2022年4月の診療報酬改定にて「A003 オンライン診療料」が廃止され、以下の項目が新設されました。
情報通信機器を用いた場合(初診) 251点
情報通信機器を用いた場合(再診) 73点
オンライン診療料は算定が月に1回と制限がありましたが、情報通信機器を用いた場合には算定回数に制限はありません。
POINT上記を算定するには、地方厚生局への届出が必要とされていますが、令和2年4月7日、新型コロナウイルス感染症が拡大し、医療機関の受診が困難になりつつあることに鑑みた時限的・特例的な対応として、電話や情報通信機器を用いた診療や服薬指導等の取扱いが臨時的に可能となりました。令和4年4月現在も臨時的措置は継続しているため、以下の算定要件を満たした場合に算定が可能です。
カルテ記載について
厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に沿って情報通信機器を用いた診療を行った場合に算定します。なお、この場合においては「診療内容」「診療日」「診療時間」等の要点を診療録に記載することが必要です。
初診から電話や情報通信機器を用いて診療を行うことが適していない症状や疾病等、生ずるおそれのある不利益、急病急変時の対応方針等について、医師から患者に対して十分な情報を提供し、説明した上で、その説明内容について診療録に記載すること。 厚生労働省より
診療場所について
情報通信機器を用いた診療は、原則として保険医療機関に所属する保険医が保険医療機関内で実施することとされています。
保険医療機関外で情報通信機器を用いた診療を実施する場合であっても、オンライン指針に沿った適切な診療が行われるものであり、情報通信機器を用いた診療を実施した場所については、事後的に確認可能な場所であることとされています。
急変時の対応について
情報通信機器を用いた診療を行う保険医療機関について、患者さんの急変時等の緊急時には、原則として、当該保険医療機関が必要な対応を行うこととされています。
ただし、夜間や休日など、当該保険医療機関がやむを得ず対応できない場合については、患者さんが速やかに受診できる医療機関において対面診療を行えるよう、 事前に受診可能な医療機関を患者さんに説明した上で、以下の内容について、診療録に記載しておくことが必要です。
- 当該患者に「かかりつけの医師」がいる場合には、当該医師が所属する医療機関名について
- 当該患者に「かかりつけの医師」がいない場合には、対面診療により診療できない理由、適切な医療機関としての紹介先の医療機関名、紹介方法及び患者さんの同意について
新型コロナウイルス感染症に係る臨時的な取り扱い
情報通信機器を用いた診療を行った際、医薬品の処方を行い、FAX等で処方箋情報を送付する場合は、調剤料・処方箋料・調剤技術基本料・薬剤料を算定することができます。
また、算定要件を満たした際は、薬剤服用歴管理指導料等を算定できます。
初診から情報通信機器を用いた診療の実施について
診療の際、できる限り「過去の診療録」「診療情報提供書」「健康診断の結果」「地域医療情報連携ネットワーク」等により患者の基礎疾患の情報を把握した上で診断や把握を行うこととされています。
診療録等で基礎疾患の把握ができない場合は、処方日数は7日間を上限とされおり、麻薬及び向精神薬、ハイリスク薬(抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤等)の処方は行えません。
処方箋の取り扱いについて
情報通信機器を用いた診療で処方箋が発行された場合は、患者さんの同意を得て、医療機関から患者さん希望する薬局へFAX等にて処方箋を送付し、原本も送付する必要があります。
その際は処方箋の備考欄に「0410対応」と記載しましょう。
施設基準について
オンライン指針において、「対面診療を適切に組み合わせて行うことが求められる」とされていることから、保険医療機関においては、対面診療を提供できる体制を有することとされています。
また「オンライン診療を行った医師自身では対応困難な疾患・病態の患者や緊急性がある場合については、オンライン診療を行った医師がより適切な医療機関に自ら連絡して紹介することが求められる」とされていることから、患者さんの状況によって対応することが困難な場合には、ほかの医療機関と連携して対応できる体制を有することが必須です。
また、情報通信機器を用いた診療を行うにつき十分な体制が整備されているものとして、以下を満たす必要があります。
- 保険医療機関以外で診療を実施することがあらかじめ想定される場合においては、実施場所が厚生労働省「オンライン診療の適正な実施に関する指針」に該当しており、事後的に確認が可能であること。
- 対面診療を適切に組み合わせて行うことが求められていることを踏まえ、対面診療を提供できる体制を有すること。
- 患者の状態によって当該保険医療機関において対面診療を提供することが困難な場合に、他の保険医療機関と連携して対応できること。
届出を行う地方厚生局HPについて
届出を行う際は、保険医療機関が所在する都道府県を管轄する地方厚生局に必要書類を1部提出する必要があります。

レセプト時の注意点
情報通信機器を用いた診療を行う際には、オンライン指針に沿って診療を行い、オンライン指針において示されている一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に適さない症状」等を踏まえ、当該診療がオンライン指針に沿った適切な診療であることを診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載する必要があります。
また、処方を行う際には、オンライン指針に沿って処方を行い、一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」等の関係学会が定める診療ガイドラインを踏まえ、当該処方がオンライン指針に沿った適切な処方であることを診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載する必要があります。
診療報酬明細書記載について
【初診】
レセプトコード 820100990
オンライン診療の適切な実施に関する指針に沿った適切な診療である(初診料)
レセプトコード 820100816
オンライン診療の適切な実施に関する指針に沿った適切な処方である(初診料)
【再診】
レセプトコード 820100817
オンライン診療の適切な実施に関する指針に沿った適切な診療である(再診料)
レセプトコード 820100818
オンライン診療の適切な実施に関する指針に沿った適切な処方である(再診料)
予約の特別料金について
情報通信機器を用いた診療を行う際は、予約に基づく診察による特別の料金の徴収はできません。
運用費用の徴収について
情報通信機器を用いた診療を行う際の情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途徴収できます。
厚生労働省からの注意喚起
虚偽の申告による処方が疑われる事例があった場合は、その旨を所在地の都道府県に報告すること。
また、報告を受けた都道府県は、管下の医療機関に注意喚起を図るなど、同様の事例の発生の防止に努めることとされています。