気管切開を行っている患者であって入院中以外の方に対して、在宅における気管切開に関する指導管理を行った場合に以下の点数を算定することができます。
在宅気管切開患者指導管理料 900点
POINT気管切開とは喉から気道までを切開して呼吸をしやすくすることです。
多くの場合は穴が塞がらないように気管カニューレという管を入れ、必要な場合はそこに人工呼吸器を装着します。呼吸が楽になる一方、日常的にご本人やご家族でしっかり管理をする必要があります。
指導について
「在宅における気管切開に関する指導管理」とは、諸種の原因により気管切開を行った患者のうち、安定した病態にある退院患者について、在宅において実施する気管切開に関する指導管理のことをいいます。
1日に1度はバンドを外して皮膚が荒れていないかを確認し、清潔にしてからバンドを交換する必要があります。また、口から食事を摂っていなくても、1日1回は歯を磨いたり、濡らしたガーゼで口の中を拭って口腔内の清潔を保つことも大切です。
医師が行う管理指導例について
- 気管切開チューブの抜けを防ぐために固定状態を常に確認して下さい。
- 1回の吸引は15秒以内にとどめ、できるだけ短時間で確実に効率よく吸痰しましょう。
- 浴槽につかるときは胸の高さまでとし気管切開部がお湯につからないようにしましょう。
- 服を着替える際は衣服がひっかかって気管カニューレが抜けないように注意して下さい。

指導内容もその都度しっかりカルテに記載する事が大切です。
気管切開術について気管切開術とは、前頸部で気管軟骨を切開し、チューブもしくはカニューレを挿入して気道を確保する手術です。手術の適応は以下の方が該当します。
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- 上気道狭窄や閉塞(外傷,炎症,腫瘍,異物など)
- 遷延性意識障害患者の気道確保と誤嚥の予防
- 長期間の人工呼吸管理
- 肺炎や無気肺により頻回な気道の吸引や洗浄が必要な場合
- 頭頸部悪性腫瘍などの手術時など
院内の設備について
在宅気管切開患者指導管理を実施する保険医療機関又は緊急時に入院するための施設は、以下の機械及び器具を備えなければなりません。
- 酸素吸入設備
- レスピレーター
- 気道内分泌物吸引装置
- 動脈血ガス分析装置(常時実施できる状態であるもの)
- 胸部エックス線撮影装置(常時実施できる状態であるもの)
レスピレーターとは全身麻酔や呼吸不全の際に、気管に挿入したチューブからポンプで空気を送り込み、人為的に呼吸を行わせる装置。
算定時の注意点
在宅気管切開患者指導管理料を算定している方については、創傷処置(気管内ディスポーザブルカテーテル交換を含む。)、爪甲除去(麻酔を要しないもの)、穿刺排膿後薬液注入、喀痰吸引及び干渉低周波去痰器による喀痰排出の費用は算定できません。
気管切開患者用人工鼻加算について
気管切開を行っている患者樣(入院中の患者以外)の方に対して、人工鼻を使用した場合に、気管切開患者用人工鼻加算として1500点を算定します。
人工鼻とは気管切開後の開口部に挿入するカニューレに接続するのが人工鼻またはベンチレーターです。人工鼻は過湿、加温の解消を図るために微多孔性のペーパーエレメントでできていて、呼気中の熱と水分をいったん補給し、呼気時に放出するものです。気管カニューレに直接取り付ける軽いタイプのものとベンチレーターと気管カニューレの間に接続するタイプのものなどがあります。