在宅自己腹膜灌流指導管理料とは、在宅自己連続携行式腹膜灌流を行っている患者さんに対して、在宅自己連続携行式腹膜灌流に関する指導管理を行った場合に算定します。
C102 在宅自己腹膜灌流指導管理料 4000点
腹膜透析とは
腹膜を透析膜として利用する人工透析の一方法で、腹膜灌流とも呼ばれています。
殺菌した透析液を腹腔内に注入し、患者の体内から過剰の水とタンパク質代謝の結果生じた 窒素含有性老廃物を腹膜を通して除去し、血漿の酸・塩基平衡と電解質濃度を改善させ 腎不全に対する治療法です。
自宅や会社で透析ができ、社会復帰が比較的容易で維持透析患者さんの4%前後の人が腹膜透析を行っています。
在宅自己腹膜灌流指導管理料の算定要件
注1 在宅自己連続携行式腹膜灌流を行っている入院中の患者以外の患者に対して、在宅自己連続携行式腹膜灌流に関する指導管理を行った場合に算定するものとし、頻回に指導管理を行う必要がある場合は、同一月内の2回目以降1回につき2,000点を月2回に限り算定する。
注2 当該指導管理を算定する同一月内に区分番号J038に掲げる人工腎臓又はJ042に規定する腹膜灌流の1を算定する場合は、注1に規定する2回目以降の費用は、算定しない。
注3 注1に規定する患者であって継続的に遠隔モニタリングを実施したものに対して当該指導管理を行った場合は、遠隔モニタリング加算として、月1回に限り115点を所定点数に加算する。
在宅自己腹膜灌流指導管理料の留意事項
(1) 「注1」の「頻回に指導管理を行う必要がある場合」とは、次のような患者について指導管理を行う場合をいう。
ア 在宅自己連続携行式腹膜灌流の導入期にあるもの
イ 糖尿病で血糖コントロールが困難であるもの
ウ 腹膜炎の疑い、トンネル感染及び出口感染のあるもの
エ 腹膜の透析効率及び除水効率が著しく低下しているもの
オ その他医師が特に必要と認めるもの
(2) 1か月に2回以上在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定した場合は、診療報酬明細書の摘要欄に(1)のアからオまでの中から該当するものを明記する。
(3) 在宅自己腹膜灌流指導管理料を算定している患者(入院中の患者を除く。)は週1回を限度として、「J038」人工腎臓又は「J042」腹膜灌流の1の連続携行式腹膜灌流のいずれか一方を算定できる。なお、当該管理料を算定している患者に対して、他の医療機関において連続携行式腹膜灌流を行っても、当該所定点数は算定できない。また、当該管理料を算定している患者に対して、他の保険医療機関において人工腎臓を行った場合は、診療報酬明細書の摘要欄に「J038」人工腎臓を算定している他の保険医療機関名及び他の保険医療機関での実施の必要性を記載すること。
(4) 遠隔モニタリング加算は、以下の全てを実施する場合に算定する。
ア 注液量、排液量、除水量、体重、血圧、体温等の状態について継続的なモニタリングを行うこと。
イ モニタリングの状況に応じて、適宜患者に来院を促す等の対応を行うこと。
ウ 当該加算を算定する月にあっては、モニタリングにより得られた所見等及び行った指導管理の内容を診療録に記載すること。
エ モニタリングの実施に当たっては、厚生労働省の定める「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等に対応すること。
腹膜透析の仕組み
腹膜とは「肝臓」「胃」「腸」などの内蔵表面や腹壁の内面を覆っている膜のことです。この膜に囲まれた空間を腹腔と呼びます。腹腔内に透析液を一定時間入れておくと、腹膜を介して血液中の老廃物や塩分、余分な水分などが腹腔内の透析液側に移動します。
腹膜透析は、体内の腹膜を使って血液を浄化し自宅や職場など、社会生活の中で治療を行う在宅療法です。
腹膜透析には、24時間連続した透析で身体に負担が少ないCAPD(連続携行式腹膜透析)と、機械を使って、夜間就寝中に自宅で自動的に透析を行うAPD(自動腹膜透析)があります。
腹膜透析の合併症について
腹膜透析には、以下のような合併症が主に見られます。
- 腹膜炎
- カテーテル感染
- 注射、排液不良
- 被嚢性腹膜硬化症
合併症により、腹膜機能が低下したり、腹膜透析療法を継続できる期間が短くなる原因にもなるため、日ごろからの予防が大切であり、医師はしっかり患者様に指導を行うことが大切です。
指導について
- 手は石鹸で清潔にしましょう
- 使用時はマスクを使用しましょう
- 排液の性状を記録しましょう
- 出口部をきれいに洗浄しましょう
- 部屋はこまめに掃除を行い、キレイな環境を整えましょう
POINT腹膜透析を行なうための専用チューブ(カテーテル)は腹腔と直接つながっています。バッグ交換の際に不潔な操作を行なったり、カテーテルの出口部の手入れを怠ると腹膜炎やカテーテル周囲の感染症を起こしますのでしっかり指導を行う必要があります。
合併症を防ぐための指導や使用に関する指導のカルテ記載も大切です。
付随する加算について
紫外線殺菌器加算
在宅自己連続携行式腹膜灌流を行っている患者さん(入院中以外)に対して、紫外線殺菌器を使用した場合に、紫外線殺菌器加算として360点を算定します。
自動腹膜灌流装置加算
在宅自己連続携行式腹膜灌流を行っている患者さん(入院中以外)に対して、自動腹膜灌流装置を使用した場合に、自動腹膜灌流装置加算として2500点を算定します。
遠隔モニタリング加算
継続的に遠隔モニタリングを実施したものに対して当該指導管理を行った場合は、遠隔モニタリング加算として、月1回に限り115点を所定点数に加算する。