を所定点数に加算する。
5 診療所又は許可病床数が200床未満の病院である保険医療機関において、入院中の患者以外の患者(別に厚生労働大臣が定める疾患を主病とするものに限る。)に対して薬剤の処方期間が28日以上の処方を行った場合は、特定疾患処方管理加算として、月1回に限り、1処方につき56点を所定点数に加算する。
6 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関(許可病床数が200床以上の病院に限る。)において、治療の開始に当たり投薬の必要性、危険性等について文書により説明を行った上で抗悪性腫瘍剤を処方した場合には、抗悪性腫瘍剤処方管理加算として、月1回に限り、1処方につき70点を所定点数に加算する。
7 区分番号A000に掲げる初診料の注2又は注3、区分番号A002に掲げる外来診療料の注2又は注3を算定する保険医療機関において、別に厚生労働大臣が定める薬剤を除き、1処方につき投与期間が30日以上の投薬を行った場合には、所定点数の100分の40に相当する点数により算定する。
8 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において投薬を行った場合には、外来後発医薬品使用体制加算として、当該基準に係る区分に従い、1処方につき次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する。
イ 外来後発医薬品使用体制加算1 8点
ロ 外来後発医薬品使用体制加算2 7点
ハ 外来後発医薬品使用体制加算3 5点
9 抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬又は抗精神病薬(以下この区分番号及び区分番号F400において「抗不安薬等」という。)が処方されていた患者であって、当該処方の内容を総合的に評価及び調整し、当該患者に処方する抗不安薬等の種類数又は投薬量が減少したものについて、薬剤師、看護師又は准看護師に対し、薬剤の種類数又は投薬量が減少したことによる症状の変化等の確認を指示した場合に、向精神薬調整連携加算として、月1回に限り、1処方につき12点を所定点数に加算する。ただし、同一月において、区分番号A250に掲げる薬剤総合評価調整加算及び区分番号B008-2に掲げる薬剤総合評価調整管理料は別に算定できない。
通知
(1) 医師が処方する投薬量については、予見することができる必要期間に従ったものでなければならず、30 日を超える長期の投薬を行うに当たっては、長期の投薬が可能な程度に病状が安定し、服薬管理が可能である旨を医師が確認するとともに、病状が変化した際の対応方法及び当該保険医療機関の連絡先を患者に周知する。なお、上記の要件を満たさない場合は、原則として次に掲げるいずれかの対応を行うこと。
ア 30日以内に再診を行う。
イ 許可病床数が 200 床以上の保険医療機関にあっては、患者に対して他の保険医療機関(許可病床数が200床未満の病院又は診療所に限る。)に文書による紹介を行う旨の申出を行う。
ウ 患者の病状は安定しているものの服薬管理が難しい場合には、分割指示に係る処方箋を交付する。
(2) 複数の診療科を標榜する保険医療機関において、2以上の診療科で異なる医師が処方した場合は、それぞれの処方につき処方料を算定する。
(3) 「1」について
ア 当該保険医療機関が、1回の処方において、抗不安薬を3種類以上、睡眠薬を3種類以上、抗うつ薬を3種類以上、抗精神病薬を3種類以上又は抗不安薬と睡眠薬を合わせて4種類以上投与(以下この部において「向精神薬多剤投与」という。)した場合に算定する。ただし、以下の(イ)から(ハ)までのいずれかに該当する場合、又は抗うつ薬を3種類若しくは抗精神病薬を3種類投与する場合であって(ニ)に該当する場合には、「1」の所定点数は算定せず、「2」又は「3」により算定する。なお、この場合においては、診療報酬明細書の摘要欄に向精神薬多剤投与に該当するが「1」の所定点数を算定しない理由を記載すること。なお、「臨時の投薬等のもの」とは(イ)から(ハ)までのいずれかを満たすことをいい、「患者の病状等によりやむを得ず投与するもの」とは、(ニ)を満たすことをいう。
(イ) 精神疾患を有する患者が、当該疾患の治療のため、当該保険医療機関を初めて受診した日において、他の保険医療機関で既に向精神薬多剤投与されている場合の連続した6か月間。この場合、診療報酬明細書の摘要欄に、当該保険医療機関の初診日を記載すること。
(ロ) 向精神薬多剤投与に該当しない期間が1か月以上継続しており、向精神薬が投与されている患者について、当該患者の症状の改善が不十分又はみられず、薬剤の切り替えが必要であり、既に投与されている薬剤と新しく導入する薬剤を一時的に併用する場合の連続した3か月間。(年2回までとする。)この場合、診療報酬明細書の摘要欄に、薬剤の切り替えの開始日、切り替え対象となる薬剤名及び新しく導入する薬剤名を記載すること。
