【2023年】特定疾患療養管理料の適応病名・算定要件・カルテ記載

特定疾患療養管理料は、生活習慣病などの厚生労働大臣が定める疾患を「主病」としている患者さんについて、医師が計画的な療養上の管理・指導を行った場合に以下の点数を算定します。

B000 特定疾患療養管理料

1 診療所の場合 225点

2 許可病床数が100未満の病院の場合 147点

3 許可病床数が100床以上200床未満の病院の場合 87点

POINT特定疾患療養管理料の点数は「医療機関の許可病床数」によって異なり、200床以上の病院においては算定できません。※許可病床数は、一般病床に限るものではありません。

では早速、どのような疾患に対してどのような算定要件を満たしていれば算定可能なのかを解説していきたいと思います!

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算定回数について

特定疾患療養管理料は、医師による「計画的な療養上の管理・指導」行われた場合に、月に2回限り算定することが可能です。

※初診料算定時には算定することはできません。算定は初診の日から1ヶ月を経過した日からとなります。(例:8月22日初診→初回算定可能日は9月22日ですが休日の場合は9月21日に算定可能です)

POINTやむを得ない事情により、看護にあたっている家族などを通して療養上の管理を行った場合にも特定疾患療養管理料を算定することができます。

適応疾患

以下の疾患が「厚生労働大臣が定める疾患」となり、主病とする場合に治療計画に基づき療養上の管理を行った場合に、特定疾患療養管理料を算定します。

  • 結核
  • 悪性新生物
  • 甲状腺障害
  • 処置後甲状腺機能低下症
  • 糖尿病
  • スフィンゴリピド代謝障害及びその他の脂質蓄積障害
  • ムコ脂質症
  • リポ蛋白代謝障害及びその他の脂結晶
  • リポジストロフィー
  • ローノア・ベンソード腺脂肪腫症
  • 高血圧性疾患
  • 不整脈
  • 心不全
  • 脳血管障害
  • 一過性脳虚血発作及び関連症候群
  • 単純性慢性気管支炎及び粘液膿性慢性気管支炎
  • 詳細不明の慢性気管支炎
  • その他の慢性閉塞性肺疾患
  • 肺気腫
  • 喘息
  • 喘息発作重積状態
  • 気管支拡張症
  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 胃炎及び十二指腸炎
  • 肝疾患(経過が慢性なのもに限る)
  • 慢性ウイルス肝炎
  • アルコール性慢性膵炎
  • その他の慢性膵炎
  • 思春期早発症
  • 性染色体異常

    POINT特定疾患療養管理料は、これらの主病に対して、治療計画に基づき「服薬」「運動」「栄養」等の療養上の管理を行った場合に算定できます。

    なお、主病とは患者さんの全身的な医学管理の中心となっている特定疾患でなければなりません。

    2024年の診療報酬改訂にて、糖尿病、脂質異常症、高血圧を対象疾患から除外されることが決まりました。それに伴い、処方料・処方箋料の特定疾患処方管理加算の対象疾患を見直すほか、加算1(月2回、1処方18点)は廃止され、加算2(月1回、1処方66点)のみ残すようです。

カルテの記載方法について

ただし、単に管理を行っただけでは算定することはできません。

算定するには、管理内容の要点を診療録にしっかり記載することが必要です。

たとえ日々の診療がしっかりされていても、それに伴ったカルテ記載がしっかりされていなければ、地方厚生局の個別指導で指摘されてしまいますので、診療録の記載は診療の都度しっかり行うことが大切です。

次に診療録への記載方法をいくつか例に挙げますので参考にされて下さい。

例1.糖尿病患者の診療録記載

指導のPOINT糖尿病の食事療法は過食を避け、偏食せずにバランスのよい食事をすることが大切です。野菜・きのこ・海藻類などの食物繊維もしっかり摂ることが必要です。アルコールの過剰摂取も要注意です。

# 2型糖尿病
血糖コントロールやや増悪あり
年末年始は間食が増えたため体重増加もあり
以下の療養上の指導を行い、特定疾患管理料算定とした

  • 肥満防止のため毎日20分のウォーキングを行って下さい
  • なるべく階段を使いましょう
  • 内服は飲み忘れに注意して下さい
  • 食事は毎日3食規則正しく摂って下さい
  • 完食や甘いものの過剰摂取は控えて下さい
  • 病状の変化があればすぐに連絡して下さい

例2.高血圧症の診療録記載

指導のPOINT塩分の過剰摂取と血圧上昇は深い関わりがあります。降圧剤休薬後も血圧を安定させるためには、食塩摂取量が6.5g/日以下であることが分かっています。また、飲酒量が多くなるほど血圧上昇のリスクが高くなることが知られています。運動療法とともに食事療法の強化も大切です。

# 高血圧症
アムロジピン内服にて血圧は安定している
以下の療養上の指導を行い、特定疾患管理料算定とした

  • 喫煙は控えて下さい
  • 塩分摂取は6g以下を守って下さい
  • 減塩醤油を使用して下さい
  • 血圧は毎日測定し記録して次回の診察時に持参して下さい
  • 運動前には血圧測定を行いましょう
  • 毎日10分程度の散歩を行いましょう
  • 内服は毎朝忘れずに飲むようにして下さい

例3.気管支喘息の診療録

指導のPOINT肥満は喘息を悪化させる原因となるため、糖分の多い食べ物は避けること、過食・間食は控えて規則正しい食生活をすることが大切です。

急に激しい運動をしたり、無理な運動は厳禁ですが、運動で心肺機能を高めると発作予防につながります。ウォーキングやジョギング、サイクリングのような有酸素運動が効果的です。

# 気管支喘息
LT拮抗薬の内服にて発作なく経過良好
以下の療養上の指導を行い、特定疾患管理料算定とした

  • 症状がなくても内服は指示通り続けて下さい
  • 食事はバランスよく摂取して下さい
  • 毎日10分程度のストレッチを行って下さい
  • 激しい運動は避けて下さい
  • 規則正しい生活を心がけて下さい
  • 喫煙、アルコールの過剰摂取は控えて下さい
  • 症状が改善しても内服は継続して下さい

毎回同じような指導の記載内容でなく、その都度患者の状態に合わせた指導内容を記載しましょう。コピペは厚生局に指摘されます。

情報通信機器を用いた診療の場合

厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、特定疾患療養管理料を算定すべき医学管理を情報通信機器を用いて行った場合は、1、2又は3の所定点数に代えて、それぞれ196点、128点又は76点を算定することが可能です。

算定時の注意点

特定疾患療養管理料を算定する際は、以下のことに注意して算定してください。

  • 特定疾患療養管理料は、プライマリケア機能を担う医療機関において、医師が計画的に療養上の管理を行うことを評価したものであり、許可病床数が200以上の病院は算定できません。
  • 入院中の患者に対して行った管理または退院した患者に対して退院の日から1ヶ月以内に行った管理の費用は、入院基本料に含まれます。
  • 実際に主病を中心とした療養上必要な管理が行われていない場合や実態的に主病に対する治療が行われていない場合は算定できません。
  • 同一保険医療機関において複数の診療科を受診している場合は、主病と認められる特定疾患の治療にあたっている診療科においてのみ算定します。

特定疾患療養管理料 Q&A

Q.認知症患者に対して管理指導を行えない場合は算定不可なの?
看護に当たっている家族等を通して療養上の管理を行った場合は算定可能です。

Q.境界型糖尿病は算定可能?
算定できません。

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