医師の代わりにクラークが診療記録の代行入力を行う医療機関がどんどん増えています。
診療記録の代行入力を行うためには「疾患」「薬剤」「医療行為」「診療報酬(算定要件)」等、様々な知識が必要となります。
例えば、背部痛と発熱を主訴に受診した患者さんに対し、医師は診察(問診、視診、触診、打診、聴診)を行い、どのような疾患を疑い、何の検査を行い、その結果、投薬や注射等の治療方針を決めるわけですが、クラークはその一連の流れを分かりやすく診療記録にまとめなくてはいけません。
また、診療報酬のルールを理解して、算定要件を満たしたコスト算定を行う必要もあります。
初診時の診療記録について
療養担当規則第12条では診療の一般的な方針が定められています。
診察の中で患者さんから聞き取った内容(問診内容)として、患者さんの 「主訴」「現病歴」「既往歴」「服薬内容」「生活歴(飲酒や喫煙等)」「家族構成」「家族歴」や当日の 診断及びその根拠となった症状、それに伴う医師の所見を診療録に記載する必要があります。
記載例
既往歴・原因・主要症状・経過等 | 処方・処置・手術等 |
2023.11.18
主訴:発熱 現病歴:2023/11/10より39℃の発熱あり。 既往歴:なし (O) (A/P) 次回(12/1)てんかん除外診断のため脳波予定とする |
Rp)アンヒバ坐剤100mg 5個
1回1個
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再診時の診療記録について
多くの医療機関では、電子カルテの診療記録の記入形式として「SOAP(ソープ)」が採用されています。SOAPでは問題志向型システム(Problem Oriented System)、通称「POS」をベースにカルテを記入します。
Subject(主観的情報)とは
主観的情報のことであり、診療時に患者さんが訴える症状のことです。具体的には、「咳が止まらない」「体がだるい」「頭が痛い」などの主訴を指します。
Object(客観的情報)とは
客観的情報のことであり、身体所見や検査結果など客観的に患者さんの現状を捉えた情報のことです。記載する内容は行われた診療によって異なりますが、聴診・触診・視診・内診などの所見、血液検査や画像検査の情報になります。
Assessment(評価)とは
「Subject(主観的情報)」と「Object(客観的情報)」の情報を総合的に分析や考察をして導いた評価のことです。単に診断だけを記載するのではなく、「S」と「O」の情報からどのようにして診断に至ったのか記載しておくことが重要です。
Plan(計画)とは
「P」は「A」で下した評価に対してどのような治療や経過観察を行っていくかを計画する項目です。評価に基づいて決定した治療方針やケア内容、生活指導や、症状が改善しなかった場合の今後の方針等もここに記載します。具体的には薬剤の処方内容、内服終了後の受診指示などを記載します。
記載例
既往歴・原因・主要症状・経過等 | 処方・処置・手術等 |
2023.11.18
(S) (O) (A/P) 塩分は6mg未満を守ること |
Rp)アムロジンOD錠2.5mg 1錠 内服:1日1回 朝食後 28日分特定疾患療養管理料 |
特定疾患療養管理料を算定した際は、「服薬」「食事」「運動」についての指導が必要であり、指導内容もカルテに記載する必要があります。