在宅ハイフローセラピー指導管理料とは、在宅ハイフローセラピーを行っている患者さんに対して、在宅ハイフローセラピーに関する指導管理を行った場合に算定する診療報酬です。
C107-3 在宅ハイフローセラピー指導管理料 2400点
ハイフロセラピーとは、専用の鼻カニュラを介して加温・加湿した高流量の酸素や空気、または酸素と空気の混合ガスを投与する呼吸管理法の一つです。この加温・加湿が、気道の乾燥化を防ぎ、線毛運動を正常に保つなど、分泌物管理にも効果を示し、快適な呼吸管理が可能になります。
2021年まで、在宅で行える酸素療法と言えば、通常の酸素療法(在宅酸素療法)と非侵襲的陽圧換気(NPPV)を含めた人工呼吸療法でしたが、2022年4月の診療報酬改定で「在宅ハイフローセラピー指導管理料」が新設されました。 上記2つの間に位置付けられるハイフローセラピー(高流量鼻カニュラ酸素療法;HFNC)が保険適用となりました。
在宅ハイフローセラピー指導管理料の算定要件
在宅ハイフローセラピーを行っている入院中の患者以外の患者に対して、在宅ハイフローセラピーに関する指導管理を行った場合に算定する。
在宅ハイフローセラピー指導管理料の留意事項
(1) 在宅ハイフローセラピーとは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者のうち、安定した病態にある退院患者について、在宅において実施するハイフローセラピーをいう。
(2) 次のいずれも満たす場合に、当該指導管理料を算定する。
イ装置に必要な保守・管理の内容を患者に説明すること。
ウ 夜間・緊急時の対応等を患者に説明すること。
エ その他、療養上必要な指導管理を行うこと。
(3) 対象となる患者は、在宅ハイフローセラピー導入時に以下のいずれも満たす慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者であって、病状が安定し、在宅でのハイフローセラピーを行うことが適当と医師が認めた者とする。
ア 呼吸困難、去痰困難、起床時頭痛・頭重感等の自覚症状を有すること。
イ 在宅酸素療法を実施している患者であって、次のいずれかを満たすこと。
(イ) 在宅酸素療法導入時又は導入後に動脈血二酸化炭素分圧45mmHg以上55mgHg未満の高炭酸ガス血症を認めること。
(ロ) 在宅酸素療法導入時又は導入後に動脈血二酸化炭素分圧 55mmHg 以上の高炭酸ガス血症を認める患者であって、在宅人工呼吸療法が不適であること。
(ハ) 在宅酸素療法導入後に夜間の低換気による低酸素血症を認めること(終夜睡眠ポリグラフィー又は経皮的動脈血酸素飽和度測定を実施し、経皮的動脈血酸素飽和度が 90%以下となる時間が5分間以上持続する場合又は全体の 10%以上である場合に限る。)。
(4) 在宅ハイフローセラピーを実施する保険医療機関又は緊急時に入院するための施設は、次の機械及び器具を備えなければならない。
ア 酸素吸入設備
イ 気管内挿管又は気管切開の器具
ウ レスピレーター
エ 気道内分泌物吸引装置
オ 動脈血ガス分析装置(常時実施できる状態であるもの)
カ スパイロメトリー用装置(常時実施できる状態であるもの)
キ 胸部エックス線撮影装置(常時実施できる状態であるもの)
(5) 在宅ハイフローセラピー指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)については、「J024」酸素吸入、「J024-2」突発性難聴に対する酸素療法、「J025」酸素テント、「J026」間歇的陽圧吸入法、「J026-3」体外式陰圧人工呼吸器治療、「J018」喀痰吸引、「J018-3」干渉低周波去痰器による喀痰排出、「J026-2」鼻マスク式補助換気法及び「J026-4」ハイフローセラピー(これらに係る酸素代も含む。)の費用(薬剤及び特定保険医療材料に係る費用を含む。)は算定できない。
(6) 指導管理の内容について、診療録に記載する。
カルテ記載について
指導内容については以下のものが例としてあげられます。
- 火のそばに近づけないようにしましょう。
- 酸素吸入中はたばこを吸わないでください。
- ドライヤーを使用しない。
管理内容については以下のものがあげられます。
- パルスオキシメータなどのモニターを使用し、患者の状態を把握する。
- 胸郭の動き、呼吸補助筋の使用、患者さんの快適性などを観察する。
- 患者さんの忍容性に合わせて温度や酸素濃度を調整する。
- エアトラッピングが発生している場合は流量を調節する。