【J処置】算定時の注意点と緊急時にとれる加算・NG算定

保険医療機関でいう「処置」とは、薬の服用やリハビリなど患者自身によって行われる治療行為ではなく、医療スタッフによって行われる治療行為を指します。

例えば、医師が熱傷患者の熱傷処置をしたり、処置医療用の管を挿入したするのは「処置」にあたります。骨折をした患者に対してギプス包帯を行った場合も処置です。

ただし、処置のコスト算定には複雑なケースもあり

  • 喀痰吸引
  • 内視鏡下気管支分泌物吸引
  • 干渉低周波去痰器による喀痰排出
  • 間歇的陽圧吸入法
  • 鼻マスク式補助換気法
  • 体外式陰圧人工呼吸治療
  • ハイフローセラピー
  • 高気圧酸素治療
  • インキュベーター
  • 人工呼吸
  • 持続陽圧呼吸法
  • 間歇的強制呼吸法
  • 気管内洗浄
  • ネブライザーまたは超音波ネブライザー

以上を同日に行った場合は、主たるものの点数所定のみでしか算定できません。

このように「処置」には同時算定できないものや、逆に忘れてはいけない加算やコストがありますので、こちらで説明していきたいと思います。

スポンサーリンク

時間外の加算について

緊急のために、休日またはその開始時間が保険医療機関の表示する診療時間以外の時間もしくは深夜に処置を行った場合は、当該処置の費用は、次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算した点数より算定することができます。

 処置の所定点数が1000点以上の場合であって、別に厚生労働大臣が定める季節基準に適合しており、地方厚生局に届け出た保険医療機関において行われる場合。

1.休日加算1
所定点数の100分の160に相当する点数

2.時間外加算1
所定点数の100分の80に相当する点数

3.深夜加算1
所定点数に100分の80に相当する点数

 処置の所定点数が150点以上の場合であって、入院中の患者以外の患者に行われた場合。

1.休日加算2
所定点数の100分の80に相当する点数

2.時間外加算2
所定点数の100分の40に相当する点数

例1.四肢ギプス包帯(時間外)

標榜時間が月〜金曜日の9時〜17時までの病院であり、患者は19時に階段から転倒し、そのまま骨折の疑いで緊急来院した患者。X線検査結果より右橈骨骨折と診断され、四肢ギプス包帯(右前腕〜手部)を行った場合の算定。

四肢ギプス包帯 3 780点

今回は 所定点数に対して時間外加算が算定できるので

780×0.4=312
780+312=1092点 
となります。

基本診療料に含まれる処置

浣腸、注腸、吸入、100cm未満のⅠ°熱傷の熱傷処置、100cm未満の皮膚科軟膏処置、鼻洗浄、狭い範囲の湿布処置、洗眼、点眼、点鼻、簡単な耳垢栓除去、その他「処置料」に掲げられていない処置であって簡単なものの費用は、基本診療料に含まれるものとして、別に算定することはできません。

ただし、 処置に際して薬剤を使用した場合には、薬剤料を算定することができます。

参考!熱傷Ⅰ°のみに対する100cm未満の熱傷処置を行った場合、処置料は算定できないが、使用した薬剤が15円をこえる場合、処置として薬剤料を請求することができます。

処置算定での注意点のまとめ

創傷処置

J000 創傷処置

  1.  100cm未満…52点
  2.  100cm以上500cm未満…60点
  3.  500cm以上3000cm未満…90点
  4.  3000cm以上6000cm未満…160点
  5.  6000cm以上…275点

同一疾病またはこれに起因する病変に対して創傷処置、皮膚科軟膏処置、湿布処置が行われた場合は、それぞれの部位の処置面積を合算し、その合算した広さを、いずれかの処置に係る区分に照らして算定し、それぞれを個々に併せて算定することはできません。

また「在宅寝たきり患者処置指導管理料」「在宅気管切開患者指導管理料」「在宅時医学総合管理料」「施設入居等医学総合管理料」が算定されている場合は、併せて算定することはできません。

熱傷処置

J100 熱傷処置

  1.  100cm未満…135点
  2.  100cm以上500cm未満…147点
  3.  500cm以上3000cm未満…270点
  4.  3000cm以上6000cm未満…504点
  5.  6000cm以上…1500点

初回の処置を行った日から起算し2ヶ月を経過するまでに行われた場合に限り算定できます。 それ以降に行う処置についてはJ000に掲げる創傷処置により算定します。

またⅠ°熱傷の場合は基本診療料に含まれるため、算定できません。

POINT創傷処置、熱傷処置、重度褥瘡処置、皮膚科軟膏処置の範囲とは、包帯などで被覆すべこ創傷面の広さ、また軟膏処置を行う必要のある広さをさします。

重度褥瘡処置

J100−4 重度褥瘡処置

  1.  100cm未満…90点
  2.  100cm以上500cm未満…98点
  3.  500cm以上3000cm未満…150点
  4.  3000cm以上6000cm未満…280点
  5.  6000cm以上…500点

重度の褥瘡処置を必要とする患者に対して、初回の処置が行われて日から起算して、2ヶ月を経過するまでに行われた場合に限り算定でき、 それ以降の処置については「創傷処置」より算定する。

また、重度褥瘡処置を算定する場合は、創傷処置、爪甲除去(麻酔を要しないもの)、穿刺排膿後薬液注入は併せて算定できません。

皮膚科軟膏処置

J053 皮膚科軟膏処置

  1.  100cm以上500cm未満…55点
  2.  500cm以上3000cm未満…85点
  3.  3000cm以上6000cm未満…155点
  4.  6000cm以上…270点

100cm未満の皮膚科軟膏処置は、基本診療料に含まれるため算定できません。

消炎鎮痛等処置

J119 消炎鎮痛等処置

  1. マッサージ等の手技による療法
  2. 器具等による療法
  3. 湿布処置

1から3からまでの療法のうち2以上の療法を行った場合は、主たる療法の所定点数のみを算定する。

また、3については診療所において、半肢の大部または頭部、頸部及び顔面の大部以上にわたる範囲の湿布処置が行われた場合に算定できる。

タイトルとURLをコピーしました