(ハ) 臨時に投与した場合(臨時に投与した場合とは、連続する投与期間が2週間以内又は 14回以内のものをいう。1回投与量については、1日量の上限を超えないよう留意すること。なお、投与中止期間が1週間以内の場合は、連続する投与とみなして投与期間を計算する。)。なお、抗不安薬及び睡眠薬については、臨時に投与する場合についても種類数に含める。この場合、診療報酬明細書の摘要欄に、臨時の投与の開始日を記載すること。
(ニ) 抗うつ薬又は抗精神病薬に限り、精神科の診療に係る経験を十分に有する医師として別紙様式 39を用いて地方厚生(支)局長に届け出たものが、患者の病状等によりやむを得ず投与を行う必要があると認めた場合。なお、ここでいう精神科の診療に係る経験を十分に有する医師とは以下のいずれにも該当するものであること。
① 臨床経験を5年以上有する医師であること。
② 適切な保険医療機関において3年以上の精神科の診療経験を有する医師であること。なお、ここでいう適切な保険医療機関とは、医師に対する適切な研修を実施するため、常勤の指導責任者を配置した上で、研修プログラムの策定、医師に対する精神科医療に係る講義の提供、症例検討会の実施等を満たす保険医療機関を指す。
③ 精神疾患に関する専門的な知識と、ICD-10(平成 21 年総務省告示第 176 号(統計法第 28条及び附則第3条の規定に基づき、疾病、傷害及び死因に関する分類の名称及び分類表を定める件)の「3」の「(1) 疾病、傷害及び死因の統計分類基本分類表」に規定する分類をいう)においてF0からF9までの全てについて主治医として治療した経験を有すること。
④ 精神科薬物療法に関する適切な研修を修了していること。
イ 抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬及び抗精神病薬の種類数は一般名で計算する。また、抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬及び抗精神病薬の種類については、別紙 36を参考にすること。
ウ 向精神薬多剤投与を行った保険医療機関は、毎年度4月、7月、10 月、1月に、前月までの3か月間の向精神薬多剤投与の状況を別紙様式 40を用いて地方厚生(支)局長に報告すること。
(4) 「2」において、処方料における内服薬の種類については、「F200」薬剤の「注3」における内服薬の種類と同様の取扱いとする。なお、当該処方に係る内服薬の投薬が6種類以下の場合又は外用薬、屯服薬のみの投薬の場合は「3」で算定する。
(5) 「2」において、臨時的に内服薬の追加投与等を行った場合の取扱いについては、「F200」薬剤の(6)に準じるものとする。
(6) 「2」において、「不安若しくは不眠の症状を有する患者に対して1年以上継続して別に厚生労働大臣が定める薬剤の投薬を行った場合(以下「向精神薬長期処方」という。)」とは、薬効分類上の抗不安剤、催眠鎮静剤、精神神経用剤又はその他の中枢神経系用薬のいずれかに該当する医薬品のうち、ベンゾジアゼピン受容体作動薬を1年以上にわたって、同一の成分を同一の1日当たり用量で連続して処方している場合をいう。なお、定期処方と屯服間の変更については、同一の1日当たり用量には該当しない。また、以下のいずれかに該当する医師が行った処方又は当該処方の直近1年以内に精神科の医師からの助言を得て行っている処方については、向精神薬長期処方に該当せず、「3」を算定すること。
ア 不安又は不眠に係る適切な研修を修了した医師であること。
イ 精神科薬物療法に係る適切な研修を修了した医師であること。
(7) 「注2」の加算は、内服薬、浸煎薬及び屯服薬、外用薬等の区分、剤数、用法用量等の如何にかかわらず、1処方につき1点を所定点数に加算する。
(8) 複数の診療科を標榜する保険医療機関において、2以上の診療科で、異なる医師が3歳未満の乳幼児に対して処方を行った場合は、それぞれの処方について「注4」による乳幼児加算を算定することができる。
(9) 特定疾患処方管理加算
ア 特定疾患処方管理加算は、別に厚生労働大臣が定める疾患(以下、この項において「特定疾患」という。)を主病とする患者について、プライマリ機能を担う地域のかかりつけ医師が総合的に病態分析を行い、それに基づく処方管理を行うことを評価したものであり、診療所又は許可病床数が200床未満の病院においてのみ算定する。
イ 同一暦月に「F100」処方料と「F400」処方箋料を算定する場合にあっては、「F100」処方料又は「F400」処方箋料のいずれか一方の加算として月1回に限り算定する。
ウ 当該加算は、長期投薬の際の病態分析及び処方管理の評価の充実を図るものであり、特定疾患に対する薬剤の処方期間が 28日以上の場合に算定する。ただし、当該患者に処方された薬剤の処方期間が全て28日以上である必要はない。
