CT検査やMRI検査の画像撮影は査定へ返戻が多くなる傾向がある上に、点数も高いためレセプト請求時にはしっかり病名登録がされているかチェックを行う必要があります。
また、肺炎や肺癌を疑い胸部CT検査を行った場合に、まずは胸部X線検査を行うことが妥当ではないかということで、査定の対象とされることは多くあります。その対策としては診療報酬請求書に、最初からCT検査が必要であった根拠・理由を記載することが必要です。
今回はCTとMRI検査の適応病名についてお伝えしたいと思います。
CT検査について
E200 コンピューター断層撮影(CT撮影)(一連につき)
1 CT撮影
イ 64列以上のマルチスライス型の機器による場合
(1)共同利用施設において行われる場合 1020点
(2) その他の場合 1000点
ロ 16列以上64列未満のマルチスライス型の機器による場合 900点
ハ 4列以上16列未満のマルチスライス型の機器による場合 750点
ニ イ、ロ又はハ以外の場合 560点
2 脳槽CT撮影(造影を含む。) 2300点
CT撮影のイ、ロ及びハについては、厚生労働大臣が定める施設基準を満たし、地方厚生局長等に届出を行う必要があります。
CTとは、Computed Tomography(コンピュータ断層撮影)の略です。
X線を用いてX線吸収の大小の分布を画像化したものがCTで、人体の薄い輪切りの断層像がみられます。
骨はX線吸収が大きいので白く見え、肺や消化管の空気はX線吸収が小さいので黒くなります。
治療前にがんの有無や広がり、他の臓器への転移がないかを調べたり、治療の効果を判定したり、治療後の再発がないかを確認するなど、さまざまな目的で行われる精密検査です。
検査の目的によっては、造影剤を使用する場合があります。
POINTCT撮影について造影剤を使用した場合は、造影剤使用加算として、500点を所定点数に加算します。
頭部CT検査の適応疾患
- 脳梗塞
- 脳出血
- くも膜下出血
- 脳腫瘍
- 眼窩疾患
- 副鼻腔疾患
- 聴器疾患
胸部CT検査適応疾患
- 間質性肺炎
- 肺がん
- 気胸
- 胸膜炎
- 心膜炎
- 大動脈瘤
- 腹膜炎
- 骨折
肺がんや肺野病変の存在、鑑別診断はMRIよりCTが優れています。
MRIの欠点は、肺野(空気)の信号強度が低く結節性、炎症性病変の検出能に限界があること、心拍によるアーチファクト(ノイズ)が大きいこと、石灰化の存在診断が困難なこと、空間分解能がCTに劣ることがあげられます。
腹部CT検査の適応疾患
- 肝腫瘍
- 肝硬変
- 胆石
- 腎腫瘍
- 副腎腫瘍
- 膀胱腫瘍
- 子宮筋腫
- 卵巣腫瘍
- 腹膜炎
MRI検査について
E202 磁気共鳴コンピューター断層撮影(MRI撮影)(一連につき)
1 3テスラ以上の機器による場合
イ 共同利用施設において行われる場合 1620点
ロ その他の場合 1600点
2 1.5テスラ以上3テスラ未満の機器による場合 1330点
3 1又は2以外の場合 900点
MRI(magnetic resonance imaging)は、骨のみならず、神経・血管・靭帯・椎間板・半月板等、あらゆるものを映し出すことが可能です。ただし、動くものは苦手でして、心臓や腸を撮影した場合は、像がぶれて評価ができません。
頭部MRI検査の適応疾患
- 脳腫瘍
- 脳梗塞
- 脳奇形
脊椎・脊髄MRI検査の適応疾患
- 椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
- 脊椎腫瘍
四肢MRI検査の適応疾患
- 転移性骨腫瘍
- 腱板断裂(肩)
- 大腿骨頭壊死
- 前十字靭帯断裂
- 骨挫傷(膝)
画像診断管理加算について
厚生労働大臣が定める施設基準を満たし、地方厚生局長等に届け出た保険医療機関で、画像診断を専ら担当する常勤の医師が、画像診断を行い、その結果を文書により報告した場合は画像診断管理加算として以下の点数が算定できます。
画像診断管理加算1 70点
画像診断管理加算2 180点
画像診断管理加算3 340点
算定するには以下の要件を満たしている必要があります。
- 放射線科標榜の医療機関
- 放射線科からの結果報告のカルテ記録
- あらかじめ届出ている画像診断を担当する医師が読影を行う
- 画像診断管理加算2若しくは3を算定する場合は、院内で行われた全ての核医学診断、CT検査、MRI検査の8割以上について、撮影日から翌診療日までの結果報告書を作成している
- 画像診断管理加算3を算定する場合は、上記施設基準に加え、特定機能病院であることや、放射線医が6名以上配置されている
届出を行う地方厚生局HPについて
届出を行う際は、保険医療機関が所在する都道府県を管轄する地方厚生局に必要書類を1部提出する必要があります。