肝機能障害や黄疸等でウイルス性肝炎を疑い、HBs抗原検査とその他の血液検査(HBs抗体、HBe抗原、HBe抗体)を同時に行うドクターもいますが、ほとんどの場合は査定されてしまいます。
今回はB型肝炎の血液検査の適応や検査を行うタイミング等についてお伝えしたいと思います。
HBs抗原検査
HBs抗原 88点
適応疾患
HBVキャリア、ウイルス性肝炎、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変症、肝癌、劇症肝炎
意義
健康診断の結果や血液検査の結果及び症状等から、「B型肝炎の疑い」病名がある場合において、スクリーニングを目的として実施した場合に保険請求が認められています。
また、肝機能障害や黄疸が指摘された場合や、血液検査の結果及び全身倦怠感に引き続き食欲不振、悪心・嘔吐などの症状からB型肝炎が疑われる場合にも実施されています。
HBs抗体検査
HBs抗体定性/HBs抗体半定量 32点
HBs抗体 88点
適応疾患
肝機能障害、HBVキャリア、ウイルス性肝炎、B型急性肝炎、B型慢性肝炎、肝硬変症、肝癌、劇症肝炎
意義
HBs抗体検査はB型急性肝炎の治癒判定やウィルス性肝炎の既往歴を調べるために行うもので、肝炎の鑑別診断、B型肝炎の経過観察には適さないとされています。
肝炎は潜伏期、急性期、回復期、治癒と移っていきますが、HBs抗原は潜伏期から、HBc抗体は急性期から治癒頃まで、HBs抗体は治癒期に検出されるため、病期により使い分けが必要となり、同時算定は当然査定されるでしょう。
HBe抗原検査
HBe抗原 101点
適応疾患
肝機能障害、HBVキャリア、ウイルス性肝炎、B型急性肝炎、B型慢性肝炎、肝硬変症、肝癌、劇症肝炎
意義
B型肝炎ウイルスに感染している場合に、ウイルスの量や感染力の強さを調べるための検査項目です。血液検査で調べることができます。
HBe抗原検査は、HBs抗原が陽性で、B型肝炎ウイルスへの感染が疑われる場合に行われます。HBs抗原やHBs抗体、HBe抗体などB型肝炎ウイルスマーカーと呼ばれる物質と合わせて調べられることが一般的です。
HBe抗体検査
HBe抗体 101点
適応疾患
肝機能障害、HBVキャリア、ウイルス性肝炎、B型急性肝炎、B型慢性肝炎、肝硬変症、劇症肝炎、肝細胞癌
意義
HBe抗体は、HBe抗原に対する抗体です。HBe抗原陽性の初期から血中にはHBe抗体も存在するがバランスの関係でHBe抗原が減少しなければ検出できません。B型肝炎を発症した場合にHBe抗原の減少とともに陽性となり、多くの場合にはこの状態でウイルスの増殖は抑えられ、肝炎は鎮静化するとされています。