エ 主病とは、当該患者の全身的な医学管理の中心となっている特定疾患をいうものであり、2以上の診療科にわたり受診している場合においては、主病と認められる特定疾患の治療に当たっている診療科においてのみ算定する。
オ 特定疾患処方管理加算は初診料を算定した初診の日においても算定できる。
カ 投薬は本来直接本人を診察した上で適切な薬剤を投与すべきであるが、やむを得ない事情で看護等に当たっている者から症状を聞いて薬剤を投与した場合においても算定できる。
(10) 抗悪性腫瘍剤処方管理加算
ア 「注6」に規定する抗悪性腫瘍剤処方管理加算については、入院中の患者以外の悪性腫瘍の患者に対して、抗悪性腫瘍剤による投薬の必要性、副作用、用法・用量、その他の留意点等について文書で説明し同意を得た上で、抗悪性腫瘍剤の適正使用及び副作用管理に基づく処方管理のもとに悪性腫瘍の治療を目的として抗悪性腫瘍剤が処方された場合に算定する。
イ 同一暦月に「F100」処方料と「F400」処方箋料を算定する場合にあっては、「F100」処方料又は「F400」処方箋料のいずれか一方の加算として月1回に限り算定する。
ウ 加算対象となる抗悪性腫瘍剤は、薬効分類上の腫瘍用薬とする。
(11) 「注7」については、「A000」初診料の「注2」又は「注3」、「A002」外来診療料の「注2」又は「注3」を算定する保険医療機関において、以下のアからコまでに定める薬剤を除き、1処方につき投与期間が 30日以上の投薬を行った場合には、所定点数の100分の40に相当する点数により算定する。
ア 薬効分類が抗てんかん剤のもので、てんかんに対して用いた場合
イ 薬効分類の小分類が甲状腺ホルモン製剤のもので、甲状腺の障害に対して用いた場合
ウ 薬効分類が副腎ホルモン剤のもので、副腎性器障害又は副腎皮質機能不全に対して用いた場合
エ 薬効分類が卵胞ホルモン及び黄体ホルモン剤のもので、卵巣除去後機能不全その他の卵巣機能不全に対して用いた場合
オ 薬効分類の小分類が合成ビタミンD製剤のもので、副甲状腺機能低下症又は偽性副甲状腺機能低下症に対して用いた場合
カ 薬効分類が乳幼児用剤のもので、フェニルケトン尿症、楓糖尿症、ホモシスチン尿症又はガラクトース血症に対して用いた場合
キ 薬効分類が抗ウイルス剤のもので、後天性免疫不全症候群の病原体に感染している者に対して用いた場合
ク 薬効分類が血液製剤類のもので、血友病の者に対して用いた場合
ケ 薬効分類がその他の腫瘍用薬のもので、慢性骨髄性白血病に対して用いた場合
コ アからケまでの内服薬と併用する薬効分類が健胃消化剤のもので、アからケまでに該当する疾患に対して用いた場合
(12) 「注8」に規定する外来後発医薬品使用体制加算は、後発医薬品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえ後発医薬品の採用を決定する体制が整備されている保険医療機関を評価したものであり、診療所においてのみ算定する。
(13) 「注9」に規定する向精神薬調整連携加算については、直近の処方が向精神薬多剤投与又は向精神薬長期処方に該当する患者であって、当該処方において直近の処方から抗不安薬等の種類数又は1日当たり用量が減少したものについて、薬剤師又は看護職員に処方内容の変更に伴う心身の状態の変化について確認を指示した場合に算定する。指示に当たっては、処方の変更点を説明するとともに、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)による「PMDAからの医薬品適正使用のお願い(No.11 2017年3月)」又は睡眠薬の適正使用及び減量・中止のための診療ガイドラインに関する研究班(平成 24年度厚生労働科学研究・障害者対策総合研究事業)が作成した「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」等を参考に特に留意すべき症状等について具体的に指示をすること。
(14) (13)における「抗不安薬等の種類数の減少」については、一般名で種類数を計算した場合に抗不安薬等の種類数が減少している場合をいう。また、「抗不安薬等の1日当たり用量の減少」には、一般名で用量を計算した場合に抗不安薬等の用量が減少している場合をいい、定期処方を屯服に変更した場合が含まれること。
(15) 外来後発医薬品使用体制加算は、当該保険医療機関において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が 75%以上、85%以上又は 90%以上であるとともに、外来において後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用を積極的に行っている旨を当該保険医療機関の見やすい場所に掲示している保険医療機関において、1処方につき5点、7点又は8点を所定点数に加算する。