経頭蓋磁気刺激療法とは、磁気刺激を用いて脳の活動を変化させ、さまざまな症状を緩和する治療法です。経頭蓋磁気刺激療法の適応症には、うつ病、躁うつ病、PTSD、強迫性障害、不安障害、慢性疼痛、線維筋痛症、片頭痛、耳鳴り、幻聴などがあります。
I000-2 経頭蓋磁気刺激療法 2000点
経頭蓋磁気刺激療法の算定要件
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、薬物治療で十分な効果が認められない成人のうつ病患者に対して、経頭蓋治療用磁気刺激装置による治療を行った場合に限り算定する。
経頭蓋磁気刺激療法の留意事項
(1) 当該治療を実施する場合は関連学会の定める適正使用指針を遵守すること。
(2) 経頭蓋磁気刺激療法は、抗うつ剤を使用した経験があって、十分な効果が認められない成人のうつ病患者に用いた場合に限り算定できる。ただし、双極性感情障害、軽症うつ病エピソード、持続気分障害などの軽症例や、精神病症状を伴う重症うつ病エピソード、切迫した希死念慮、緊張病症状、速やかに改善が求められる身体的・精神医学的状態を認めるなどの電気痙攣療法が推奨される重症例を除く。
(3) 経頭蓋磁気刺激療法は、関連学会の定める適正使用指針に基づき、適正時間の刺激により治療が行われた場合に算定できる。時間については、治療装置による治療の前後の医師又は看護師によって行われる面接の時間及び治療装置の着脱に係る時間は含まない。なお、当該治療に用いた医療機器、治療を行った日時及び刺激した時間について、診療録に記載する。
(4) 初回の治療を行った日から起算して8週を限度として、計30回に限り算定できる。また、治療開始日と終了日の年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。
(5) 治療開始前にHAMD17又はHAMD24(ハミルトンうつ病症状評価尺度)による評価を行い、その分析結果及び患者に対する本治療の説明内容の要点を診療録に記載する。
(6) 治療開始から第3週目及び第6週目にHAMD17又はHAMD24による再評価を行い、その分析結果を診療録に記載する。なお、第3週目の評価において、その合計スコアがHAMD17で7以下、HAMD24で9以下である場合は寛解と判断し当該治療は中止又は漸減する。漸減する場合、第4週目は最大週3回、第5週目は最大週2回、第6週目は最大週1回まで算定できる。また、第3週目の評価において、HAMD17又はHAMD24の合計スコアで寛解と判断されず、かつ治療開始前の評価より改善が 20%未満の場合には中止する。
経頭蓋磁気刺激療法に関する施設基準
(1) 精神科を標榜している病院であること
(2) うつ病の治療に関し、専門の知識及び少なくとも5年以上の経験を有し、本治療に関する所定の研修を修了している常勤の精神科の医師が1名以上勤務していること。
(3) 認知療法・認知行動療法に関する研修を修了した専任の認知療法・認知行動療法に習熟した医師が1名以上勤務していること。
(4) 次のいずれかの施設基準に係る届出を行っている病院であること。